しっかり利益を出す農業イベントを開催して売り上げにつなげるべし!!

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しっかり利益を出す農業イベントを開催して売り上げにつなげるべし!!

連載企画:営業しない農家の売上アップ術

しっかり利益を出す農業イベントを開催して売り上げにつなげるべし!!
最終更新日:2020年05月26日

農業を始めて一度の営業もせずに、現在は栽培した野菜の95%をレストランへ直接販売しているタケイファーム代表、武井敏信(たけい・としのぶ)です。このシリーズでは売り上げを伸ばすためのちょっとした工夫をお伝えします。

皆さんの中でも収穫祭など畑でさまざまなイベントを開催している人もいると思います。よく耳にするのが「ジャガイモの収穫体験」や「田植え・稲刈り体験」でしょうか。中には、野菜セットの顧客を呼んで感謝祭を開催している人もいるかもしれません。そんなイベントですが利益は出ていますか? 自然とふれあいたい人もたくさんいますので、やり方次第ではしっかりと利益を出すことができます。今回は、「イベントで利益を出すテクニック」を、私が開催しているイベントを例にとって説明していきます。

利益をあげる農業イベントの参加費設定の考え方とは

農業イベントの目的はさまざま。野菜セットの直接販売を行っている農家にとって、感謝祭のようなイベントは、顧客に喜んでもらい、リピートにつなげる目的もあり、すぐには得ることのない将来的な利益も得られる貴重な機会です。だからといって、金銭的な利益度外視で経費を考えずに参加費を設定してしまうのは、非常にもったいないと私は思います。
仮に参加費が1000円としたら30人集めても売り上げは30000円です。イベントには予想以上に労力を使います。「集客する労力」「準備するのに要する労力」、場合によっては「スタッフ要員を確保」しなくてはならないかもしれません。そして、「イベントにかかる時間」もそうですし、「提供する野菜の代金」という経費も考えなければなりません。30000円では大きな赤字です。
ふと考えてみると、私が就農した当時から、農業イベントの参加費は数千円で、そんなに変わっていないなと感じます。さまざまなサービスの料金が時代と共に上がっているにもかかわらず、です。ちなみに私の畑がある千葉県の最低賃金は2020年5月現在923円で、2010年の744円から180円近く上がっています。平成から令和となった今、しっかりと利益をあげようではありませんか。

会費1万円、90人集めて利益30万円!

私が「はりまざかマルシェ」という、農家が交代で野菜を販売するマルシェに参加していた時の話です。スタートから2年ほどが経過し、メンバー9人でフランスに旅行に行くことが決まりました。旅費をどうやって生み出すか、考えた方法は、メンバーの野菜セットを販売すること。メンバーの農閑期にあたる2月の渡仏を目標に、それまでの1年半の野菜セットの売り上げを積み立てることになりました(この野菜セットは、世の中でやっている人がいないだろうという画期的な仕組みを作りましたので、また別の機会で説明できればと考えています)。
しかし、旅行の出発予定が半年後に迫った時、ある事実が判明しました。このペースだと旅費が30万円足りないのです。30万円確保できないと、フランス行きは1年先になってしまいます。
そこでメンバーで知恵を出し合い「収穫祭」を開催することにしました。

目標は、売り上げが30万ではなく「利益が30万」です。そのために会費1万円で参加者90人を集めることになりました。ここで大切なのが企画内容です。1万円で十分満足してもらうために企画した内容は以下のとおりです。

  1. 畑での収穫体験&お土産付き
  2. シェフによる青空の下での食事&飲み放題
  3. 畑散策

畑での収穫体験&お土産付き

収穫体験は特別感を出すために、よく見かける「ジャガイモ」や「サツマイモ」ではなく、千葉の名物「落花生」、これを収穫してもらうとともに、お土産としました。しかも掘り放題です。ほとんどの参加者が落花生の収穫は初体験で大人も子供も大喜びでした。

落花生の収穫体験

予約の取れない有名シェフによる青空の下での食事&飲み放題

当時付き合いのあった有名シェフに協力してもらい、前日から徹夜で仕込んだ料理と当日のバーベキューを用意。さらにアルコール、ノンアルコールともドリンクは飲み放題にしてお得感を演出しました。

マルシェメンバーが担当テーブルを決めておもてなし

畑散策

90人も参加者がいますので、4チームに分けてメンバーが畑を案内し野菜の説明をしました。収穫祭に限ったことではありませんが、お客さんに楽しんでもらうには段取りが大切です。スタート地点を4カ所に分け、ローテーションで案内していくように段取りを整えました。私は全体を把握する役割。チームによってペースが遅れたりしないように配慮し、タイムスケジュール通りに進めることも大切でした。

