自然と定着した「放置栽培」
世話をサボると野菜はどうなる?
プランター栽培の実用書などを見ると、野菜の世話の手順について事細かに記載されています。例えば「双葉が開いたら○センチ間隔で間引き」だとか、「本葉が○枚程度で2回目の間引き」「○週間ごとに追肥」などというように。
初めのうちはこれを忠実に守らないと育たないのではないかと恐れて、頑張って手順を守っていました。しかし、日々忙しく過ごしていると、あっという間に双葉が開いていたり、本葉がどんどん伸びていたりして、気づいたときには時期を逃していることってありますよね。
はい、言い訳です。言い訳ではありますが、“頑張って”やっていることは続かないもの。
で、行き着いた我が菜園の現状はといえば、2、3日に一度の水やり以外は放置気味の適当栽培。適切な間引きを行なっていないせいで、生育が遅くなるなどの悪影響が出ている可能性もありますが、良いこともあります。少し育ってきたところで小ぶりの野菜として間引きを兼ねた収穫をするため、2度3度と楽しめるのです。実例をご報告します。
放置栽培で収穫を楽しんだ野菜たち
ラディッシュの場合
放置栽培もアリではないかと思った最初のきっかけは、ラディッシュです。
これまでにもお伝えした通り、秋の初めに2つのプランターに種をまき、片方は発芽不良を起こしました。そこで、種をまきなおしたのですが、その後の成長はなぜかバラバラ。
発芽は一斉ではなくまだらで、教科書通りに筋まきをしたはずなのに、筋を外れたあちこちからも芽が出てくる。間隔がマチマチなので間引きに悩んで適当に放置していたところ、良く太った根のすぐ近くに細いままの根が見えているなんてことがよくありました。
どうしたものかと思いつつ、とりあえず良く育ったものを収穫して残りは再び放置。すると、スペースを得て残りの根も順番に太ってくるではありませんか。結局、あまり間引きをしないまま、少しずつ長く収穫を楽しめたのです。
ホウレンソウの場合
続いて、栽培管理アプリの記事で実態をさらした、ボサボサのホウレンソウ。これだって、まったく間引きをしていないという訳ではなく、本葉が3、4センチに育った頃に間引きをして、他の野菜と一緒にサラダにして何度か食べてきたのです。
しかし、その後は放置気味に栽培していたところ、前述のようにボサボサ状態に。まったく土が見えなくなったところで、これはさすがに……と見かねて間引きを兼ねてガッツリ収穫。すると、1つのプランターにつき、ホウレンソウ1束くらいの量がとれました。
それでもまだ数十株は残っていそうなので、もう2度くらい収穫できるのではないかと期待しています。ただし、あまりに混み合っていたため、葉同士が絡まったような状態になって収穫するのも大変でした。間引き収穫のタイミングとしてはもう少し早い方が良かったかなと反省しています。
鍋畑の場合
最後は葉物野菜を混植した通称“鍋畑”です。前回の記事でもお伝えした通り、種をまいた2つのプランターのうち1つは、プランターから溢れるくらい大きく育ってきました。
これもホウレンソウと同様に、本葉が3、4センチ程度の頃に間引き菜をサラダにして食べた程度で、その後は放置気味。株の数も多いままギュウギュウに育っていました。
そこで、ミズナ、コマツナ、シュンギクのそれぞれを5、6株ずつくらい間引くイメージで株ごと収穫。これだけで葉物としては充分な量になったので、ネギやシイタケ、豚肉を加えて、 昆布だしでさっと煮てポン酢で食べるだけの常夜(じょうや)鍋にしました。
残った野菜たちもスペースが多少広がって、さらに大きく育ってきました。今後は株ごと丸ごと刈り取るのではなく、育った葉を外側から一枚ずつ切り取る“かき取り収穫”を交えることで、さらに長く収穫を楽しめるのではないかとにらんでいます。
放置栽培をすすめるワケ
放置栽培は、あくまでもプロが指導する本流のやり方から外れた傍流であり、邪道です。毎回うまくいく保証はまったくありません。ただ、個人的にはこれだけ適当に栽培しても野菜は育つのだと知って、肩の力が抜け、少し自由になった気がします。
本流でも傍流でも、育ってみれば等しく皆、野菜。「ちゃんと世話できなかった……」と自己嫌悪に陥るくらいなら、放置栽培という選択肢を心の片隅に持っておくのもアリではないかと思うのです。
◆葉物野菜を鍋にしたらアレも育てたいという欲が……。というわけで、次回はきのこ栽培!
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