畑の害虫図鑑〜カメムシ類編〜【畑は小さな大自然vol.46】

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畑の害虫図鑑〜カメムシ類編〜【畑は小さな大自然vol.46】

連載企画:畑は小さな大自然

畑の害虫図鑑〜カメムシ類編〜【畑は小さな大自然vol.46】
最終更新日:2019年07月18日

こんにちは、暮らしの畑屋そーやんです。梅雨明けの時期から増えてくる害虫の一つがカメムシ類です。ピーマンやナスなどのナス科野菜や枝豆や大豆などのマメ科野菜を好み、その口針を刺して中から養分を吸い取るため、野菜の生育不良や変形を起こしてしまうことも。そして何より刺激すると嫌なにおいを発するため、それが特に苦手だという方も多いのではないでしょうか。今回はそんなカメムシ類の種類や防除・対策の方法についてご紹介しますので、ぜひご覧ください。

カメムシ類による野菜の被害

カメムシ類は4〜10月ごろによく畑に発生し、特に梅雨明け以降から夏後半にかけてがそのピークになります。特にマメ科・ナス科野菜によく発生して被害をもたらします。カメムシ類はその口針(注射針状の口)を植物へ差し込み、そこから養分を吸うことで生きています。そのため養分を吸われすぎた野菜は生育不良や変形を起こすことがあります。

カメムシ類はなぜ臭い?

カメムシといえばあの独特のにおいが特徴ですが、あの臭いにおいは敵から襲われた時など、外部からの刺激を受けた時に、敵への防御策として発していると考えられています。また、そのにおいが仲間への警戒信号にもなっており、においが発生すると周りのカメムシも逃げ出します。

カメムシ類の種類と好む野菜の違い

主にマメ科・ナス科・アブラナ科の野菜がカメムシ類の被害に遭いますが、カメムシの種類によってそれぞれ好む野菜が異なりますので、その特徴を把握しておきましょう。

★カメムシの種類と好む野菜の違い(筆者調べ)

マメ科野菜 ナス科野菜 アブラナ科野菜
①アオクサカメムシ
(実)
②チャバネアオカメムシ
(実)
③クサギカメムシ
(実)
④ホソヘリカメムシ
(実)
⑤マルカメムシ
(茎・葉)
⑥ホオズキカメムシ
⑦ナガメ

①アオクサカメムシ

アオクサカメムシの成虫

全身が緑色なのが特徴です。ただし幼虫の時は黒や赤の模様が付いているので注意。マメ科やナス科などさまざまな野菜の汁を吸います。特に豆類は実の部分の汁を吸ってしまい、中身を変形させてしまうので被害が大きくなります。

アオクサカメムシの幼虫。脱皮すると緑色になる

②チャバネアオカメムシ

黄緑色の体に茶色い羽が付いています。果樹類の害虫として有名ですが、野菜ではマメ科、ナス科野菜にも来て養分を吸い取ることがあります。

③クサギカメムシ

マメ科、ナス科野菜だけでなく果樹にも発生し、果実の汁を吸います。実がでこぼこに変形してしまうことも。

④ホソヘリカメムシ

ホソヘリカメムシの成虫

他のカメムシに比べて細長いのが特徴でイネの害虫として有名です。野菜ではマメ科の実の汁を吸います。幼虫の時はアリに似た姿をしています。

ホソヘリカメムシの幼虫はアリに似ている

⑤マルカメムシ


マメ科野菜の茎や葉から栄養を吸い取ります。実の汁は吸い取らないため、あまり大きな被害にはなりません。

⑥ホオズキカメムシ


ピーマンやナスなどのナス科の野菜を食べます。マメ科野菜には発生しません。

⑦ナガメ


大根やカブなどのアブラナ科野菜の葉の汁を吸います。畑にいるとオレンジ色がとても目立ちます。

肉食のカメムシもいる

畑にいるカメムシは野菜の養分を吸う草食性のものが多いですが、中には肉食のものもいます。上の写真はアオムシの養分を吸っているキュウシュウクチブトカメムシです。見た目はクサギカメムシと似ていますが、こちらは野菜には被害を及ぼしません。

