栽培キットで手軽にチャレンジ
気づかぬうちに実践していた!
「水耕栽培」は、土を使わずに水と液体肥料を使って植物を栽培する方法です。植物を栽培している人なら誰しも一度は耳にしたことがあるのではないかと思います。もちろん私も、ベランダ菜園を始めて間もない頃から、そういうやり方があることを知識としては知っていました。
知ってはいたものの、「なんか難しそう……」というのが正直な印象でした。だってまず、仕組みが全然分からない。理解できていないから、土を使わないなんて、まるで魔法じゃないのと思っていました。
ところが、実は自分でも気づかぬうちに手を出していたのです。この魔法に。
ペットボトル型容器でハーブの水耕栽培
それが、コレです。栽培キットをあれこれ試したときに購入した「育てるグリーンペット」(聖新陶芸)。「ちょっと珍しい形式だな」「インテリアとして置いてもオシャレかも」というノリで選んだのですが、いま思えば、ボトルにもしっかり「水耕栽培」と書かれていました。
キットにはボトルのほか、種、セラミックボール、粉末肥料、培地フィルターが含まれていました。仕組みはこうです。
まず、セパレートになっているペットボトルの下部に、粉末肥料を水で溶かした培養液を入れます。上部はひっくり返して重ね、真ん中の口部分に培地フィルターを挿すようにして装着。その周りに培地としてセラミックボールを敷き詰めます。培地フィルターに種をまくと、ここから芽が出て、根もフィルター内を通って下に伸びていく構造です。
この培地フィルターに特徴があるものの、ペットボトルを使うこと自体は特段珍しいことではなく、このような形で水耕栽培を行う人は多いと思います。
数日で小さい種から小さな芽が出て、現在も少しずつ大きく育っています。
子ども向け実験シリーズでも水耕栽培
また、夏休みの自由研究にも使えそうな「ちょこっと実験箱」シリーズの「育てて食べよう 水耕栽培」(エイチ・エヌ・アンド・アソシエイツ)というキット。これなんて届いてみれば、高さ十数センチの小さな箱に、ミニトマトの種、スポンジの苗床、水に溶かす粉末肥料、それに説明書が入っているだけ。手持ちのペットボトルの口部分に苗床をはめ込むだけのシンプルな仕組みです。
遮光のため、ペットボトルにアルミホイルをまきました(これについては次回検証します)。芽が出始めの頃はなかなか育たない印象でしたが、暖かくなってきてぐんぐん伸びてきました。茎が傾いてきてしまったので、大きな容器に移し替えようと思っています。
やってみれば仕組みは簡単!
これ以外にもいくつか栽培キットを取り寄せて育ててみました。アレコレ自分で触ってみて分かったのは、基本的な仕組みは驚くほど簡単だということ。それどころか「これなら自分でも作れそう」という感想を抱くように……。
というわけで、自作もしてみました。やり方がわかるとそれほど難しくはないのですが、いくつかポイントがあるようです。手始めにペットボトルで自作したものを公開します。
家庭で水耕栽培を始める方法
種まきはスポンジに
ペットボトル容器で自作することにして、その前に種まきをしました。
使用したのは、水耕栽培用のスポンジ培地と家に余っていた葉物野菜の種。種まき用の培地は食器洗い用などのスポンジを2センチ四方くらいに切ったもので代用できますが、切る手間が省けるのと、切り込みがあって種をまきやすいために専用のものが便利でした。
スポンジに水を十分含ませてから一つにつき2粒ずつまきます。発芽しない種があることも見越してのことです。
このときは乾燥防止のためにトイレットペーパーをかぶせておきましたが、器ごとラップをかけておくだけでも大丈夫。発芽後、双葉が開いて根がスポンジからはみ出して伸びてくるまで待ちます。
専用容器を作る
ペットボトルを切り分けて作る場合
種をまいて発芽を待つ間に、栽培容器を作りました。まずは「育てるグリーンペット」のように、ペットボトルを切り離して組み合わせるパターン。
ペットボトルを3つくらいに切り分けて、上部をひっくり返して下部にはめ込みます。ボトルの形は丸でも四角でも、どちらでもできますが、個人的には四角の方が使いやすく感じました。ボトル表面の凹凸が大きいと上下を組み合わせにくく使えません。
ボトルの口部分に、スポンジをはめ込んでみると、上のような感じ。スポンジの周りに培地を敷き詰めました。さらにボトルの周りにアルミホイルをまくと、上からの光も横からの光も遮断できます。
ボトルをそのまま使う場合
もっと簡単なのは、ボトルをそのまま使うやり方です。ボトルの口部分にスポンジを差し込むだけ。切り分けないのでビンなどをそのまま使うこともできます。これもボトルの周りを覆って遮光するようにしました。
培養液やその後の成長は?
培養液は、液体肥料の「ハイポニカ」(協和)を規定通りに水に溶かして作りました。その後は、培養液が減ってきたときに継ぎ足す程度でほぼ放置。
まだ寒い時期に種をまいたため、いずれも最初は成長が緩やかだったものの、暖かくなってきてからはどんどん大きくなりました。容器が小さいので早めに収穫した方が良さそうですが、大きな容器を使えば、もっと大きく育てることもできそう!
培地、容器、肥料……やり方は無限大!
今回はボトルをそのまま使った場合と、ペットボトルを切り分けて使った場合の両パターンで栽培しましたが、栽培する野菜の種類によるものの、スポンジ培地の周りに何かを敷きつめて支える方が株元が安定するのかなという印象を持ちました。
素材としては、キットで使ったセラミックボールをはじめ、ココピート、砂、ハイドロボール、今回の自作で使った「セラミス・グラニュー」など、使えそうなものは多数。また、容器もペットボトルのみならず、いろいろな材料を使って工夫できそうだし、肥料についても他の選択肢があるでしょう。
「水耕栽培?難しいんじゃ……?」と閉ざしていた扉を開けると、未開拓の土地が果てしなく広がっていました。で、時間も忘れてせっせと工作と実験に励むことになってしまったのですが……その話はまた別の機会に。
◆で、結局どのやり方が良かったのか。次回、書ききれなかったさまざまな方法を一挙公開。