四季の美しさ彩る喜多方市って、どんなところ?
福島県の北西部に位置し、飯豊連峰の雄大な山並み、豊かな自然が魅力の喜多方市。春夏秋冬の四季をはっきりと感じることができる気候で、夏は暑く、かんかん照り、冬はずっしりと、雪が降り積もります。
アスパラガスを中心とした野菜や、お米の出荷量が多く、農業が盛んな喜多方市ですが、観光客が多いのも特徴です。日本3大ラーメンの一つ『喜多方ラーメン』をはじめ、4000棟を超える蔵があり、おいしい日本酒を求めて、年間180万人を超える多くの観光客が喜多方市を訪れます。近年では、県外からの移住者も増えているそうです。
アスパラガス専作で大成功! 喜多方を代表するアスパラガス農家『ファーム・山口』
ファーム・山口のアスパラガスは、太くて食感がしっかりとあり、柔らかな甘みがあります。地元の蕎麦屋はファーム・山口から、直接このアスパラガスを買い付け、一本まるごと天ぷらにして出しているそうです。
「うちのアスパラガスは本当においしいよ。食べてごらん」と、代表の山口さんは自信たっぷりに語ります。その理由は、丁寧な土作りや日ごろの手入れだけでなく、喜多方市の土地が、アスパラガスを育てるのに良い環境だからです。特に山口さんが生産している地域は水はけがよく、雨に強い水切れの良さがあり、甘くておいしいアスパラガスが育ちます。
定植前の土作りや堆肥、防虫対策へのこだわりも相まって、質の高いアスパラガスが生産されます。現在、山口さんは、アスパラガスをメインとし、作付面積と売上高では、地元JA管内でもトップとのことです。
「アスパラガスは手が掛からないし、4月から10月まで長期間出荷することができる野菜です。土地があって、土作りからきちんとやれば、誰でも生産できるし、生産した分だけしっかり稼げます。私だけでなく、同じ地域で私のように経営している農家はたくさんいますよ」。
山口さんは、現在220aもの面積でアスパラガスを栽培していますが、安定した生産、経営は土地の広さだけが理由ではありません。栽培は露地とハウスで半分ずつ行っており、ハウスが3月下旬から収穫、露地が5月から収穫、ハウスの2回目が6月から、露地の2回目が7月からと、作業時期を分散しています。それにより、大規模での栽培を実現させています。さらにさまざまな品種も組み合わせ、長期間安定した生産ができるように工夫をしています。
山口さんが農業を始めたのは、31歳の時。それまではJAへ勤務し、営農販売などに携わってきました。4人目の子供が産まれた時に、かつて両親や祖父母がスイカや葉たばこを作っていた土地で、アスパラガスやトマト、水稲を栽培することになりました。
その後、農作業の効率化や経営のことを考え、39歳の時にアスパラガスの専作農家を目指します。トマトを廃作し、毎年10aずつ、アスパラガスの作付面積を増やしていったそうです。現在は、喜多方市を代表するアスパラガス農家にまで成長しました。
「今は主に長男と2人でアスパラガスを栽培しています。三男は今、アスパラガスの面積を増やしています。喜多方市では、アスパラガス栽培が人気なので、若い後継者も少しずつではありますが増えてきています。栽培の手間の少なさ、しっかり売れること、この地域の住みやすさが理由だと思います。それに農作業がない冬の期間12月〜2月は、まるまる休めるのもアスパラガス専作農家の魅力ですね」と山口さん。
新規就農でアスパラガスを栽培した場合、最初の収穫までに2年かかります。しかし、1度アスパラガスは一度植えると、10年以上収穫できるため、土作りさえしっかりすれば、続けて出荷できます。ゼロから始めた場合でも、5年で作付面積を50aにした場合、1000万円の収入にはなると山口さんは教えてくれました。
冬の期間もしっかり休めるので、お孫さんと遊びに行くことも多いそう。多くの新規就農者の方は地元の酒蔵で働いたり、道路の除雪作業などを行っているそうですが、趣味や旅行を楽しみたい方にもおすすめだそうです。現在61歳の山口さんの今後の目標は、「65歳には経営を長男に移し、長男の技術を今よりもっと磨くこと。また、一般の方の収穫体験も積極的に受け入れており、そちらも続けて、たくさんの方に農業の楽しさやアスパラガスの魅力に触れていただきたい」と語ってくれました。
喜多方市のアスパラガス作りをトップで引っ張り、守り続けている山口さん。これからもアスパラガスをどこよりもおいしく、効率的に作り、アスパラガス作りをする人、新たに就農する人の確かな指針となっていくことでしょう。
これは活用したい! 喜多方市の就農支援制度と農業体験
喜多方市では、アスパラガスの栽培を推奨しているため、研修や出荷体制がしっかり整備されています。また、新たに就農する方に対し、就農準備から、経営開始初期段階の各ステップに応じた支援『喜多方市新規就農者経営確立支援事業』を実施しています。
研修期間の補助や農地貸借料の支援、住宅貸借料支援など多くのサポートもあります。また、農業体験も積極的に行っており、喜多方市で農業や生活を実際に「来て」「見て」「触れて」いただく機会を設けています。
まずは一度喜多方市に来て、開放感のある自然や、農業の楽しさ、難しさを肌で感じてください。
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福島県喜多方市字御清水東7244-2
喜多方市役所 産業部 農業振興課
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