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厳しいルールが効果を生む GAPが鍛える日本の農業

連載企画:農業経営のヒント

厳しいルールが効果を生む GAPが鍛える日本の農業

農産物の安全を確保するための規格としてここ数年、脚光を浴びているのが農業生産工程管理(GAP)だ。もともと農産物を輸出する際に有利になるとして関心が広まっていたが、2020年の東京五輪・パラリンピックで選手村などで提供する食材についてGAPの認証取得が条件になったことで、注目度が一気に高まった。ただGAPには、一過性の話題にとどまらない意義がある。農業経営を持続可能なものにするための、管理スキルの向上だ。

安全基準で国際承認を受けたアジアGAP

まずはGAPに関する説明から始めよう。
GAPはGood Agricultural Practice(適切な農業の実践)の略。農薬の適正な使用や異物混入の防止などの「食品安全」と、適切な施肥や節水などによる「環境保全」、作業員のケガを防ぐ「労働安全」が柱で、それぞれの目標を達成するために農作業で管理すべきポイントが詳細に定められている。
GAPの認証制度が誕生したのは1997年。欧州の大手小売業の品質管理担当者が協議し、農産物の生産者に求める基準としてグローバルGAPを作った。国境を越えてさまざまな農産物が盛んに取引されるようになったことを受け、食品の安全を担保するためのルールを設けるべきだとの声が高まったことがきっかけだ。
日本では日本GAP協会が2006年に発足し、グローバルGAPを参考にしてJGAPを作り、第三者機関による認証が2007年に始まった。2017年にはJGAPより内容の厳しい規格として、アジアGAPを作成した。協会の会員には農業法人やスーパー、食品メーカー、農機具メーカーなどが名を連ねている。

日本GAP協会のアジアGAPのパンフレットと基準書

アジアGAPが画期的なのは、世界食品安全イニシアチブ(GFSI)の要求水準を満たす規格として2018年10月に承認を受けたことだ。GFSIはウォルマートやダノン、コストコ、コカ・コーラなどの食品・流通企業で構成する組織。食品安全に関する規格の作成・運営団体から承認の申請を受け、一定の水準を満たしているかどうかを独自のガイドラインをもとに審査する。
GFSIの特徴は、国連食糧農業機関(FAO)などの公的な組織と違い、民間企業が作った組織という点にある。だが名を連ねているのは国境を越えて活動する世界の大手企業のため、GFSIの承認を得ているかどうかは規格の信用力を大きく左右する。日本のアジアGAPは、アジアのGAPで初めて承認を受けた。

2013年に都内のホテルで開かれたGFSIの会合

ではGFSIから承認を受けたアジアGAPと、JGAPは何が違うのか。一つは、認証を得るための審査でチェックされる項目数の違いだ。青果物の基準書だとJGAPが120なのに対し、アジアGAPは163ある。だがもっと重要なのは、GFSIが要求する水準を満たすため、国際標準をより意識した内容にしたことだ。
衛生管理の国際基準「ハサップ(HACCP)」に対応する項目を盛り込んだのはその象徴。異物購入などのリスクがどの作業にあるかを把握し、低減させるため、食品安全に関する幅広い知識を持つチームを作るよう生産者に求めている。
JGAPとアジアGAPのレベルの違いを実感したのが、コメの生産や加工を手がける農業法人のぶった農産(石川県野々市市)だ。社長の仏田利弘(ぶった・としひろ)さんは2009年にJGAPの認証を受けたころ、「それほど難しいとは感じなかった」と話していた。

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