有害鳥獣駆除と狩猟の違い
目的
まず有害鳥獣駆除と狩猟の一番大きな違いは、報酬の有無。狩猟は基本的に趣味の範囲であるのに対し、有害鳥獣駆除は国や県、役場からの依頼なので報酬がもらえます。動物たちに畑を荒らされたり、森林などに被害を与えられたりすると大きな損失になってしまうので、猟師にお金を払って駆除してもらっているわけですね。
期間
有害鳥獣駆除と狩猟では狩猟できる期間も違います。基本的に狩猟期間は11月15日〜翌年2月15日までと定められています(※)。しかし有害鳥獣駆除隊に入れば、それ以外の期間にも特定の鳥獣に限って狩りをすることができるようになります。対象の鳥獣や期間には地域によって違いがあり、筆者の地域では毎週日曜日にシカとイノシシだけ捕ってもいいという許可が出ているので、ほぼ一年中シカとイノシシを狩ることができます。
※ 狩猟期間は、対象狩猟鳥獣や都道府県によって異なる場合があります。
6月など気温が上がってくる時期の山の中は、死ぬほど暑かったです。逆に冬の山はマイナス5度近くにもなるので極寒でした。狩猟、有害鳥獣駆除共に結構過酷な環境ではありますね。
有害鳥獣駆除の報酬は?
有害鳥獣駆除をして活動書を出すと報酬がもらえます。地域によっては申請時にきちんと証明するために両耳、尻尾、捕獲写真、鳥獣捕獲活動書を提出する必要があるところもありますね。
地域差はありますが、シカ1頭で5000〜3万6000円ほどの報酬が国や地方自治体から出るようです。ただこの報酬は猟友会に支払われた後に自分の手元に来るので、どのくらいの金額がもらえるかは場所によって大幅に異なります。筆者の知っている範囲での相場は下記のとおり。
イノシシ:0〜2万円
サル:0〜2万3000円
キョン:0〜6000円
ハクビシン:0〜3000円
ヒヨドリ:0〜2000円
アライグマ:0〜5000円
アナグマ:0〜1000円
カラス:0〜1000円
気になる人は事前に地域の猟友会に問い合わせてみるとよいでしょう。
有害鳥獣駆除をするために必要なこと
地域の猟友会に所属する
猟友会とは狩猟者のための公益団体です。有害鳥獣駆除を行うには、基本的に猟友会に入る必要があります。猟友会に入ると書類の代行や、狩猟用火薬の無許可譲受があるなどのメリットも。猟友会の唯一のデメリットはお金がかかることですね。
・支部の猟友会費
・県の猟友会費
・大日本猟友会の会費
の3つで年間1万〜1.5万円ほどかかります(地域差あり)。筆者も猟師になって3年目までは猟友会に入っていましたが、4年目からは入っていません。ただ、猟友会に入ると猟を教えてくれる先輩もいるので、初年度の人は特に入っておいた方がいいと思いますね。ハンターマップ(狩猟可能地域が書かれた地図)で狩猟ができると表示されている場所でも、実際には近くに民家があったり道路があったりして撃てない場合もあるので、そういった場合に相談できるのはすごくいいです。
銃の場合は3年以上の経験を持つ(地域差あり)
銃を使って有害鳥獣駆除をする場合は、3年以上の経験を必要とされる地域が多いです。
筆者の住んでいた滋賀県の地域では1年目から有害鳥獣駆除が許可されていたので、地域差はあります。
勝手に駆除することは法律違反
有害鳥獣駆除は捕獲が許された期間にしか行うことができず、期間外に行うと法律違反になります。また、許可を得ている人以外が対象の動物を捕獲した場合も法律違反になるので注意してください。
報酬だけで生活できる?
シカ1頭でも3万円近くの報酬をもらうことが可能ではありますが、有害鳥獣駆除の報酬だけで生活していくのは難しいでしょう。そもそも仮に毎日狩猟に行ったとしても、その都度シカが捕れるとは限りません。筆者は銃を持ち始めて4カ月後にやっと最初のシカを捕れましたし、シカの走るスピードはとてつもなく速いです。しかも県や国の補助金が上限に達すれば、報酬が打ち切りになってしまうことだってあり得ます。報酬も申請後にすぐ振り込まれるわけではないので、やはり有害鳥獣駆除の報酬だけで生計を立てるのはかなり厳しいですね。不可能と言ってもいいでしょう。実際に筆者の友人は年間100頭ほどシカを狩っていますが、それでも猟師だけで生きていくのは難しいと言っていましたからね。
まとめ
今回は有害鳥獣駆除の報酬について解説しました。猟師とはいえ、純粋に狩猟を趣味として楽しみたいというのであれば、必ずしも有害鳥獣駆除を行ったり、猟友会に入ったりする必要はありません。また、有害鳥獣駆除で報酬を得ることはできますが、メインの収入源にするにはかなり厳しいですね。中にはサラリーマンとして働きながら副業で有害鳥獣駆除を行う猟師もいるので、副業にはいいと思います。