畑の雑草図鑑〜メヒシバ編〜【畑は小さな大自然vol.47】

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畑の雑草図鑑〜メヒシバ編〜【畑は小さな大自然vol.47】

連載企画:畑は小さな大自然

畑の雑草図鑑〜メヒシバ編〜【畑は小さな大自然vol.47】
最終更新日:2019年07月26日

こんにちは、暮らしの畑屋そーやんです。梅雨が終わり夏真っ盛りになると元気になってくる雑草の一つがメヒシバです。メヒシバは茎からも根が出てきて、横に伸びた先で根をはり、どんどん広がって、あっという間に畑を覆ってしまいます。せっかく刈り取りしても、またすぐ広がってしまうため、精神的にきついものがあります。今回はこのメヒシバについてその生態や対策についてご紹介します。

メヒシバってどんな雑草?

メヒシバは夏生の一年草で、夏場の畑によく生える代表的な雑草です。春に出芽し、夏から秋にかけて大きく成長して穂を出し、そこからタネをつけ、冬までには枯れていきます。草丈は通常30〜70センチほどですが、周りに背の高い雑草や野菜があるとそれと競い合うような形で上にどんどん伸びていきます。
 
漢字では「雌日芝」と書き、日当たりの良いところに生えるため、日芝とついたのではないかと言われています。また雌と書いているように、雄日芝(オヒシバ)も存在します。こちらはメヒシバに比べて葉や穂が大きい見た目からオヒシバとつけられたようです。ちなみにオヒシバはメヒシバに比べて、よく人が歩いて踏みしめたような硬い土地でも生えやすく、メヒシバはオヒシバよりも乾燥に強いという特徴があります。特に畑においてはメヒシバの発生の方がよく見られます。

メヒシバはどんな場所に生える?

メヒシバに覆われている畑の様子

メヒシバは肥料分の多い畑の方が繁殖しやすいことが分かっています。ただし肥えた畑だけでなく空き地やゴルフ場などの痩せた土地でも見られます。乾燥に強いため、乾燥しやすい環境の場所では、特にメヒシバが優先的に育つようです。またメヒシバが生えやすい土壌のpHは6〜7とされていますが、pH4.5〜8の広い範囲でもよく生育します。メヒシバは同じ種類の中でも変異が多く、環境ごとに適応できる遺伝的な多様性を持っていることが、さまざまな環境下で生えやすい理由になっているようです。

メヒシバは夏場に本領を発揮する

茎の途中からも不定根という根を出して、そこから養水分を吸い取る

メヒシバが発芽できる温度は15度から45度くらいまでで、最適温度が30〜35度と他の夏雑草に比べて高いので、生え始める時期は他の雑草よりも遅いです。ただし乾燥にとても強く、茎からも不定根という根を出して養水分を吸収し、横にどんどん広がっていくため、夏場の繁殖力はとても高い雑草になります。また、他の植物の生育を阻害するアレロパシー物質を根から出すことが知られており、繁殖力が高い要因の一つになっています。夏場に草刈りをせずに放任していると、最終的にはメヒシバばかりになっているということもよくあります。

メヒシバのタネは短命?

メヒシバはタネの寿命が2年ほどと他の雑草に比べて短いことが特徴です。さらにそのタネが地中に深く埋められた場合にはもっと寿命が短くなります。不耕起栽培をしているような畑では、タネが埋土しにくいため、メヒシバの発生は増える傾向にあります。

メヒシバと地力の関係

畑にどんな雑草が生えているかを知ることは、その畑の状態を推測する手助けとなります。雑草から推測することのできることの一つに、その畑の地力(ちりょく)があります。地力とはその土地が持つ植物を育む力のことで、地力が上がってくると、あまり手をかけなくても野菜は健康的に育ちやすくなります。
 
地力が高いということは土壌の生態系が豊かになっているということを表しますので、基本的にはその地上に生える雑草や虫などの生態系も豊かになり、多様性が高い状態を表しています。そのため基本的には地力が低い場所では一部の雑草だけが目立ち、地力が高い場所ではより多様な雑草が見られます。
 
下の表は畑の地力を診断するときに、僕が指標として使っているものになります。地力の段階をレベル1からレベル4に分け、それぞれの段階を見分ける指標となるような雑草を記載しています。

地力 特徴 生えやすい雑草 適した野菜
レベル4 ほとんどの野菜が少肥料でも育つ ハコベ、ホトケノザ、オオイヌノフグリなど ナス、ピーマン、キャベツ、ハクサイ、タマネギなど
レベル3 肥料を入れることで、大体の野菜の栽培が可能 スベリヒユ、カラスノエンドウ、ノボロギク、ツユクサなど ミニトマト、キュウリ、ニンジン、ダイコンなど
レベル2 栄養の絶対量が少ない メヒシバ、スギナ、ハハコグサ、シロツメクサなど サツマイモ、ダイズ、エダマメ、ジャガイモなど
レベル1 土が硬く痩せている セイタカアワダチソウ、ヨモギ、チガヤなど ヒエ、アワ、タカキビなど

