野菜が次々と“トウ立ち”した
昨秋にミズナ、コマツナ、シュンギクの3種類の種をまいたプランターがありました。鍋料理に使えそうな葉物ばかりなので、通称“鍋畑”。その名の通り、冬の間、何度も収穫して鍋の材料になったのですが、3月中旬頃になると様子が変わってきました。
少しずつ収穫していたために、まだこんもりと葉が茂る中、よく見るとやたらと背が伸びてきた茎につぼみがついているのです。
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ミズナについたつぼみ
“トウ立ち”です。花芽がついた茎が伸びることをそう呼びます。トウ立ちすると葉が硬くなって味が落ちると言われているので、大部分は急いで収穫して料理したのですが、食べきれずに残していたものは、あっという間に花が咲き始めました。
食べるために野菜を育てていると考えると残念な展開ですが、野菜の花を見る機会もあまりないので、これはこれで興味深い。せっかくなのでさまざまな野菜の花を写真に収めてみました。
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コマツナは1メートルくらいの高さにまで伸びた
野菜の花コレクションを公開!
真っ先に咲いたのは、ミズナ、コマツナ、チンゲンサイのアブラナ科3兄弟。どれも似たような黄色い花をつけました。
ミズナ
コマツナ
チンゲンサイ
春らしくて案外心安らぐ光景かも……。そんな風にのんきに観賞していると、その他の野菜も次々にトウ立ちし、花を咲かせはじめました。一気に紹介します。
シュンギク
ホウレンソウ(雄花)
ラディッシュ
ルッコラ
バジル
ミツバ
栽培の教科書では「トウ立ちしてしまう」とか「トウ立ちさせないために」とネガティブな意味合いで使われることが多いので、これは“失敗”の部類に入るのでしょう。また、人間に対して比喩的に使うときには「年頃を過ぎた」というような失礼極まりない意味にもなります。
しかし、こうして観賞してみると、「トウが立つ」ということは「まさにいまから花を咲かせる」ということなのかもしれないなと思えます。
花が散ったら種も取れる?
こうして、ひと月近く目を楽しませてくれた花が散った頃、今度はサヤのようなものができているのに気がつきました。どうやら中に種ができ始めている様子です。
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ミズナのサヤが膨らんできた
ここまで来たのだからと、しばらくそのまま置いて種をつけさせてみることにしました。いろいろ調べてみたところ、茎やサヤがカラカラになって枯れる(熟す)まで待って種をとると良いよう。
コマツナやチンゲンサイにも同様に種ができる兆候があったのですが、長期間にわたって置いておいたためか、うどんこ病と思われるカビで茎や葉が真っ白に。他の野菜にも感染し始めたので途中で処分し、ミズナを数株だけ残しました。
ちなみに、最終的に乾燥させないといけない株に水やりをする必要があるのかと迷い、そーやん師匠に確認したのですが、熟すまでプランターに植えたままの状態で普通に水やりを続けたらいいそうです。
種をとってまいてみた!
5月下旬。ようやくミズナの株全体が熟してカラカラになりました。種ができ始めてから1カ月以上かかりました。
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いよいよ種とり
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残したのは数株程度だが……
手でつまむと少しの力でサヤが弾けて種が飛び出してきました。サヤの中は真ん中に仕切りがあって、左右の部屋に種が並んでいるようなイメージ。種が1粒しか入っていない小さなものから、20粒くらい詰まった大きなものまでありました。ほんの数株でしたが、全部合わせると数えきれないくらいの種がとれました。
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真ん中に仕切りがある
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サヤの中にきれいに種が並んでいる
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左のサヤから右の分量の種がとれた
さらに、種をとった後、試しに小さなプランターにまいてみたところ、3日後にきっちり小さな芽が出てきました。20粒程度まいて出てきた芽が20本なので発芽率はかなり高かったです。
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種まきから5日後。弱々しい芽だがしっかり出てきた
花を楽しむのも家庭菜園の醍醐味
トウ立ちした野菜の花を観賞し、一部から種をとってまいてみました。とれたとは言っても、プロの農家さんのように良い株を選別したり、交雑を防ぐ対策をとったりしていないので、品質についてはあまり期待できません。また、種とりまでの長い間、狭いベランダの一部がふさがっていることをデメリットに感じることもありました。
とはいえ、なかなか見る機会のない野菜の花を心ゆくまで堪能できました。今後またうっかりトウ立ちさせてしまった時には、観賞する花を育てたのだと思って楽しむことにします。
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育つ前に花が咲いてしまった野菜は飾って楽しんだ
◆次回、少し珍しくて高めの西洋野菜を栽培してみる。