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野菜が枯れる原因。わたしが枯らしてしまう理由【枯れ専かーちゃんのベランダ菜園】

連載企画:枯れ専かーちゃんのベランダ菜園

野菜が枯れる原因。わたしが枯らしてしまう理由【枯れ専かーちゃんのベランダ菜園】

野菜を自分で育ててみたいけれど畑を借りるのは少しハードルが高い。それならプランターで手間をかけずにプチ自給を叶えてみようと始めたベランダ菜園。植物は枯らすばかりの“枯れ専”だという告白からスタートしたこの連載。その自白に違わず、この一年弱の間にもいくつもの野菜を枯らしてしまいました。しかし、おかげで野菜が枯れる原因について、おぼろげながら分かるようになってきました。今回はその要因を取り上げながら、1年弱の栽培を振り返る【枯れ専かーちゃんのベランダ菜園】最終回!

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検証!「わたしが野菜を枯らしてしまう理由」

野菜がうまく育ったり枯れたりする要因はなんでしょうか?

例えば、日当たり。風通し。水やり。温度。病気。害虫。栄養……。

これまでのシリーズでは私が様々な失敗をし、野菜を枯らしてしまうさまを公開してきました。そのたびに、そーやん師匠に泣きついたりあれこれ調べたりして原因究明してきたのですが、じつは突き詰めると答えは一つなのではないかという気がしています。その最大にして根本的なたった一つの理由というのは……

レシピを見ていないこと!

それに尽きます。

プランターの下に広がるのは……

思えば、土さえあれば植物は勝手に育つと考えていたようなところがあります。だって、自然ってそういうものでしょ、と。

しかし、コンクリートの上にプランターを置いて、そこに入れた土で植物を育てるという不自然な行為をしているのは他でもない自分。不自然な環境で育てているのに自然に育つわけがありません。その上、育て方のイロハを勉強する積極的な姿勢もなかった。

これではうまくいきません。作ったことのないエスニック料理をレシピなしに調理しているようなものです。そうして出来上がったフルコースがこちらです。

ベランダの最前線で干からびさせてしまったバジル【日当たり】【水やり】

昨夏育てたバジル。葉焼けしたような症状が出ている

およそどの野菜も成長するために光を必要としています。ただし、必要な光の量は野菜によってそれぞれ。日光を好み、できるだけ直射日光下で育てたほうがいい野菜もあれば、日陰でよく育つ野菜もあります。

例えば、昨夏に我が家で育てたバジル。日当たりの良い場所がいいだろうと考えてベランダの塀の上の最前線に置いていたのですが、バジルは直射日光が強すぎる場所では葉焼けしてしまうと後で知りました。栽培キットのバジルが室内でよく育っているところを見ても納得です。また、夏の熱すぎる日差しが水枯れを誘発していた可能性もありそう。

風通し悪くうどん粉病を発症させてしまったキュウリ【風通し】【病気】

うどん粉病にかかって枯れかけているキュウリ

昨年育てたキュウリは、初夏にカビの一種であるうどん粉病にかかってしまい、復活することなく短い生涯を終えました。

そーやん師匠によると、ベランダだと風通しや日当りが悪くなりやすく、さらにプランターのふちから土の表面がだいぶ低いところにあるせいで、カビが発生しやすくなっていたよう。

あれこれ栽培の本などを読むと、「下の方の葉を取って風通しを良くする」など管理の方法も書いてあったのに、もっと早く勉強しておけばよかった!

