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【島根県安来市】オリジナルの就農パッケージで未経験者の不安を解消

【島根県安来市】オリジナルの就農パッケージで未経験者の不安を解消

島根県の東端、鳥取県との県境に位置する安来市(やすぎし)は、『ヤスキハガネ』の生産地として知られ、日立金属が工場拠点を置く町として繁栄してきました。同時に、肥沃な砂質土壌や日当たりの良さにも恵まれ、県内有数の農業地帯として発展。そんな地域の財産を生かすべく、同市では就農者受け入れの取り組みを推進。先輩生産者との師弟制度や農地・設備の支援、住宅の整備までパッケージ化し、新規就農者をバックアップしています。「安来地域担い手育成総合支援協議会」のご担当者に案内していただき、「就農パッケージ」を利用した2組の生産者を訪ねました。

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【いちご農家レポート】安来市を選んだ決め手は充実した支援体制

いちご農家の大森雄介さん「研修中に10年事業計画を作成したことで、就農後のイメージがつかみやすくなりました」

横浜市で生まれ、IT企業でSEとして働いていた大森雄介さん。会社員生活の折り返し地点で人生を見つめ直し、2015年に奥様の出身地(米子市)に近い安来市にIターンしました。「ちょうど子育てが落ち着いたタイミング。山陰に来るたびにいい場所だなと感じていましたし、趣味の家庭菜園も性に合っていました。安来市での就農を決めた理由は、第一に支援体制がしっかりしていたこと。説明会に参加した時、初期費用や利益などの具体的な数字が見えたのは、安来市だけだったんです」と振り返ります。

「就農パッケージ」(※1)を利用して栽培できる品目(いちご・有機野菜)から、大森さんは消費者に根強い人気があり、消費が安定していて収益化しやすいいちごを選択。2年間の研修期間(島根県知事認定の指導農業士のマンツーマン指導)を経て、いちご農家としてスタートを切りました。

いちごが大きく育つように、不要な花を取り除く摘蕾(てきらい)作業を行う大森さん

■生産者歴約50年の頼れる師匠

「困ったのは農地の確保です。土地勘がないので、どこが最適なのか分からなくて…。でも、師匠(指導農業士)の野島年光さんの協力で、無事ベストな農地を借りることができました」と大森さん。

野島さんは、安来市の農家に生まれ、米、いちご、野菜、花などの栽培を50年近く手がけてきたベテラン生産者。大森さんを研修生として受け入れるにあたり、「あえて答えは教えず、自分で考える・判断するための材料提供を心がけました」と話します。これまでの農法が正解とは限らないし、どんな状況にも対応できる力を付けてほしいという思いが、背景にあるからだそうです。

「大森さんみたいな新規就農者がもっと増えてほしい。既存農家も期待しています」と野島さん(写真右)

■農業とSEとの意外な共通性

会社員からいちご農家へ、真逆の人生を歩むようになった大森さんですが、「システム開発という面では、前職とあまり変わりません」と話します。人やお金の流れ、ものの動きなどの仕組みを構築していく作業は、相通ずる部分が多いのだそうです。

「農家と聞くと牧歌的なイメージだけど、会社経営と同じです。自分でミッションを設定して、それをクリアしていく。ただ、会社員ではなくなったので、つらさは感じませんね。まじめに取り組めば結果が出るし、農業は日本に必要な産業。その魅力に気付く人がもっと増えてほしいです」と、後に続く就農者にも期待を寄せていました。

管理や収穫がしやすい高設栽培(こうせつさいばい)で、大粒の『紅ほっぺ』や『かおり野』を栽培

【有機野菜農家レポート】ゆかりがある安来市で土に近い生活を

「安来市には父方の家があり、私自身も10歳まで米子市で過ごしました。その後は東京に移り、web系のエンジニアとして、リモートワークで働いていました」。そう話すのは、2017年に就農した田村耕大郎さんです。東京で生活は成り立っていましたが、しばしば「自分には帰る場所がない」という感覚に捉われ、「ルーツに戻って、地域に根ざした仕事をしたい」と思うように。