畑を散策し野菜の質問を受ける

雨天時のためのプランBも

畑で開催するイベントの一番の問題は天気です。雨天中止となるとフランスが遠ざかりますので、雨が降った場合のBプランも用意しておきました。Bプランでは、別のメンバーのハウスの中で実施する予定でした。この場合、準備していたテーブルや椅子の移動や、集合場所の駅からの送迎も必要なプランだったので、そのようなデメリットも考えて最善の段取りを考えていました。

イベントの利益が上がると、農家のモチベーションも上がる

このイベントでは食材費や仮設トイレ(2台)などの経費もかかりましたが、目標の30万円の利益をあげることに成功しました。この収穫祭を開催した大きな意味が2つあります。

  1. 農家のイベントでもやり方次第で会費は1万円取れる。
  2. 我々農家にとって大きな自信につながった。

そして、お客さんにも大変喜んでもらえ、最後はスタンディングオベーションがわき起こったのを覚えています。

こうして予定の2月、フランスに旅立ちました(急きょ参加できなくなったメンバーがいましたのでその分は現金で渡しています)。

出発前、成田空港にて

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他にはない収穫体験で利益を出す

毎年タケイファームでは「アーティチョークの収穫体験」を開催しています。現在では日本最大級のアーティチョーク畑となっていますので、アーティチョークに関しては他にはまねできないイベントを開催することができます。普段目にすることができないアーティチョークの畑、そしてフレッシュなアーティチョークにふれあう事のできる貴重な体験が楽しめます。

イベントの内容は、

  1. 各自4本のアーティチョークを自分で収穫
  2. 畑近くにある公民館の調理室でアーティチョークのさばき方教室
    (収穫した4本のうち1本を使い、自らがアーティチョークをさばく)
  3. 下処理の難しいアーティチョークをさばきます

  4. さばいたアーティチョークを調理
  5. ランチ(ケータリングをしている知り合いに依頼。飲み物は各自持ち込み)

ケータリングのランチ

参加費は8500円で定員30人。開催側の私たちが拘束される時間は約4時間。2日間開催しますので合計60人、経費を差し引き利益は30万です。

この他にも「ポロネギの収穫体験」などのイベントも開催しています。
要は他にはないイベントを開催することによって、コアな客層は必ず集まるということです。

一番難しい集客するテクニック

イベントの大変なところは集客です。このテクニックを一つご紹介します。
今はSNSの時代。当然のごとく、イベントが終了すると参加者の皆さんはFacebookなどでその模様をアップします。その記事に対して、閲覧者から「来年はぜひ参加したい」などのコメントが入ったりしていて、しばらく盛り上がっています。この盛り上がっているタイミングで、すかさず来年のイベント告知の記事を一つアップします。
内容は、
「2020年、アーティチョークの収穫体験、日程が決まりました!
詳細は未定ですが、取り急ぎ日程のみお知らせさせて頂きます!
参加希望の方は、メッセージください。先行予約を受け付けさせて頂きます!」
時間、参加費、内容は未定で、日程のみのお知らせですが、この記事によって30人ほどの予約が入ります。

SNSを使って1年後の集客を開始(新型コロナウイルスの影響で、中止したイベントです)

  1. タイミングを逃さないこと。
  2. 継続して開催すること。

これによってイベントの集客がしやすくなります。

今年は新型コロナウィルス拡大防止の為、「アーティチョークの収穫体験」は中止としましたが、予約をしていた皆さんが残念がっていますので、タイミングをみて「ジャガイモの収穫体験」を開催するかもしれません。「ジャガイモ」と言っても日本ではあまり出回らない、さまざまな調理法に特化したフランス・ドイツの品種ですので、なかなか手に入りにくいこともあり、一般的によく見られる体験料ではなく高単価な設定も可能となります。

畑を飛び出したイベント

畑以外にも毎年開催しているイベントがいくつかあります。その一つが「アーティチョークを食べつくす会」。私が野菜を届けているレストランで、前菜からデザートまで「アーティチョーク」が使われているコースを食べる会です。私とシェフによるアーティチョークのトークと、簡単なアーティチョーク料理教室も付いています。昼の部、夜の部と2部構成のため、準備なども含めて朝から夜まで1日拘束されますが、イベントで使用されるアーティチョークの代金とは別にギャラをいただいています。

シェフとトークしアーティチョークの魅力を伝える

おまけの虎の巻

私は農業を始めて19年目ですので20年前の野菜のことは全く知りません。ある日、この道30年のベテランの料理人に「20年前の小松菜っていくらでしたか?」と質問したら「今と同じだよ」という答えが返ってきました。消費者には申し訳ないのですが、日本の農業者就業人口が劇的に減っているにもかかわらず、野菜の値段が全く変わっていないということに疑問が生じました。イベントも同じです。昔にとらわれず、やり方次第では必ず利益を出すことができますので、もう一度、内容と参加費を考えてみませんか。

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