ナメてかかった病害虫から守ってあげられなかったイチゴ①【害虫】【病気】

昨秋にウキウキして植え付けたイチゴ。これはその後、アブラムシの襲来に遭い、おそらく彼らが運んできたと思われるウィルスにかかって、いまや虫の息です。

葉や花についたアブラムシ(黒っぽい点)や幼虫

それまで虫の被害にあったことがなく、ウチのベランダは大丈夫なんじゃないかと高をくくっていたら見事にやられました。この一件で防虫ネットの必要性を再確認したものの、もはや後の祭り……。

水枯れを恐れるあまりに根腐れさせてしまったイチゴ②【水やり】

長期間水やりを怠ると水枯れするのは簡単に想像できます。しかし、それなら毎日欠かさずに水やりをすれば良いわけでもないのが難しいところ。水をやり過ぎたり、水はけが悪かったりする場合も根腐れしてダメになってしまいます。

じつは昨秋、上記とは別にイチゴの鉢をもう一つ作りました。室内で促成栽培してみようと考えたのです。ところが、過剰に水をやってジメジメさせてしまったせいか、葉の縁が黒くなる症状が発生。その後、徐々に黒い部分が広がって枯れてしまいました。

そーやん師匠に聞いたところ、根が損傷していたか、根腐れが原因ではないかということでした。

葉の縁から黒ずんで枯れていったイチゴ

緑が濃ければ栄養豊富でおいしいと思い込んでいたコマツナ【栄養】

これは枯らしてしまったわけではないのですが、栄養について深く考えさせられたのがコマツナのリボベジ栽培。

やたらと緑が濃く、栄養豊富と喜んだのもつかの間……

いろいろ調べると「コマツナは若どりがおいしい」のだとか。先に調べておけばよかった!

“枯れ専”を卒業する日

今年うまく栽培できた野菜

失敗作ばかりを並べてきましたが、満足に収穫できたものもいくつもあります。

例えば、連載の一番初めに植え付けたミニトマト。夏には水枯れの危機にさらされたり、徐々に実のつき方が鈍ってきたり、秋の到来とともに葉が黄色くなって枯れかけたりしたのですが、その後もしぶとく生き延び、なんと真冬の雪がちらつく中でも赤い実をいくつもつけていました。

12月上旬に撮影したミニトマトの様子

また、実験がてらたくさん種をまいたラディッシュは、徒長したり発芽不良を起こしたりしながらも、大量収穫。鍋料理にするための葉物野菜やホウレンソウも、何度も収穫して食卓に上がりました。

はじめはみんな“枯れ専” だった

何よりも収穫だったのは、この一年弱の経験で、「枯らしてしまうかも……」と栽培自体を躊躇(ちゅうちょ)する気持ちが消えたこと。初めからうまく栽培できる人なんていないのです。まれにビギナーズラックもあるけれど、一度も枯らした経験なくどんな野菜もうまく育ててきた人なんて、おそらくプロの中にもいないでしょう。

では、何が“枯れ専”と栽培上手の間を分けるのか。それは「続けること」なのかもしれません。

私自身はレシピもロクに読まないクセに、自分には栽培の才能がないのだと早々に思い込んで諦めてしまっていました。一度うまくいかなくても原因を分析して対策すれば次は育つかもしれないのに、続けないことにはそのチャンスもない。こうして思い込みだけが強くなっていました。

一番の収穫は……“枯れ専”の思い込みからの卒業

幸いにもこの1年弱は、優しい師匠も得て、とにかく続ける状況に置かれました。すると、一つ、二つと成功体験を重ねることができたのです。

むしろ最近ではうまくいかないと、「どれどれ……」と若干ニヤケ顔で腕まくりする自分がいたりして。ああでもない、こうでもないと考え、手を動かす時間こそが自分で野菜を育てることの尊さだったのです。

で、相変わらず枯らしてしまうことがこの先もあると思うのですが、そろそろ、というか、ついに(!)“枯れ専”の不名誉称号は返上してもいいのではないかと。枯らしてしまうばかりだという思い込み、その支配からの卒業、なのです。

“枯れ専”を脱しても、決して栽培上手とは言えぬまま。懲りもせず枯れただの実っただのと一喜一憂しながら、ベランダ菜園2年目に突入します!
 

◆お読みいただきありがとうございました。次週から少しだけリニューアルした新シリーズでお届けします。
 

【枯れ専かーちゃんのベランダ菜園】シリーズ一覧はコチラ!
 

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