【タイの農村滞在記】スパイスや熱帯果樹の栽培、斬新すぎる観光農園も!

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【タイの農村滞在記】スパイスや熱帯果樹の栽培、斬新すぎる観光農園も!

【タイの農村滞在記】スパイスや熱帯果樹の栽培、斬新すぎる観光農園も!
最終更新日:2020年03月18日

タイ料理屋さんにパクチーやバジルなどを出荷している私。お店のタイ人コックさんに現地の野菜について聞くにつれ、久しぶりにタイに行き、畑を見たくなった。目的地はタイ東北部の「ウボンラチャタニ」。当サイトでの取材を通じて知り合った日本人が滞在している農家宅に泊まらせてもらうことになった。

水牛が歩く町、ウボンラチャタニ

バンコクのドンムアン空港から国内線で1時間強(片道5000円ほど)、タイ東北部・イサーン地方の「ウボンラチャタニ」(通称ウボン)に到着した。カンボジアとラオスに接する県だ。列車でも行けるが、片道8時間ほどかかると聞いて挫折した。
空港を出ると、熱帯性気候なので当たり前のことだが、2月上旬だというのに初夏のように暑い。この日の最高気温は34度、最低気温は20度。長袖のTシャツでも暑いくらいだ。
空港から車で50分ほど進むと、知り合いが滞在している農家宅へ到着した。「昔の日本みたいでしょう?」と、80歳を超えた知人が懐かしそうに言う。
ここに来る道中では、農耕用の水牛が田んぼの跡地で草をはむ姿を見たし、野放しで飼われているニワトリに行く手を阻まれた。
昭和60年生まれの私は、昔の日本の風景をよく知らないが、昭和の初めの頃はきっとこんな感じだったのだろう。
日本の農村部と同じく、どの家も農家、もしくは兼業農家。宿泊先のお父さんも学校の先生を退職して、果樹園や魚の養殖をしている。

道路を歩く農耕用の水牛。トラクターが導入されてからは、飼わない人が増えているそうだ

2泊させてもらった農家の家。敷地は広く、ウッドデッキもあり、牛舎を改装したスペースも快適

もち米が主食、野菜もりもりの食事

長粒種のもち米でつくるカオニャオ

イサーン地方の代表的な食べ物といえば、細切りにした青パパイヤのサラダ「ソムタム」が有名だが、もう一つ特徴的なのが主食のもち米を蒸した「カオニャオ」だ。日本のもち米とは違い、こちらは長粒種で、香り米を炊いた時のあの香りがする。
蒸したもち米は、右手で丸めてひと口大の団子にして、チリソースにつけたり、副菜と一緒に食べたりする。

早朝5時頃、女性たちがカオニャオを蒸し始める。前日に食べきれなかったものも、もう一度蒸すと柔らかさが戻る

空心菜やササゲも生で食べる

ウボンの人たちは野菜をたくさん食べる。たとえば、下写真の料理はさまざまな野菜をリーフレタスに包んで食べるもの。
生の空心菜やササゲ(さや)、あるいはスイートバジル(ホラパー)やミント、パクチーなどのハーブとほぐした焼き魚(川魚)などを、自分の好きな量だけリーフレタスで包み、チリソースにつけて食べるサラダのようなものだ。
空心菜やササゲを生食するのも驚きだが、ハーブが入ることで苦みや香りなどが混ざり合い、とてもサラダとは思えないほど豊かな味わいがする。「ハーブは添え物」というイメージの日本で、ぜひ広めたい発想だ。

野菜をリーフレタスに包んで食べるサラダ

食卓には他にも、たくさんのハーブがのったウナギのスープや、エシャロットが入ったサラダなど、野菜を使った料理が並んでいた。

宿泊先の家主さんと、息子さんがとってきたウナギ(プラーライ)。年に2回ほどしか食べない食材だそう

ウナギのスープ。ここでも、パクチーファランという、パクチーよりもさらに香りが強いハーブがてんこもりになっている

アリのサナギに、タイの小粒な赤エシャロット「ホームデン」を和えたサラダ。アリ独特の酸味がおいしい。アリは高級食材

ウボンの田畑を歩く

一家総出の家族農業

平日は寮に住んで高校に通い、休日は田んぼに建てられた小屋で寝泊まりしながら、農業をする息子さん

ウボンの農業は基本的に家族経営のようだ。
家主さんも果樹園や魚の養殖をしているし、まだ高校に通っている息子さんも、休日を利用して約5ヘクタール(タイの単位で言うと30ライ)の田んぼに寝泊まりをし、稲作(カオニャオ)や、水牛・ニワトリの放牧をしている。
水牛は飼っているものの、この家では、基本的にトラクターで耕す。

トラクターについているのはディスクロータリー。赤土で、土が重たいこの辺りでは、ディスクのほうが使いやすいそう

大規模畑と熱帯果樹

広大なトウガラシ畑と、追肥をしている農民

ウボンの畑で一番驚いたのは、上の写真のトウガラシ畑だった。1ヘクタールではおさまりきらないほどの広大な畑には、すべてトウガラシが植わっていた。
どうやって収穫するのか、果たしてとりきれるのかが不思議だが、こんな大規模な畑が点在している。さすが、スパイス大国である。他にはキャベツやトウモロコシの大きな畑もあった。

トウモロコシは、赤いヒゲのモチトウモロコシがよく植えられていた。雨をため込むためか、トウモロコシの周りだけ低くなっている

また、日本ではまず見られないドラゴンフルーツやバナナ、パパイヤなどの熱帯果樹の畑もそこら中にある。

ドラゴンフルーツの畑。ヒモサボテンの一種で、このように仕立てる。各枝の先端のほうに花が咲き、実がつく

バナナ畑。自家用の庭木感覚でもよく植えられている

意外な取り組み 菊の観光農園

現地の人に「おもしろい農業を見たい」ということで連れて行ってもらったのは、花農家のところだった。
花畑には写真撮影用の櫓(やぐら)が建っていたり、花を売るスペースがあったりして、観光農園と化していた。
日本でもこうした花のレジャースポットは多々あるが、この畑に植わっているのはすべて菊。
日本ではお墓の花として定着している菊だが、こうして見ると、コスモス畑やヒマワリ畑にも負けないくらいキレイである。

美しいキク畑で写真を撮影する家族

花の販売スペース

LED電照や、シェードも設置されていた

「タイの中でも、貧しい農村部」と知り合いに聞いていたウボンだったが、何不自由なく旅が楽しめた。楽しむどころか、野菜の食べ方や、料理の仕方、花の売り方など、日本に持ち帰りたい知恵や工夫がいっぱいだ。
たった2泊では味わいきれないウボンの農業事情。みなさんも興味があれば、バンコクで楽しむだけではなく、こうした農村部にも足を延ばしてみてほしい。

活気ある市場

卸向けの店舗。物量で、圧倒される

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