「白ナス」ってどんな野菜?
紫色ではないナスがあった!

ナスには多数の品種がある
米ナス、長ナス、丸ナス、それから巾着ナスに、水ナス、小ナス……。思いつくままに挙げてみても、これだけいろいろなナスがあります。一説によると、日本だけでも180種類以上、世界では1000種類あるとされています。
最近では、スーパーでも水ナスや小ナスなどの地方品種を見かけるようになりました。地方の直売所などをのぞくと、さらにさまざまなナスに出会うこともあるのですが、いまだかつて一度も実物にお目にかかったことがないナスもあります。
その一つが白ナスです。
ナスと言えば紫、紫の野菜と言えばナスというくらいに「ナス=紫色」のイメージは強くあるのですが、これは真っ白! まさに雪のように白いナスがあるというのです。
「ナスなのに真っ白」のヒミツ
そもそもナスはなぜ紫色をしているのか。それは、ナスの皮にはポリフェノールの一種でアントシアニン系色素の「ナスニン」が多く含まれているからです。このナスニンが作られずに葉緑素(クロロフィル)が形成されると緑っぽい色のナスになり、ナスニンも葉緑素も形成されないと真っ白のナスになるそう。
緑のナスは「青ナス」とも言いますが、緑も白もまとめて「白ナス」と呼ぶこともあるようです。

皮が真っ白の「白ナス」
食感はトロトロ!?
栄養面では、ナスニンが含まれないため、ポリフェノールの抗酸化作用が期待できないという部分はありますが、食物繊維は豊富。
また、皮が厚くて硬いのも特徴です。夏の紫外線から身を守る色素がないために皮が厚くなったとされ、厚い皮が果肉の水分を閉じ込めるためにみずみずしく、加熱するとトロリとした食感になるといいます。
通称は“トロナス”。調理してトロトロ……とは、想像するだけでヨダレが出そうです。しかし、白ナスはそもそも生産量が少ない上、傷がつきやすく流通しづらいとも聞いたことがあります。うーん、なかなか手に入らないと知ると、ますます食べたい……!
白ナスの苗を植え付ける
買えない品種は自ら栽培するべし!
こうして「白ナス」の存在が頭にインプットされて以来、さりげなくその存在に目を光らせてきたのですが、収穫物としての白ナスにはいまだ出会えず。その代わりに、この春、大型の園芸店でついに出会ったのです。何に出会ったかって、もちろん白ナスの苗に。

園芸店で出会った白ナスの苗
「買えぬなら、育ててやろう、白ナスよ」。
というわけで、即決です。購入した苗は2種類。いずれも接ぎ木苗で「揚げてトルコ」と「ホワイトなすB」という名前のものです。タグの写真を見る限り、どちらも真っ白で中長ナスのような長卵形(ちょうらんけい)の実がなるよう。

苗のタグ。2種類あったので両方買ってみた
植え付けには早い時の対処法
勢い込んで手にしましたが、この時点ではまだ4月中旬。ナスの植え付けは、東京などの温暖地では5月の大型連休ごろに行うのが一般的ですから、植え付けには少し早いのです。
心配になってベテラン店員さんに尋ねてみたところ、「夜間の気温が15度を下回らないようになれば植え付けられるんだけどねぇ……」と思案顔。店員さんの話では、一度でも15度を下回ると良くないが、かといって連休まで待ってもその時に入荷している保証もないそう。
ならば、と本格的に植え付ける前に小さな鉢に仮植えして、夜間は室内に取り込むことを勧められました。結果的には、連休中にも寒い日が何度かあったので、植え付けを急がなかったのは正解でした。

直径18センチのポットに仮植えした
ナスのプランター栽培は難度が高め?
そして、連休明けの穏やかな天気の日、ようやく大きめのプランターに植え付けました。

ぜひ収穫までこぎつけたいが……
ナスは水やりや追肥をマメに行う必要があり、プランター栽培では難度が高めの野菜とも言われています。今回用意したのは12リットル入る角形のプランターですが、理想を言えば15リットルくらいの容量が欲しいところ。自らハードルを上げてしまって、自分では手に余るのではないかと気が気ではありません。
とはいえ、手に入りにくい野菜こそ、家庭菜園で育てる価値があるのではないかと改めて気づくきっかけになりました。まだ見ぬ白ナスというご褒美を目の前にぶら下げて、夏までせっせと駆け抜けてみようと思います。
◆次回は、初心者にもできる水耕栽培です。