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プロに聞く! 失敗しない種の保存方法【脱枯れ専のベランダ畑】

連載企画:脱枯れ専のベランダ畑

プロに聞く! 失敗しない種の保存方法【脱枯れ専のベランダ畑】

新しく野菜の種を購入しようと思っているけれど、種袋に書かれていることの意味が分からない。それに余った種の保管方法にも不安がある……。栽培初心者が抱くそんな疑問を抱えて種苗メーカー大手の「サカタのタネ」を訪問しました。前回は種袋の裏に書かれている内容について詳しくお聞きしましたが、今回は種の保管方法のほか、お勧めの品種や栽培のコツについても教わってきました。

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余った種はどうする?種の保管方法

湿度を避けて冷暗所へ

──前回、種の有効期限は検査の日から1年までという話を伺いました。しかし、それは未開封の場合で、開封済みのものは少しずつ劣化してしまうのも避けられない。とは言っても、狭いベランダでいろいろ育てているとやはり余ってしまうのですが、使いきれなかった種の保管はどうしたらいいでしょうか?

清水:余ったときには密閉パックに入れて冷蔵庫で保管するのが一番いいです。多くの種は「湿気」「温度」「光」を嫌いますから、それらを避けて保管します。

種袋のままでいいので、切り口を2回くらい折ってクリップなどで留め、ファスナー付き保存袋など密閉できるものに入れて冷蔵庫へ。それをフタ付きの缶に入れると更に湿気防止になると思います。

切り口をクリップで止めて密閉袋に。乾燥剤を入れてもいい

──乾燥剤などを入れる人もいますね。

清水:そうですね。なかには乾燥し過ぎるのが嫌いな種もありますが、ほとんどの種は乾燥気味が好きですから、乾燥剤を入れるのもいいと思います。私の場合は、いくつかの種袋をまとめて密閉袋に入れて冷蔵庫に入れるだけですね。これで大丈夫。ただ、そうは言っても、やはりこの有効期限内には使い切ってもらいたい。

──使いきれないものはどうしたらいいですか?

清水:使ってください。とにかくまくんです(笑)。余ってしまうという方は使い切れるだけの量のものを買われるといいです。

あとは、苗ですね。私もトマトなんかは、種から育てたこともありますが、今は苗を買ってきます。うちもベランダ菜園ですから、二本もあれば足りるんですよね。このナスなんて一袋で苗が40本もできる。40本あったって困っちゃうでしょう?

藤田:弊社では「おうち野菜シリーズ®︎」という苗のシリーズも出しています。ミニトマト、ナス、キュウリ、トウガラシ、オクラなど初心者の方が育てたい野菜はたいていそろっているのではないでしょうか。このシリーズのいいところは「サカタコンシェル®︎」といって園芸相談のサービスがついているところです。

──困ったときに教えてもらえるのは心強いですよね。

たくさんあるときの品種の選び方

詳しい店員さんを捕まえる

キュウリだけでも10種類以上の品種がある

──こうなると苗に惹かれてきますが、一旦種に話を戻しますと、例えばサカタさんのカタログを見ると、キュウリだけでも10種類以上あるんですよね。これは迷っちゃいます。

清水:病気に強いとか、たくさんなるとか、栽培時期がちょっと違うとかいろいろあるんです。詳しくはホームセンターなどのお店の人に聞くといいですよ。

私が店員だとして、初心者の方にキュウリの種が欲しいって言われたとしたら、まずは苗をお勧めしますけれど、私自身が圧倒的に育てやすいと思ってリピートしている品種もあります。お店の人はそれぞれにお勧めがあると思いますよ。詳しい店員さんがいる店で選ぶといいです。

藤田:簡単な特徴については袋の裏にも書かれていますね。こういうのを参考になさってもいいかもしれません。

袋の裏にも特徴について簡単に書かれている

──早生(わせ)とか晩生(おくて)の違いもありますね。初心者は早生がいい?

