【岡山県④】土と、水と、人に魅せられて。単身、憧れのモモ農家に。

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【岡山県④】土と、水と、人に魅せられて。単身、憧れのモモ農家に。

【岡山県④】土と、水と、人に魅せられて。単身、憧れのモモ農家に。
最終更新日:2019年08月19日

くだもの王国と称される岡山県の北東部に位置する勝央町は、人口1万人余りの小さな町。近年は少子高齢化が進んでいますが、一方で、豊かな自然が残り「都会にはない魅力がある」と、田舎暮らしに憧れる若い世代の注目度は年々高まっています。そんな中、理想の田舎暮らしとともにモモ農家として新たなキャリアをスタートさせたのが、長崎県出身で数年前まで岡山県南の民間企業に勤務していた松尾誠さん(41歳)。就農のきっかけやこの地の魅力について語っていただきました。

将来への漠然とした不安に導かれた、「勝央町桃部会」との運命の出会い

2018年に岡山県勝田郡勝央町で念願のモモ農家デビューを果たした松尾誠さん(41歳)が農業を志したのは、会社員時代に芽生えたある思いがきっかけでした。
「岡山市内の大学卒業後、民間企業に就職して10年ほどたったころ、ふと思ったんです。『毎朝同じ場所、同じ時間に出勤し、まったく同じではないにしても似たような仕事を淡々とこなす日々。自分はこれを定年まであと何十年、繰り返して生きていくんだろう』って。そう思うとどんどん将来が不安になって、定年まで勤めあげる自分の姿が思い描けなくなってしまったんです」。
そんな時、インターネットで偶然見つけたのが国の新規就農支援制度でした。
学生時代に農学を学んだわけでも親類に農家がいるわけでもなかった松尾さんにとって、農業は完全なる未知の世界。即座に決断できるほど敷居は低くありません。
けれど、農業は日々生長・変化する生き物相手の仕事。現状からの大きな変化を求めていた松尾さんは、強く心惹かれました。
その後しばらく自問・葛藤の日々を経て、転機が訪れたのは38歳の年。職場で異動の打診を受けたのを機に思いが再燃。
「いつか挑戦するなら、今がチャンスかもしれない」と転身を決意しました。

就農の地は当初、岡山県内にこだわらず広い地域から探すつもりだった松尾さん。
けれど、いざ現実的に考えはじめると、温暖な気候と豊かな自然に恵まれた岡山は農業にはうってつけ。
特にモモやブドウといった果樹栽培において知名度・ブランド力があり、行政の就農支援も手厚い。
なかでも研修中は一律年間150万円、また、新規就農後も収入に応じて最大150万円を受給できる支援制度(要件あり)には、ことさら安心感を覚えました。
そんな中、県が主催する産地見学ツアーで目に留まったのは、岡山県北に位置する勝央町。
「地元県南に比べて圃場を確保しやすいことや役場の対応が親切だったことにも魅力を感じましたが、なにより大きかったのは地元桃部会会長・青木義人さんの存在。
人柄がよく、この人のもとでなら安心してのびのびとやっていけそうだと思えたことが、一番の決め手になりましたね」。

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今年就農2年目を迎える松尾誠さん(右)と、師匠で「勝央町桃部会」会長の青木義人さん(左)

マンツーマンでの濃密な研修があったからこそ得られた、多彩な農業経験

その後間もなく勝央町桃部会の実務研修生となった松尾さんは、師匠の青木義人さんのもとでモモづくりを学び始めますが、2年という限られた期間でゼロから農業を学ばなければいけないことを考えても、勝央町の環境は抜群によかったと言います。
というのも、勝央町桃部会の研修生受け入れは現状2年にひとりのペース。つまり、2年間の研修期間中、ほぼマンツーマンで青木さんの指導を受けられるということです。
今の研修生は午前中を実技研修に充て、午後は各々の圃場で現場実践というスケジュールがとられるようになりましたが、松尾さんのときは文字通り「朝から晩まで付きっきり」。
モモ農家であると同時に、水稲や野菜も栽培する複合農家の青木さんのもとでは水稲や野菜の栽培技術に触れる機会も多く、「期待していた以上に多くの経験ができた」と振り返ります。現在松尾さんが、他の新規就農者らと共同で特産の黒豆や稲の栽培に挑戦できるようになったのも、研修中の多彩な学びがあったからこそ。
「それなりに圃場を広げれば将来的にはモモだけでも十分やっていけるのでしょうが、収穫時期の異なる作物が複数あれば、その分より収入が安定しますからね。モモ農家の仕事は春先から夏に集中するのでその他の時期は比較的時間に余裕がありますし、仲間と協力して別の作物を作るのもまた新鮮で楽しいんです。モモ農家になると決めたときはまさか自分が米を作ることになるとは思いもしませんでしたが、新規就農者同士の情報交換や切磋琢磨の場にもなって、毎日とても充実していますよ」。