カメムシ類の天敵について

マルボシハナバエ。チャバネアオカメムシ類に寄生する

カメムシ類を食べる生き物はカマキリ、トンボ、クモなどの虫のほか、カエルやトカゲ、鳥などが知られていますが、やはり臭いにおいを発するため、好んで食べているわけではないようです。またチャバネクロタマゴバチ、ホソヘリクロタマゴバチ、ヘリカメクロタマゴバチ、カメムシタマゴトビコバチなどの寄生蜂の仲間はカメムシ類の卵に寄生します。マルボシハナバエなどのヤドリバエの仲間はカメムシ類の成虫に卵を産み付け、寄生します。そのほか、肉食のカメムシであるオオトビサシガメ、グンバイメクラガメや、ゴミムシ・アブの仲間などにはカメムシ類の卵を食べるものがいます。

カメムシ類の防除と対策の方法

カメムシ類は1株に2〜3匹いる分にはそこまで気にする必要はないですが、それ以上に数が増えるようだと注意が必要になってきます。以下に紹介する防除や対策の方法を上手に使い分けながら対応してください。

風通しを良くする

カメムシは野菜の枝葉が混み合っている部分によく住み着きます。そのため黄色くなっている下葉や混み合っている部分の枝葉は落として、風通しを良くしましょう。

天敵の利用

そーやんの運営している体験農園の様子。雑草も含めて多種多様な植物を共存させることで、複雑な生態系が出来上がる

カメムシ類の天敵を増やしたいところですが、実際は特定の天敵を狙って呼び寄せたり、増やしたりすることはかなり難しいです。その代わりに、できるだけ畑の中の生態系を複雑にしていくことで、自然と天敵が増えることを狙います。畑の中の生態系を複雑にするための最も単純な方法は、畑に生えている植物の種類を多様にすることです。さまざまな種類の野菜やハーブを植えたり、雑草も邪魔にならないものであれば適度に残しておくことで、それぞれ住み着く虫や微生物が異なるため、自然と生態系も多様になり、特定の虫だけが大量発生する可能性が低くなります。

捕殺

ペットボトルで作った捕獲器

直接手で捕まえようとすると、飛んで逃げたり、つかんだ時に異臭を放ったりするので、ガムテープなどでくっつけて捕るか、茎を軽く揺らしてポロっと落ちて来たところをバケツなどの容器で捕まえるなどの方法をとります。ただバケツなどだと捕獲途中で飛んで逃げることもあるため、ペットボトルで簡単に捕獲器を作るとオススメです。ペットボトルの上から3分の1くらいを切り、飲み口のところを下にして下部に差し込み、接続部分をテープで固定すると完成です。

また葉に産みつけた卵の段階で駆除する方法もあります。卵には下のように茶色くツヤがあるものや、緑色のものなどがあります。

ホオズキカメムシの卵

木酢液

カメムシ類は木酢液のにおいを嫌うと言われており、忌避剤として使用することができます。ただし蒸発してしまうため一時的な効果しかないので注意しましょう。300~400倍程度に薄めて使用します。

防虫ネット


野菜を防虫ネットで囲むことで野菜に寄り付かなくさせる方法です。大根、カブ、枝豆などの背丈の低い作物には使えますが、ナスやピーマンなどの背丈の高い作物は難しいので他の方法を使いましょう。

カメムシ類の数が増えすぎないような手入れを

カメムシ類だけでなく、他の害虫対策においても「根絶しようとする」のではなく、「数が増えすぎないようにする」という考え方をオススメしています。なぜかというとまず一般に害虫と呼ばれる草食性の虫は、自然界の生態系ピラミッドの中でも底辺に位置する生き物たちであり、その全体を支えている存在です。その底辺にいる生き物たちを根絶しようとすると、生態系のバランスが崩れ、その天敵となる虫も数を減らしてしまったり、逆に害虫の異常発生を後に招く原因となることもあるからです。どのみち害虫を根絶することは、完全に密閉された空間などではない限り不可能ですので、躍起になって駆除しようとするのはまさにイタチごっこで、こちらが疲弊してしまいます。特に家庭菜園などではそこまで虫食いを気にする必要もないと思いますので、その数が増えすぎないようにだけ注意し、どんな天敵が来るかなどの生態系の変化を観察していきましょう。

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