安来市の積極的な受け入れ態勢を知り、2014年に奥様の雅子さんと農業体験ツアーに参加。翌年も一人で2カ月間体験し、就農を決心。2年間の研修を経て、ほうれん草や小松菜などの有機野菜農家として独立しました。

■東京時代よりも人間関係が良好に

「この地域では、適度な距離を保ちつつ見守ってくれる、地域の方の優しさを感じます」と田村さん夫妻

田村さんは就農後、安来市赤江地域のUIターン者で2015年に結成された「赤江・オーガニックファーム(有機JAS認証の葉物野菜をハウス栽培で通年生産するグループ)」に入会。農家同士で共通の販売ルートを持ち、補い合いながら安定的に出荷できること、グループとして認知されることなどのメリットを感じているそうです。

また、同グループでの活動を通して、「地域との関わり方」も学んだと話します。「移住前は田舎ならではのネガティブなニュースばかり気になっていましたが、この町の人々はみんなマイルド。既存農家と新規農家との信頼関係が築かれています」と田村さん。関わる人は東京時代より限定されるようになりましたが、やりとりにかける時間は逆に増えたので相互理解が進み、人間関係のストレスを感じなくなったそうです。

■次世代に託す営農の組織づくり

「行政の方がとても親身で心強かったです。補助金にも助けられました」と田村耕太郎さん。

田村さんの収穫量は順調に増え、現在、17棟のハウスで小松菜、水菜、ほうれん草、春菊など年間6~7品種の葉物野菜を栽培しています。

作業面では、7人のパートを雇用。主に調整作業(野菜の袋詰め)のサポートをお願いしています。こだわりは、完全自由出勤制であること。家庭の都合などで働きたくても働けないという主婦などを対象に、来られる時に出勤してちゃんと結果を出してもらうというスタイルです。

「行政の窓口の方を始め、これまで見えないところで多くの人に助けられてきました。その恩返しの気持ちもあるし、今後は次世代に託せる営農の仕組みを整えていきたいとも考えています」と田村さん。感謝の気持ち、謙虚な心を忘れずに、ゆかりがある安来市に貢献したい。そんな思いが、田村さんの原動力になっているのかもしれません。

【行政担当者レポート】就農者が新たな人を呼び込む、良い循環が生まれてほしい

就農ニーズがもともと高かった安来市では、従来は実践研修という形でハウスをレンタルしていました。しかし、農法などを教える人がおらず、農地探しにも苦戦。諦めざるを得ない方も出ていたそうです。そこで、既存農家が指導する「師弟制度」を導入。合わせて、安心して就農するための一括サポート「就農パッケージ」を2015年に作成しました。

「現在、指導農業士は安来市内に15人(就農パッケージ対象の師匠は6人)。持ち回りで研修生を受け入れて下さっています」と、島根県東部農林振興センターの佐藤浩一さん。

「パッケージの中でも特に好評なのがリースハウスです。初期投資が大幅に軽減されるので、みなさん喜ばれていますよ」と安来市役所 農林振興課の柴田由貴さんが続けます。

「いずれは新規就農者が師匠になって、新しい人を教えるという良い流れが生まれれば」と口を揃えるお二人。就農支援のパッケージ化にいち早く取り組んだ安来市に、今後ますます注目が集まりそうです。

研修生が使用する実践研修ハウスの中で。佐藤さん(写真左)と柴田さん(右)

※1 安来市 就農パッケージ事業についてはこちら

安来市の就農専用ホームページはこちら

〇就農に関するお問い合わせ先
・安来地域担い手育成総合支援協議会(安来市役所 農林水産部 農林振興課)
・〒692-0207 島根県安来市伯太町東母里580
・電話番号:0854-23-3330

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