圧倒的スケールの農業大国オーストラリアで、最先端農業に触れてきた【Vol.2】

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圧倒的スケールの農業大国オーストラリアで、最先端農業に触れてきた【Vol.2】

連載企画:農業大国オーストラリアで、最先端農業に触れてきた

圧倒的スケールの農業大国オーストラリアで、最先端農業に触れてきた【Vol.2】
最終更新日:2019年10月10日

マイナビ農業制作部員による、オーストラリア農場視察ツアーの体験記第2弾!現地滞在中、街中のスーパーマーケットをぶらぶらしてみて気になったのは、認証つきの農産物や食品の多さ。その背景には、食にこだわりを持つ消費者の増加と、それを取り囲む世界的な巨大市場の存在がありました。2回目の今回は、オーストラリアで知った世界の食品マーケットの最新動向をご紹介します。

世界最大のオーガニック栽培国、オーストラリア

食品への認証といえば、一番最初に思いつくのはオーガニック認証ではないでしょうか。最近日本でもちらほらと街中で見かけるようになりました。認証の基準は国ごとで違うものの、無農薬栽培や減農薬栽培の食品への需要の高まりは、世界的なトレンドとなっています(※1)。

オーストラリアでも、消費者によるオーガニック製品への関心度は高く、国内のオーガニック市場(豪州産商品)の市場規模は2017年で約24億豪ドルと、2012年の予測より約88%増加しています(※2)。オーガニック栽培を行っている耕地面積はなんと3500万ha以上。これは世界最大(※1)の面積を誇ります。

農業大国であるオーストラリアでは、オーガニック製品も多種多様。牛肉、野菜、果物から、乳製品や穀物、コットンまであります。オーガニック認証事業者数は、2009年の2986社から2017年には4028社まで増加。生産者の増加が中心ではありますが、加工業者や製造業者も増えてきており(※2)、ますます市場が活発になっていくことが予想されます。

クイーンズランド州の生産者も、作物の国内外でのニーズを踏まえてオーガニック栽培を行っていました。

Toowoomba(トゥーンバ)でナッツ類を栽培、販売している『Stahmann Farms』は、ピーカンナッツの国内シェア率が87%(※3)。そのすべてがオーガニック栽培によって作られています。中国のオーガニック市場の成長は近年目覚ましいそうで、最近は中国を中心にアジア圏への輸出も盛んに行っています。

認証がずらりと並んだ壁。近年日本でも注目の「ハラール認証」もありました

認証がずらりと並んだ壁。近年日本でも注目の「ハラール認証」もありました

Inglewood(イングルウッド)で、オーガニックのオリーブ農園を営む『Coolmunda Olive Grove』では、約28haの土地で収穫されるオリーブの実をすべて国内限定で、直接契約のみで販売しています。オリーブの実は国内で日常的に食されており、輸出を狙わなくとも国内向けの生産で十分なようです。

『Coolmunda Olive Grove』のオリーブ

『Coolmunda Olive Grove』のオリーブ

従業員のアンさん。加工品も多数展開しているそう

従業員のアンさん。加工品も多数展開しているそう

消費者の食の関心が、さまざまな付加価値を生む

人々の食の安全や健康への意識の高まりが、オーガニック認証以外にもさまざまな認証を生んでいます。今回はその中で2つピックアップしてご紹介します。

・グルテンフリー食品

グルテン(Gluten)とは、小麦や大麦などから生成されるタンパク質の一種。小麦などに水を加えると弾力性や粘り気が出ますが、この正体がグルテンなのです。

パンやパスタ、お菓子などに含まれており、多くの人が日常的に摂取している成分ですが、体質によっては体の中で消化不良を起こし、便秘や下痢を発症したり、さらにはアレルギー反応を引き起こす可能性があるとも言われています。自覚症状が無く、軽い症状の人も含めると、グルテンに対する過敏症の人は年々増えていると言われています。

日本では症状に関しての明確な基準が確立されておらず、街中でグルテンフリー食品を見かけることはあまりありませんが、オーストラリアでは全人口の1%の人がアレルギー反応を示すとされる研究結果(※4)もあり、グルテンフリー食品の取り扱いはスーパーマーケットでも広がってきています。

手前に置いてあるのがグルテンフリーの人気商品

手前に置いてあるのがグルテンフリーの人気商品

クイーンズランド州・Goondiwindi(グーンディウンディ)の『Human Bean Co』では、グルテンフリーに着目したスナック菓子を製造、販売しています。「健康的な商品が欲しい」という消費者のニーズに応えるべく、近隣の大学研究機関と連携しながら開発したソラマメのお菓子は、国内最大手のスーパーマーケットでも取り扱われるほどの人気商品です。

ちなみに米粉もグルテンフリーなので、米粉自体や加工品のニーズは高いと思われます。

・HACCP認証

HACCPは、「Hazard(危害)」「Analysis(分析)」「Critical(重要)」「Control(管理)」「Point(点)」という言葉の略語で、食品を製造する際に安全を確保するための管理手法を指します。日本でも2018年に事業者に対して取得を義務付ける法案が可決されたので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

HACCPは国際的な認証制度なので、食品の国際取引の際に必要となります。輸出が盛んなオーストラリアでは1992年より輸出用の乳製品や水産食品、食肉などを対象に導入が義務付けられてから、野菜などにも導入が広まっています。

クイーンズランド州でも随一の耕地面積を保有する「moon rocks』の作業場。いたるところに作業の注意事項を記したポスターやボードが配置されていた

クイーンズランド州でも随一の耕地面積を保有する「moon rocks』の作業場。いたるところに作業の注意事項を記したポスターやボードが配置されていた

認証を新たな付加価値として使うということ

今回訪問してみて、オーストラリアでは消費者によって公的な認証機関が発行する認証が重視されていることが分かりました。日本国内では生産者の顔が見えることや、国産であることが重視されているため、認証を取得する必要性が感じられないのかもしれません。

今後国内市場の縮小から、海外に目を向ける必要が出てくる時に、消費者の細かいニーズが現れている各種認証は重要なキーワードとなるはずです。今回の記事でオーストラリアと世界のトレンドから、何かヒントを見つけていただいたら、とても嬉しいです。

次回はいよいよ最終回。オーストラリアを悩ませる渇水問題と、そこに挑む生産者にフォーカスします。次回もお楽しみに!


※1 FiBL「World of Organic Agriculture 2019」より引用。
※2 「AUSTRALIAN ORGANIC MARKET REPORT 2018」より引用。
※3 同社発表の数値。
※4 「Screening for coeliac disease using anti-tissue transglutaminase antibody assays, and prevalence of the disease in an Australian community(2009)」より引用。

(参考サイト)
グルテンフリーが体にもたらす影響とは
厚生労働省 HACCP関連ページ

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