清水:それぞれにいいところがありますよね。一般的に晩生の方が収量は多くなることが多いです。栽培期間が長く、体が大きくなるので最後にたくさんとれる。それに比べると、早生は収量が少ないけれど栽培期間も短い。短いってことは病害虫被害などのリスクが減らせると言える。それで言うと、初心者なら早生がいいでしょうね。

栽培のコツとお勧め野菜

レシピ本は一冊だけにする

──清水さんは初心者の方に園芸の指導をされることもあるんですね。

清水:私が講演などを行うときに初心者の方に必ず伝えることがあるんです。それは栽培方法が書かれた“レシピ本”を「1冊だけ」買ってくださいということ。何冊もあると、それぞれに言っていることが違うので迷っちゃう。

ですので、まずは1冊買われて、その通りに3回やってみてください。1回だけだと、その年の天候などによってうまくいかないこともあるかもしれません。けれど3回やったら、まずうまくいきますよ。勝手にアレンジしちゃダメですよ。その通りにやるんです。

──耳が痛いです……。

土の量はケチらない方がいい

──そもそもプランターで育てられる野菜とそうでないものはどうやって見分ければいいでしょうか?

清水:たいていの野菜はプランターで育てられます。ただ、カボチャなんかは面積が必要な野菜なので、できないと思った方がいいかもしれない。ヘチマ、ウリ、スイカ、メロンあたりも難しいですね。トウモロコシも受粉のために植え方を工夫しないといけないし、キャベツやハクサイもできるけど小さくなっちゃったりする。体の大きい野菜は少し難しいですね。

あとは土の量なんです。ナスやトマトなどの果菜を育てるときには、一株に対して15リットルくらい土があると作りやすいですね。少ない土でもできることはできるんです。でも、どうしても少し小さくなったり、収穫量が落ちてしまったりします。野菜が元気に育ってたくさん実をつけるのを見て楽しいって、そういう気分を味わうのも大事じゃないですか。

清水さんのレシピ本は『ここまでできる!ベランダでコンテナ菜園』(淡野一郎著、家の光協会)だそう

栽培のコスパがいい野菜

──それでいうと、土やスペースに対して効率のいい野菜は何だと思いますか?

清水:効率が何かっていうのがあるので一概には言えませんが、お得感があるのはハーブ類ではないでしょうか。だってハーブって買うと高くないですか? 例えばバジルなんかは、10枚くらい葉がついたのがパックになっていて198円とか。

でも、自分で育てる場合、同じくらいの値段で苗を一株買えば、そうだな……食べきれないくらいできますよ。土も3リットルくらいあれば十分。10〜15センチくらいになったところで茎の上部を摘み取る(摘心する)と脇芽が出てきて、脇芽が伸びたらまた先を摘心してやると、倍々ゲームで増えていきます。種からでもできますが、苗一株でも充分。

──そうなんですか! バジルはすでに普通の種袋を買っちゃいました。

清水:それは……バジルだらけになりますね(笑)。

──いまの話だとバジルの種も余りそうです。いまさら隠すつもりもないのですが、秋にまききれなかった種が結構ある。春にまたまくつもりですが、保管状態が雑なもので、ちゃんと育つか心配でもあるんです。

(清水)ああ……。本格的にまく前にプランターの端っこにでも少しまいてみて、ちゃんと芽が出るか試してみるといいですよ。出ないとがっかりしちゃうし、まき直そうとしたときには時期を逃しちゃっていることはよくありますから。

最初の方(前回)にも言いましたが、まく時期をきちんと見ることは大事です。一番大事と言ってもいいかもしれません。あとは新しい、良い種を買ってもらうこと。

──その「良い種」の要素がよく分からなかったりするんですが……。

清水:いい種? それは「サカタのタネ」です!

──うまく話がまとまりました(笑)。ありがとうございました。

取材協力:サカタのタネ
 

◆次回もプロの方を取材。土の回収とリサイクルについて聞きました。

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