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キレイに整備された師匠・青木さんの桃圃場

早期自立を目指し研修中に圃場を検討。就農2年目で苗木ははや4年目に

一方、主力のモモは研修1年目に青木部会長が苗木を植えつけ、今年で4年目を迎えました。
成木になり立派な実をつけるようになるまではあと1~2年かかりますが、研修中の早い段階で農地を準備できたおかげで、農業収入を確立できる日も刻々と近づきはじめています。
ただし、だからといって決して気が抜けないのがモモ栽培の難しさ。
モモの木は4年目ごろに弱ったり枯れたりすることもあり、事実、手塩にかけて育てた苗木のなかには、処分せざるを得なくなったものも数本あるそうです。
「農業というのは、教科書通りにきちんと手入れをしたからと言って必ずしもすべてうまくいくというものではないんです。4年目前後の苗木が予期せず弱ってしまうのはモモ農家の間では知られたことですが、その原因ははっきり分かっていないし、そもそも作物の生育は栽培技術だけでなく気候や土地の状態によって大きく左右されるもの。条件が異なれば当然必要な対策は変わってくるし、その年の気温や降水量によってもすべき仕事は変わってくる。研修で学んだこと、経験を積み重ねて自分なりのノウハウを確立するのも大切ですが、結局は目の前の木とその都度じっくり向き合っていくしかないんですよ。何十年とやってきている私だって、いまだに失敗はありますよ」と、青木さん。
それでも、美作台地と呼ばれる勝央町の肥沃な土壌は養分が豊富で水はけもいいことから過度の湿気を嫌うモモの木には最適とされ、古くから町内のいたるところで盛んにモモが栽培されてきました。
農家にとって「命綱」ともいえる水源が確立されていることも大きな利点で、他の栽培地と比べても水の確保に関しては非常に恵まれた環境にあると言えそうです。「地域によっては水の取り合いでトラブルになることもあると言いますからね。その点で言えば、ここは本当に恵まれている。給水栓をひねれば好きなだけ水を使えるというのは、一般の人は当たり前に思うかもしれませんが、農家にとっては実は本当に貴重でありがたいことなんですよ」。

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師匠の青木さん。今も松尾さんとの関係は続き、今も何かあればすぐに相談に駆けつける

行政の手厚いサポート&農家仲間の協力で、理想の田舎暮らしを実現

大学在学中から会社員時代を通して、岡山県南の比較的繁華な地域に暮らしてきた松尾さんにとって、勝央町での就農は「田舎暮らし」という生活上の大きな変化を伴うものでもありました。
縁もゆかりもない土地で、身一つになっての新生活。
不便や不安に感じることも多かったのではないでしょうか。
そう問うと、「それが意外とね、楽しいんですよ。もちろん都会のようにおしゃれなショップや飲食店はありませんが、みんなで集まって食事をしたりお酒を飲んだりする機会は結構あるし、そのなかにはいろいろな人との出会いもありますからね。そこで先輩農家さんからアドバイスをもらったり、地主さんとの接点ができたり。アパート暮らしの間は農機具の保管に多少不便を感じることもありましたが、空き家バンクを通じて農家住宅に暮らせるようになってからはそれも解消し、圃場も近くなってとても快適です」。
聞くと、勝央町には実務研修以外にも新規就農者を対象にしたさまざまな支援制度があり、空き家情報の提供をはじめ、家賃や住宅の改修・購入費用などに対する補助金も充実しているとのこと。
家族とともに移住した場合は子どもの医療費補助や出産祝い金も支給され、40歳未満の新規就農者には就農祝い金も用意されているそうです。
「見ず知らずの町でひとり農業をはじめるというと、何となく孤独なイメージがあるかもしれませんが、そんなことはまったくありませんね。確かに、会社員と違って自分がやらなければ仕事はまったく進まない大変さはありますよ。でも、モモのことであれ、生活のことであれ、もし困るようなことがあれば、行政なり農協関係者なりが必ずサポートしてくれますし、なにより僕には2年間『つきっきり』で支えてくれた師匠がすぐ近くにいますから。これほど心強いことはありません。あとは今すくすくと育っている苗木が成木になり、おいしいモモを実らせてくれるようになれば、言うことはありませんね」。
そう話しながら、よく焼けた肌をほころばせた松尾さんは、始まったばかりの農家ライフを心から楽しんでいる様子。
みずみずしく甘い白桃が松尾さんの圃場から店頭に運ばれる日も、そう遠くはなさそうです。

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田舎暮らしもすっかり板についた様子の松尾さん。あとは自園のモモの実りを待つばかり


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【連絡先】
〇岡山県 農林水産部 農産課 担い手育成班
〇住所:〒700-8570 岡山県北区内山下2-4-6
〇電話番号:086-226-7420

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