使った容器いろいろ
土を使わずに水と液体肥料で野菜を育てる水耕栽培。前回の記事では、手始めにペットボトルを使って簡単に自作したものなどを紹介しました。しかし、仕組みが分かると、究極的には液体がためられて自立する容器なら何だってできるような気もしてきます。
コーヒー店のプラスチックカップ
自宅で水耕栽培を楽しむ人の中には、バケツや収納容器、使わなくなったマグカップなどを使って栽培する人もいるよう。そんなことを調べていると、手元にあったコーヒーのカップに目が釘付けに。
![](https://agri.mynavi.jp/wp-content/uploads/2019/05/49ef72b19c9b2addea8db508ca9b00b7-1.jpg)
たまにしか行かないオシャレコーヒー店のカップが神
「スターバックス」のプラスチックカップです。フタをひっくり返してカップに重ねてみれば、あらピッタリ。真ん中にはストローの差し込み口が開いていて、まるで水耕栽培のためにあるような形状をしているではありませんか!
当然、作りますよね。やや安定感に欠けるので、別のプラスチックカップの底を使ってスタンドを作りました。
![](https://agri.mynavi.jp/wp-content/uploads/2019/05/20cfce153c6dcbd30dc35695758066ae-1.jpg)
一番小さい「short」サイズのカップだが、大きいものがオススメ
![](https://agri.mynavi.jp/wp-content/uploads/2019/05/041c8e89b678b46731ac2144bc87c2e7-2.jpeg)
ストローの差し込み口にスポンジを入れる。スポンジへの種まき方法は前回を参照
ただ、せっかくオシャレなカップでも、遮光のためにアルミホイルを巻くと柄が隠れてしまうのが惜しい。
遮光する理由は、光が入ると藻が大量発生して成長に影響するとか、夏場などは培養液が日光で温まって根を傷めるなどと言われています。迷いましたが、今回はちょうどカップが2つあったので、一つはアルミホイルを巻いて、もう一つはそのまま置いてみることにしました。
100円ショップのザル付きバット
「この容器ピッタリ!」を見つけてしまったら、もう止まりません。あれが使えるんじゃないかと家中をひっくり返して、すっかりお宝探し状態に。飽きるまで工作を繰り返してガラクタが尽きてきたところで、結局、シンプルな容器を調達することにしました。
使った材料はすべて100円ショップで購入しました。ちょうど便利かもと思ったのはザルが付いたバットです。重ねたザルの上に不織布のお茶パックをおいて仕切りにして、水で膨らむ土(ココヤシ)やカラーサンド(砂)を入れて種をまきました。
![](https://agri.mynavi.jp/wp-content/uploads/2019/05/eba117ff5d58c6bf1f96e4940afb87de-1.jpeg)
カラーサンドは扱いが難しい感じがした
カラーサンドの方は乾きやすいためか、出た芽がダメになってしまい、再度まき直し。ココヤシの方は力強い双葉が出ました。ただ、バットとザルの間にはおそらく5ミリ程度しか隙間(すきま)がないので、根っこが窮屈にならないのか心配に思いました。
猫よけマットとスポンジ
![](https://agri.mynavi.jp/wp-content/uploads/2019/05/8ec6a9c9f17f674d2b5aa83ddff080e1-2.jpeg)
ザル付きバットと猫よけマット。この場合ザルは使わないので下に重ねてある
上げ底にするのにちょうどいいものも見つけました。猫よけのためにトゲトゲがついているマットです。このマットを切って下向きにバットに敷き、食器洗い用スポンジを種まきの培地にしました。
![](https://agri.mynavi.jp/wp-content/uploads/2019/05/9bdf40befda56aded47d3d00bffed831-1.jpeg)
猫よけマットのトゲトゲを下に向けると上げ底になる
スポンジに水を含ませて種をまきます。この時は種まき用に切り込みを入れましたが、そのままでも大丈夫だったかもしれません。種まき後は、乾燥防止のために発芽までラップをかけておきました。
![](https://agri.mynavi.jp/wp-content/uploads/2019/05/5b398eeaa9d4e5cbd78497cfa5d68afd-2.jpeg)
スポンジに切り込みを入れて種をまいた
![](https://agri.mynavi.jp/wp-content/uploads/2019/05/da08479581968d2308da7b3df64abe22-2.jpeg)
播種(はしゅ)から3週間くらいたった頃の様子
端の方にうまく育たなかった芽もありましたが、その他は順調に育ち始めました。
完璧な形状の容器を発見?
