全国から約300人の会員が参加
4Hクラブは全国の850の支部があり、20~30代を中心に約1万3千人が参加する農業者団体です。農業経営上の課題を解決したりより良い技術を検討するためのプロジェクト活動を中心に、消費者や他クラブとの交流、地域ボランティア活動を行い、“日本や世界で貢献できる農業者”となることを目指しています。
年に一回開催される全国青年農業者会議は、プロジェクト活動の発表と意見発表の大会です。今年は全国から約300人の会員が参加しました。
各発表、優秀者を表彰
2日間に渡って行われた大会では、優れた活動を行う農業青年クラブとして、「優秀農業青年クラブ表彰」の一次選考を突破したクラブによる発表と最終選考会、クラブ活動や農業経営、農家生活、農村環境、ボランティア活動などについて意見を発表する「意見発表」、「園芸・特産作物」「土地利用型作物」「畜産経営」「地域活動」の4部門に分かれて農業技術などの研究や活動の成果を発表する「プロジェクト発表」などが行われました。
優秀農業青年クラブ表彰の最終選考会、意見発表、プロジェクト発表ではそれぞれ、審査員が発表を審査し、特に優れた発表は2日目の表彰式にて表彰されました。
意見発表で農林水産大臣賞に輝いた石川県輪島市の宮崎隆司さんは「今後の農業を担っていくために」と題し、自身が就農した経緯と若手農業者の定着のための環境整備について発表。高校卒業後に自動車整備士として県外で就職したものの、地元に一時帰省した際に見た大型のラジコンヘリやトラクターを使った農業に将来性を感じUターン就農した経緯を紹介しました。また現在では、従業員とモバイル端末を使った情報共有や社宅の整備、若手同士の交流の場をつくるといった取り組みを通して、若手農業者の定着が難しい奥能登で人材の確保に努めていると述べました。
4部門に分かれて研究・活動の成果を発表したプロジェクト発表の「園芸・特産作物」部門で農林水産大臣賞に輝いた佐賀県のミカン農家上野勉さんは、祖父が品種育成した「上野早生」の収量・収益を、環境制御技術により増加させた取り組みを紹介。審査員からは、「環境制御以外に肥料や潅水方法で変えたことは」などといった質問が相次いでいました。
各発表で表彰された方々は以下の通りです(敬称略)。
【プロジェクト発表】
園芸・特産部門
農林水産大臣賞 上野勉 「ハウスみかん産地をUENOステージへ~ハウス内環境の改善による収益性の増加~」(佐賀県・唐津市)
経営局長賞 大嶋徹 「潰してこい!~にらのネギコガ防除プロジェクト~」(北海道・知内町)
全国農業青年クラブ連絡協議会長賞 監物瑛 「白紋羽病温水点滴処理の運用技術の確立及び施用効果の検討」(栃木県・宇都宮市)
畜産部門
農林水産大臣賞 山下陽子 「活躍する初産牛は子牛から」(北海道・大樹町)
経営局長賞 青沼光 「酪農が日本で100年後も続いていくためのclover farmの取り組み」(富山県)
全国農業青年クラブ連絡協議会長賞 高嶋英二 「記録からはじめる和牛雌牛の繁殖改善」(茨城県)
土地利用型部門
農林水産大臣賞 瀬戸山貴行 「茶の更なる省力化に向けた機械開発~摘採機の機能を応用した茶園上の異物除去~」(宮崎県・小林市)
経営局長賞 河岡誠 「初夏どりねぎの前進化について」(鳥取県)
全国農業青年クラブ連絡協議会長賞 池野翔吾 「水稲栽培における『高密度苗』の『条抜き移植』による省力化及びコスト削減の検討」(石川県)
地域活動部門
農林水産大臣賞 山本翔 「七飯のねぎのブランド化をさせたい件~カルソッツ祭りIN道の駅を添えて~」(北海道・七重町)
経営局長賞 井上信太郎 「農村の新たな担い手と産地のファンづくり~農村ワーキングホリデーの可能性~」(和歌山県)
全国農業青年クラブ連絡協議会長賞 平野秀敏 「長崎県産アボカドを作りたい~みかん農家の挑戦~」(長崎県・諫早市)
【農業青年の意見発表】
農林水産大臣賞 宮崎隆司 「今後の農業を担っていくために」(石川県・輪島市)
経営局長賞 山口雅輝 「地域と共に生きる」 (長野県・駒ヶ根市)
全国農業青年クラブ連絡協議会長賞 田中勝眞 「一億with牛」(長崎県・雲仙市)
【優良農業青年クラブ表彰】
農林水産大臣賞 小松能美地区農業青年グループ(石川県・小松市、能美市、川北町)
経営局長賞 高根沢青少年クラブ協議会 (栃木県・高根沢町)
全国農業青年クラブ連絡協議会長賞 宿毛地区農業青少年クラブ連絡協議会 (高知県・宿毛市)
【関連記事】
テーマは「儲」!若手農業者の4Hクラブ、全国初の農業者主催展示商談会開催へ
市場価格3倍のコメを販売、全国の若手農家1万3000人を束ねるリーダー【農家が選ぶ面白い農家Vol.1】
17歳で法人化、オクラ売って新車を買った 目黒秀斗さんに聞く堅実経営の秘訣