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農業経営者の卵、「経営計画」を熱弁 日本農業経営大学校で卒業研究発表会

農業経営者の卵、「経営計画」を熱弁 日本農業経営大学校で卒業研究発表会

日本農業経営大学校を3月末に卒業する2年生14人が2月、自身の経営計画を「卒業研究発表会」で語り、学びの集大成としました。学生は卒業後の経営計画と具体的な戦略や農業への思いを、15分間のプレゼンテーションに載せて熱弁。審査員から鋭い指摘と激励を受け、自身が思い描く理想の農業と経営計画を磨き上げる機会にしていました。

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発想の転換で、地域を盛り上げる

「いままで捨てていたものを発想の転換で活用する、イノベーションを起こせるアイディア」。そう審査員から評価を受けたのは、愛媛県のみかん農家に就農を控える新口太公さんによる「夏摘みみかん」を核にした経営アイディア。

廃棄していた「夏摘みみかん」を核にした、経営計画を発表する新口さん

品質の高い果実を収穫するため、6~7月に摘果するまだ酸味の強いミカンは、愛媛県では成熟ミカン全体の3割にあたる4万トンが廃棄されているという。一方で、農家の間では夏場の疲労回復のために飲用されている。

しかし機能性や季節感、かんきつ類で唯一種がないため加工がしやすい、などの特長に基づいた新しい価値を前面に出して販売することを提案。香り付けのためにお酒に加えるなど、飲食店に使い方を伝えて、新たな消費行動を呼び起こす戦略を発表した。

他の学生からも、「SNSや手紙などで1カ月ごとに作物の進捗を送り、成長の遅れなどマイナス面の事実もありのままに知らせることで、消費者から信用を勝ち取る」といった、新鮮なアイディアが飛び出した。

「補完作物は地域で重複しないものを」「集客は?」 審査員から鋭い指摘と激励

学生は発表内でそれぞれ、売上高や生産費、労務費などをシュミレーションして作った5カ年の収支計画も具体的に述べた。卒業後に親元就農予定の学生は、父親から実際の収支計画表を借りて分析したり、従業員からヒアリングをするなどして自農園の課題を抽出した。

流通・マーケティングに関する研究を行う、公益財団法人流通経済研究所の上原征彦(うえはら・ゆきひこ)名誉会長を審査員長に、JA関係者や生産法人代表など有識者5人がプレゼンテーションを審査。

「(実家の農園の)補完作物から赤字が出ており、果たしていない。主力作物に特化しつつ、補完作物は地域内で他の農家が手掛けていないものに変えるべきでは」「(開業したいと発表した農家レストランを開業する場所は地方だが)人がいないところにどうやって集客するのか」など鋭い指摘や「(アイディアの独自性に)感動した、ぜひすぐに実現して欲しい。地域のリーダーになってほしい」といった賞賛が送られた。

農業経営には「ロマンとそろばんが必要」

「きょう発表した計画を卒業後も更新していって」と学生を激励する鈴木豊理事長

学校を運営する一般社団法人アグリフューチャージャパンの鈴木豊理事長は、「農業経営で必要なものは、『ロマン』と『そろばん』。ロマン(理想)をしっかり持っていないとそろばんの弾き方を間違う。儲けだけを追求してもロマンが無ければ干からびてしまうが、ロマンを実現するには経営体が必要。
きょう発表した経営計画とミッション、ビジョンを、卒業後も第2弾、3弾と新しく更新しながら自分のイメージする農業を実現してほしい」と激励した。

14人は3月6日に港区の同校で卒業式を行い、全国各地に散じて就農する。

日本農業経営大学校

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