100円ショップといえば、こんな容器もありました。
![](https://agri.mynavi.jp/wp-content/uploads/2019/05/80a5a94fad8b64c4f0af5fd919d272fc-1.jpeg)
「開け閉めいらずの整理BOX」という名の収納容器
「開け閉めいらずの整理BOX」と言って、水切りネットやポリ手袋を折って入れると一枚ずつ出しやすいというアイデア収納容器だそう。
![](https://agri.mynavi.jp/wp-content/uploads/2019/05/57b8ad171c27ba4a3f9ece1dc83d4034.jpg)
上から見たところ
上から見ると十時に切り込みがあります。目に入った瞬間、なんて素晴らしい容器を見つけてしまったのか、と興奮。だって、こんな形状を見てしまったら……
![](https://agri.mynavi.jp/wp-content/uploads/2019/05/3f024b15786525d50fc2154c450f14aa-1.jpg)
スポンジ培地をはめ込むのにピッタリ!
こうやってスポンジ培地を差し込まずにはいられません! なんと言ったらいいのでしょう、はやり言葉で言うところのシンデレラフィット? まさにピッタリ。フタがあるので遮光する必要がないというのもポイントです。
いろいろ試した中で一番よく育った方法
遮光の有無による育ちの違いはあるのか
さて、こうしてせっせと工作と実験に励んだ結果、どう育ったのか。まとめてご報告します。
まずはスターバックスのカップで育てたもの。アルミホイルを巻いて遮光したものと、そのまま栽培したものの2つがありましたが、こうなりました。
![](https://agri.mynavi.jp/wp-content/uploads/2019/05/51b6e72b8fedaa64dbea904916317f1a.jpg)
見た目はだいぶ異なるが、抹茶ラテと思えば悪くないかも!?
遮光していないものは、見事に藻がびっしり! 肝心の野菜は両者ともあまり大きく育っていないのですが、根の成長を比べてみても、今回は劇的な違いは見られませんでした。
![](https://agri.mynavi.jp/wp-content/uploads/2019/05/95d6522e09caeba895391efca4f8214d.jpeg)
育ち具合には大きな差がないように見える
![](https://agri.mynavi.jp/wp-content/uploads/2019/05/d420f08be1707f3a9e3eaf5a4cf323ae.jpeg)
根っこの様子
よく育った100円ショップの容器
![](https://agri.mynavi.jp/wp-content/uploads/2019/05/2ae49fff2b8acb19b7ee047f55ba1698.jpeg)
左は猫よけマットとスポンジ培地、右はお茶パックで仕切ったもの
100円ショップのザル付きバットを使ったものや、十時に切り込みがあった収納容器はおおむねよく育ちました。ただ、カラーサンドにまいた種は、まき直してもやはり十分には育ちませんでした。
![](https://agri.mynavi.jp/wp-content/uploads/2019/05/3ed863717eb290d3df169ebdb70df75e.jpeg)
藻ですっかり緑に染まったカラーサンドの方はあまり育たなかった
![](https://agri.mynavi.jp/wp-content/uploads/2019/05/23c71d49bfba89cac50291f1d18fc8ac.jpeg)
完璧な形状と思ったが、野菜に対して容器が小さかった
これらの栽培方法の中で、もう一度やるとしたら……、「バット+猫よけマット+スポンジ」の方法を私なら選びます。もう少し大きなバットがあれば、なお良し。今回使った猫よけマットなど、何らかの方法で上げ底をして大きなスポンジ培地に種をまくだけ。その方法が一番簡単で、確実に育ったように思いました。
育ち以外にもポイントが
また、ザル付きバットはペットボトル型容器などに比べて、培養液をつぎ足しやすい点も良かったです。
![](https://agri.mynavi.jp/wp-content/uploads/2019/05/ddf2226824b054fbb539585750fdb157.jpeg)
培養液のつぎ足し用にボトルの側面に穴を開けた
ペットボトルを切り分けたものには、追肥のためにボトルの側面に小さな穴を開けておいたのですが、先が細い水差しを使って少しずつしか培養液をつぎ足せません。前回試したビンの口部分にスポンジをそのまま差し込んだものなどは、スポンジの隙間から培養液を追加するしかなく、さらに苦労しました。
その点、ザル付きバットは脇の方に直接ドボドボつぎ足すだけ。繊細な作業が苦手な人でも簡単です。
それぞれに合った栽培方法を見つけよう
我が家で自作した水耕栽培のさまざまな方法と栽培結果についてお伝えしました。今回作った中では、ザル付きバットを使ったものが簡単でよく育ったと感じたのですが、これ以外にもいい方法がたくさんあると思います。それぞれの環境に合った栽培方法を探しながら育てるのも楽しみの一つではないでしょうか。
かく言う私にも、未着手のアイデアがいろいろあります。まだまだ水耕栽培で遊ぶことができそうです。