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ふるさとに農業を取り戻したい! 新人ファーマーの挑戦に見る、福島県南相馬市の農業復興

ふるさとに農業を取り戻したい! 新人ファーマーの挑戦に見る、福島県南相馬市の農業復興

東日本大震災と原発事故により、甚大な被害を受けた福島県南相馬市。震災からまもなく9年を迎えようとしている中、農業の復興に向けて力強く歩み続けているファーマーたちがいます。同市の『(株)紅梅夢ファーム』に2019年春、新卒就農者として就農した19歳の鈴木ふみかさんの心に宿るのは、古里にかつて広がっていた風景を取り戻そうとする情熱。それを支える企業の挑戦と共に、スマート農業の取り組みをご紹介します。

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なぜ、農業を仕事に選んだのですか?

福島県の東端部に位置する南相馬市は、東に太平洋を臨み、西は阿武隈山地の山々に抱かれた田園風景が広がる街です。1000年以上の歴史を持つ国指定文化財「相馬野馬追」の中心開催地として知られるほか、農業においては寒暖差が少なく、温暖な気象条件に恵まれた気候を生かし、高品質な農作物が栽培されていました。

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相馬野馬追の一幕

そんなのどかな街を襲ったのが、2011年3月11日に発生した東日本大震災です。震災及びそれに伴う原子力災害により、小高区内の全域が避難指示区域に指定され、地域の暮らしは激変しました。当時、小学5年生だった鈴木ふみかさんもまた、祖母が大切にしていた家庭菜園を失ったと当時を振り返ります。

「土いじりが好きでよく祖母を手伝っていたのですが、それが全くできなくなってしまいました。周囲の田んぼや畑も荒れ、悲しく、悔しい思いを抱きながら過ごしていました」。
震災によって衰退していく古里を近くで見てきた鈴木さんを奮い立たせたのは、農業復興に尽力する地元農家の活躍です。ニュースや新聞記事で農地のがれき撤去や除染を行う姿に、自分も農業で復興の役に立ちたいと、農業高校への進学を決意。栽培の基礎知識や営農について学ぶことで、就農への思いがより一層強くなったと話します。

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農業復興の一助になりたいと話す鈴木さん

「非農家である私が農業を仕事にするためには、農業法人への就職となります。いろいろな企業を訪問するなか、農業復興を牽引する社長の姿勢に共感し、ここでならやりたいことができると就職を決めました」。

念願が叶い、新人ファーマーとしてのスタートを切った鈴木さんは現在、高校時代に学んだ知識を生かしながら、先輩社員と共に水稲栽培やデータ管理を担当しています。
「育苗から稲刈りまで、一貫して栽培に携われたことが大きな財産となりました。作物を育てる喜びこそがやりがいです」と、話す太陽のように明るい鈴木さんの笑顔は、充実感に満ち溢れていました。

農業の魅力を発信して、若手就農者に届けたい!

鈴木さんが農業を仕事にしたことで実感したのは、地域との深い関わりです。規模にかかわらず、作物を育てることはその地に暮らす人々の営みや気候風土などが関係していることを、日々の作業の中で感じているとのこと。
「芽吹いたばかりの緑の大地、収穫時期を迎えた金色の稲穂は地域に欠かせない風景です。そんな宝を地域の皆さんと共に守っていきたいと思っています」。

そう話す鈴木さんには大きな目標があります。それは、自身が発信者となり、若者に農業の魅力を伝えること。そのためにも新しい農業のあり方を実践していきたいと言葉を続けます。
「農業はきつい、休みがない、お金にならないなど負のイメージがあります。でも、ここでの就業時間は一般的な企業と変わりません。基本的に土日は休み、休憩時間ももちろんあります。作物を育てる楽しさとともに、職業としての農業の魅力を伝えていきたいですね」。
トラクターを公道で運転するための大型特殊免許や、フォークリフト免許の取得もした鈴木さん。一人前のファーマーを目指すその姿には、確実に歩み続ける南相馬市の明るい未来を垣間見ることができました。

次世代を担う若い社員とともに目指す、ふるさと復興

鈴木さんが在籍する『(株)紅梅夢ファーム』は、南相馬市小高区の7つの集落営農組織が出資し、2017年に設立された企業です。代表取締役の佐藤良一さんは、新卒者を積極的に雇用し、若者らしい視点とアイデアで、地域の農業を盛り立ててほしいと期待を寄せます。

「震災後、離農する農家が後を立たず、南相馬市小高区の農業は危機に立たされました。1日も早く農業を復興させたいと法人を立ち上げたのに、営農をする人がいない。そんな状況で手を挙げてくれたのが、農業高校生たちです。農業は経験による技術が大切ですが、それ以上に彼らの情熱とやる気を評価しています」。

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2018年から、若手を積極的に雇用している『(株)紅梅夢ファーム』の佐藤社長

同社では現在、4名の社員のほか、臨時雇用者を時期に応じて雇用しています。常時約10名のスタッフが50haもの広大なほ場を管理しています。
「離農はしても農地は生かしたいという農家が多いのは、古里への愛情があるからだと思います。私たちの最大の使命は、小高に緑の大地を取り戻し、収穫の喜びを地域の皆さんで分かち合うことです」。

今もなお、南相馬市小高地区では、荒れた農地や破損した用水路が多く残されています。同社では今後、行政や地域住民と連携を図りながらハード面の復興も進めていく予定です。

スマート農業が補う経験値と労働力

広大なほ場を経験が浅い若手社員で管理、耕作するには技術や労力不足が懸念されます。そんな問題を解決へと導くのがロボット、A I、IoTなどの先端技術を活用した「スマート農業」の導入です。農林水産省ではこの新しい営農スタイルを実証するため、2019年度から「スマート農業実証プロジェクト」を開始。実施農場に採択された『(株)紅梅夢ファーム』では、直進キープ田植え機やロボットトラクター、農業用ドローン等を導入し、収量・品質・食味を向上させる栽培技術の実証を行っています。さらに、非熟練者の面積当たりの作業時間が、熟練者と同水準となること、疲労・ストレスの蓄積が軽減されることを目標に掲げています。

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直進キープ田植え機の作業風景

「高齢化が進む日本の農業において、スマート農業は今後ますます必要となってくることが予想されます。そこにI Tに強い若い世代が積極的関わり、農業を魅力ある職業として発信してもらえたらと思っています」(佐藤社長)。

作業の大幅な省力化、終了、品質の高位平準化が期待されるスマート農業は、南相馬市小高区に実りの大地を取り戻す大きな存在になるかもしれません。次世代を担うファーマー育成とスマート農業の実証に力を注ぐ『(株)紅梅夢ファーム』は、農業復興のパイオニアとして力強く歩み続けていくことでしょう。


【取材協力】
(株)紅梅夢ファーム
〒979-2143
福島県南相馬市小高区蛯沢字藤沼160
電話:0244-44-6200

【就農に関する問い合わせはこちら】
南相馬市経済部農政課振興係
〒979-2195 
福島県南相馬市小高区本町二丁目78
TEL:0244-44-6807

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