レベル1から4に上がっていくに従って、生える雑草が追加されていき、種類が増えていくという風に考えてください。地力レベル4の段階ではレベル1〜3の雑草が全く生えなくなるというわけではなく、その割合が減っていきます。全体の傾向としては、多年生雑草よりも一年生雑草が生えやすくなり、多くの野菜とも共生しやすい雑草が増えていきます。

この診断方法についてや地力レベルについての詳細は、「雑草で診断!その土で野菜は育つのか?【畑は小さな大自然vol.7】」の記事をご覧ください。ただしこの診断方法は学術的に確立されたものではなく、僕自身やさまざまな農家の経験則による分類ですので、あくまでも参考程度にしてください。

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今回紹介しているメヒシバについては、一応地力レベル2に分類しています。メヒシバやその他のレベル1・レベル2の雑草ばかりが生えている場合は、地力が低い土地の可能性が高いです。ただし乾燥しやすい場所であったり、夏の乾燥しやすい時期、不耕起栽培をしている場所に関しては地力のいかんにかかわらずメヒシバが増えやすいので、地力診断の指標としてはあまり参考にならないこともあり、注意が必要です。

メヒシバ対策のポイント

メヒシバ対策のポイントとして以下の4つを紹介させていただきます。これをやれば全くメヒシバが生えなくなる!というようなものはありませんが、組み合わせることで、メヒシバばかり生えるようなことはなくなっていきます。

ポイント①地力レベルを上げる
ポイント②マルチングを行う
ポイント③耕起してタネを埋没させる
ポイント④成長点の下から刈り取る

ポイント①地力レベルを上げる

雑草堆肥(たいひ)は地力の底上げにおすすめ

地力を上げていくことで、メヒシバ以外の雑草も生えやすい環境を作っていき、相対的にメヒシバの割合を減らしていくという方法です。ただし、ほかの雑草に比べて発生量が地力レベルに左右されにくいため、ほかの方法も合わせて考えましょう。地力を上げるためには有機物が豊富な堆肥の使用が欠かせないのですが、特にオススメしているのが雑草堆肥です。雑草で作った堆肥はミネラルのバランスもよく、吸収されやすい形で土になるため、地力の底上げとして最適な堆肥となります。雑草堆肥をベースにした上で、他の土壌改良資材を組み合わせることをお勧めします。

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ポイント②マルチングを行う

土の表面をビニールや雑草、落ち葉、ワラなどで覆う方法をマルチングと言います。土の表面が裸になっていると、土の乾燥が進み、メヒシバが生えやすい環境になるため、土の表面を覆い、乾燥を防ぎます。こうすることでメヒシバだけでなく、ほかの雑草も生えにくい状態を作ることができます。

ポイント③耕起してタネを埋没させる

メヒシバのタネは土の中に埋没するとその寿命が短くなるため、耕すことでタネを土の中に埋めて発芽しないようにするという方法です。5センチでも埋まってしまえば十分ですので、タネが落ちやすい秋以降の時期に土の表面を耕すことでメヒシバの発生数を減らすことができます。

ポイント④成長点の下から刈り取る

根元が残っていると、またすぐ生えてくる

根元の下を刈り取るイメージで

メヒシバのタネの寿命は2年ほどとされているので、繰り返し刈り取りを行うことで減っていきやすくなります。ただしメヒシバなどのイネ科雑草は、成長点と呼ばれる、葉が発生するポイントが根元付近にあり、ここを取り除かなければすぐに葉が再生します。鎌を少し土の中に入れるような感じで成長点の下を確実に刈り取りましょう。

心が折れない程度にコツコツと

久しぶりに畑にいくと、畑がメヒシバだらけになんてことも

メヒシバは根はあまり深く張らないため、取り除く作業自体はそこまで大変ではありません。しかし、メヒシバは横にどんどん広がっていくスピードが早いため、一度刈り取っても再度畑に行くとまたメヒシバが広がっているということがよく起こり、精神的に参ってしまいやすい点が最も厄介です。そこで心が折れて、刈り取りを諦めてしまう方も少なくはありません。特に夏の暑い時期にメヒシバはよく茂るため、夏の暑さも重なって一層メヒシバの除草作業がきつく感じるものです。ある程度この季節はこういうものだと覚悟して、心が折れない程度に草刈りを頑張りましょう。

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