食べる芸術品を目指して。ブドウに懸ける熱き思い
秋田県横手市でブドウ農家を営む鈴木靖之さんは、100年以上続く鈴木果樹園「葡萄屋久兵衛」の10代目。現在、シャインマスカットをはじめとした18種類のブドウを1.5haのほ場で育てています。
「米や野菜のように調理をする人に味を委ねることのないブドウは、収穫した時が食べ物としての完成品です。そのため、良い花を咲かせるために樹を管理し、咲いた花を確実に受粉させ、ブドウの粒が美しくに配置されるようデザインしながら育てます。ほとんどが手作業のため、とても手間がかかりますがその分、収穫時の喜びもひとしおです」。

ブドウづくりへの情熱を語る鈴木さん
奥羽山脈の麓に位置する横手市は豪雪地帯として知られています。そのため、果樹栽培には不向きとされてきました。しかし、長く厳しい冬を乗り越えることでブドウの樹をしっかり休ませることができると鈴木さんは話します。
「収穫を終え、樹に休眠時間をしっかり与えることで樹が持つ本来の力を引き出すことができます。いわば樹が母親で、ブドウの実は子供のような存在。丈夫な子供を育てるためには母体である樹が健康でなくてはなりません。山梨県や長野県に比べ、秋田県横手市はブドウの産地としては無名です。多くの方に味わってもらうためにも、横手の風土を生かした栽培を追求していきたいですね」。
そう意気込みを語る鈴木さんは生食用のブドウのほか、近年ドライフルーツにも力を注いでいます。ブドウ一房をそのまま乾燥させた「葡萄屋久兵衛」のドライフルーツは旨味がギュッと凝縮され、ドライフルーツでありながら果汁が程よく残る新食感。さわやかな甘さと酸味、一粒食べたら忘れられないおいしさが口いっぱいに広がります。

「葡萄屋久兵衛」のドライフルーツ
ブドウを乾燥する作業場は、約100年に渡って受け継がれてきた納屋に増築を繰り返すことで、なんとか用途に合わせてきたという鈴木さん。安全面と衛生面、作業効率の観点から、かねてより建て直しを考えていたとのことですが、いざ見積りを取ると、広さや仕様などの条件を満たす農業倉庫を一から建てるには、想像を超えた費用がかかることが判明します。頭を悩ませる鈴木さんを救ったのが、株式会社稲葉製作所の「イナバ倉庫・ガレージ」でした。
低コストで“完全個室”の作業場を実現
予算に合わせると大きさが足りない、大きさに合わせると予算をオーバーすると半ば諦めかけていた鈴木さんですが、工務店から提示された「イナバ倉庫・ガレージ」の見積額を見て購入を決めることができたと当時を振り返ります。
「提示額は、一番最初の見積額の約半額でした。しかも、農業倉庫に求める条件をほぼクリアしていました。さすがは国内トップメーカーですね。価格と機能のバランスに大満足です」。

(上)解体中の老朽化した納屋 (下)建て替え後の倉庫兼作業場
農業倉庫を新設するにあたり、鈴木さんが求めたのは、作業場に土ぼこりが入らないよう、車庫との間を壁で完全に仕切ること。作業場には冷蔵庫と乾燥機を設置するほか、ドライフルーツの製造を行うための十分な広さと作業動線の確保が必須でした。

倉庫のレイアウト図と、建て替え後の作業場とガレージ
「5連棟のうち2棟を前面壁にし、仕切壁を設けて個室を作りました。以前は作業のたびに車をどかしていましたが、今はその必要はありません。驚いたのは、『イナバ倉庫・ガレージ』は既製品でありながら使い勝手が良く考えられていること。本来は中央部にありがちな豪雪柱も後方の位置になるよう設計されており、作業動線の妨げにならないところが気にいっています」(鈴木さん)。
こうした一工夫も、多くの農家から支持される理由の一つでしょう。

通常は中央に位置することが多い豪雪柱ですが、作業の妨げにならないよう後方に設置されています
豪雪地型だから、雪にも安心!
価格の安さやレイアウトの自由度の高さもさることながら、機能性においても鈴木さんは太鼓判を押します。その背景には豪雪地域ならではの悩みがありました。
年によっては屋根に1m以上の積雪がある横手市。雪の重さから建物を守るため、定期的に雪下ろしをしなければなりません。重労働かつ、危険を伴うこの作業は大きな負担になっていました。
「『イナバ倉庫・ガレージ』の豪雪地型は、150cmの屋根の積雪にも耐えることができます。屋根の傾斜が思ったより緩く、最初は雪下ろしが必要かと思ったのですが、折板屋根をとめるボルトが屋根の上に出ていない(注1)ため、雪は自然に落ちてくれます。もちろん雪の重みによる劣化もありません」。
※注1 豪雪地型のみの仕様
建て替えから3年、今のところ一度も雪下ろしすることなく冬場の作業を快適に行っていると、鈴木さんは嬉しそうに話してくださいました。
豊富なラインナップで低価格&高機能を実現
ひと口に農業倉庫と言っても、作付けする作物や作業内容によって必要な機能は異なります。「イナバ倉庫・ガレージ」は、既製品でありながら用途に合わせた仕様を取り揃えており、トップメーカーならではの量産体制で低価格を実現しています。
「農機を格納するだけではなく、オプションで前面壁や間仕切壁をお選びいただくことでオーダーメイドに近い感覚で理想の農業倉庫を建てていただくことも可能です。今後も農家の皆さんのご意見を伺いながら、より良い商品開発に努めていきます」と、話すのは株式会社稲葉製作所仙台営業所の渡邊陽介主任。

意見を交わす渡邊主任(左)と鈴木さん
取材に訪れた3月下旬。秋の収穫期に向け、「葡萄屋久兵衛」では剪定、皮剥き、誘引作業などがすでに始まっていました。
「贈答品として選ばれることが多いブドウは、贈る人の思いが込められています。その思いを美しいブドウでお伝えできるよう、大切に、丁寧に育て、お届けするのが私たちの使命です」。
『イナバ倉庫・ガレージ』によって生まれ変わった作業場で、ブドウづくりの情熱を語ってくださった鈴木さん。今年も「葡萄屋久兵衛」のブドウは宝石のような輝きを放ち、多くに人においしさと笑顔を届けてくれることでしょう。
価格、費用、工期とバランスが取れた『イナバ倉庫・ガレージ』は、多様化する農家のニーズに寄り添う新時代の農業倉庫です。
建て替えをお考えの方はもちろん、農作業の効率化を図りたい方はぜひ、活用してみてはいかがでしょうか。
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葡萄屋久兵衛(鈴木果樹園)
秋田県横手市大沢字大沢106
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