農家の情報発信は逆転の発想で! イメージアップにつなげる「見せないテクニック」とは

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農家の情報発信は逆転の発想で! イメージアップにつなげる「見せないテクニック」とは

連載企画:営業しない農家の売上アップ術

農家の情報発信は逆転の発想で! イメージアップにつなげる「見せないテクニック」とは
最終更新日:2020年05月29日

農業を始めて一度の営業もせずに、現在は栽培した野菜の95%をレストランへ直接販売しているタケイファーム代表、武井敏信(たけい・としのぶ)です。このシリーズでは売り上げを伸ばすためのちょっとした工夫をお伝えします。

自分の農園の情報発信をするためにSNSやホームページを使っている人も多いと思います。よく見かけるのが、マルシェに出店する際の「野菜のラインアップのお知らせ」や「○○農園の野菜が食べられるお店」の掲載など。皆さんはこれらの情報発信をどう思いますか。もちろん正しい発信方法ではありますが、あえて逆の発想をしてみませんか。今回は「見せないテクニック」をご紹介します。

野菜のラインアップは知らせない、リピーターとなる秘訣はワクワク感

マルシェに出店する際、「いつ」「どこで」「何時から」出店するのかを知らせることはとても大切です。その際に「本日の野菜のラインアップ」を紹介している記事をよく目にします。この「ラインアップ」必要でしょうか。苦手な野菜があったり、欲しい野菜がなかったりしたら逆効果につながります。さらに、端境期など野菜の少ない時期は種類も少なくなり寂しくなります。日程以外にお知らせをしたいのであれば、「私がどのような農家でどのような農業をしているか」を伝えるべきです。マルシェは生産者とふれあい、会話を楽しみながら買い物ができるというのが醍醐味(だいごみ)。まずは足を運んでもらうために、お客がワクワクする情報を伝えること。販売しているものは当日のお楽しみでよいのです。

そして、前回の「コロナで需要増! 野菜セットのテクニック、ここを押さえて売り上げアップ!!」でも書きましたが、「今週の野菜セットの内容は」とあらかじめセットに入る野菜を伝えた場合、もし嫌いな野菜が入るとわかれば購買意識は下がります。こちらも箱を開けてからのお楽しみでよいのです。

お客さんにワクワク感を与え続けることがリピーターになってもらう秘訣(ひけつ)です。

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足を運んでもらうことが大切。ラインアップはお楽しみ!

取引先の店を知らせないメリット

ホームページで「○○農園の野菜が食べられるお店」を知らせているのをよく目にします。私は栽培した野菜の95%を飲食店へ直接販売していますが、取引先の飲食店名はホームページで掲載していません。その理由はブランディングです。今の時代、グルメサイトがたくさんあります。そこには点数が付いており、コメントも入っています。点数はグルメサイト独自の評価システムにより付けられるのですが、お店を調べる際、この点数が与える影響は大きく、高いほど「おいしいお店」と判断する人は多いのです。評価システムによって、本当はおいしいお店なのに低い点数がついていると、タケイファームの野菜は評価の低いお店に卸していると思われてしまう可能性があり、それはタケイファームのブランドにも影響を与えかねません。また寄せられるコメントの中にはニックネームなどで投稿され責任感のない発言があることも考えられます。お店の評価が低く書かれたコメントを読むことによってお店に訪問したくなくなりますし、必然的にそれもブランド力の低下につながります。
(サイトの中には実名を使い責任のあるコメントを入れるサイトもあります。)
逆に高い点数や高評価のコメントはプラスの要素となりますが、マイナスの要素が発生する可能性が少しでもあればやらない方がよいです。

情報を流すタイミングで、ライバルに差をつける

どのような作物を栽培しているか、それを伝えることによって、販売につながり売り上げとなります。中でもあまり出回っていないような変わった野菜や珍しい野菜は注目を浴び、値段も高く設定することが可能です。
問題は、「栽培している」という情報をいつ流すか、です。
私が2010年に初めて黒ニンジンを栽培したときのことです。最近のニンジンはオレンジの他に黄色、白、赤、紫などカラフルなものが多数出てきています。でも当時は黒ニンジンはまだまだ珍しく、マルシェや直売所で販売したらお客さんとの会話もはずみ、他の出店者と差別化が図れそうな野菜でした。飲食店のシェフも常に新しい素材にアンテナを張っていますのでニーズがあるだろうと思い、8月に種をまきました。
しかし、この時は種まきした事を記事にしませんでした。私が初めて黒ニンジンについてブログで発信したのは翌年の4月。この年の情報発信は「タケイファームで皆に先駆けて黒ニンジンを栽培している」という事実を伝えることが目的だったのです。そして翌年からは栽培している記事をアップしました。

珍しい黒ニンジン

あなたが珍しい野菜に出会い、種を入手し種まきをしたとします。ブログを開設している人やFacebookなどのSNSを利用している人は「珍しい野菜の種をまきました」と記事に書きたくなると思います。農作業日記はタイムリーにアップするべきですが、ちょっと待ってください。種まき時期に種まきの情報を流すということは、それを見た他の農家に「それって面白そう」と思わせ、栽培を勧めることになるかも。せっかく見つけた珍しい野菜を出荷するライバルを増やす事につながってしまうのです。
では、いつ情報発信すべきなのでしょうか。
私が黒ニンジンを初めて栽培したときのように、収穫し写真を撮影してから発信するのもよいと思いますが、飲食店が取引先の場合、メニュー構成などもありますのでそれでは少し遅いかもしれません。収穫の1カ月ほど前に一度「○○の栽培をしています」と発信しておけば、予約の注文が入り収穫時期にすぐに販売につなげることができるでしょう。要は「種まき時期が終了してから」がベストなタイミングなのです。そのときに珍しい野菜の存在を知った人が興味を持ち栽培しようとしても、翌年に種まきせざるを得ません。現在のインターネット時代、1年早く行動することで圧倒的に優位に立つことができるのです。そして、1年後、遅れて栽培を始めた人が情報を発信してくれることで、「珍しい野菜」はどんどん知られていきますので、その頃あなたはその先駆者となっているかもしれません。

黒ニンジンのジュース、甘くておいしい

野菜はあえて“見せない”。新聞紙一枚の効果!

想像してみてください。発送した野菜の宅配便が届いて段ボールを開ける時のお客さんの気持ちを。「何が入っているのだろう」「早く中を見たい」とワクワク感や期待でいっぱいで箱を開けることでしょう。
でも、私は「箱を開けてさらにワンクッション置く」ことをお勧めします。
タケイファームではお客さんに野菜を送る際、野菜の上に新聞紙をのせ、その上に挨拶文や納品書を同梱しています。まずはお客さんへの感謝の気持ちと、野菜を大切に扱っているという思いを伝えられるのではないかと思っています。
そして、満を持して新聞紙を取り去ると、お待ちかねの野菜の登場!というわけです。
早く野菜を見たい気持ちにワンクッションおくことで、お客さんの期待値をさらにあげられるのではないでしょうか。お客さんと野菜が出会うタイミングを少し演出することで、野菜の価値も上げられるでしょう。

箱を開けると新聞紙


新聞紙をめくると本日のお届け野菜

おまけの虎の巻

売り上げを上げるために、情報を発信することはとても大切なことです。ただし、その情報は本当に必要な情報かを見定めることが重要です。発信することによって起こるデメリットを考えて「あえて伝えない」。見せないテクニックを使ってイメージアップにつなげましょう。

参考記事
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農業を始めて一度の営業もせずに、栽培した野菜の95%をレストランへ直接販売しているタケイファームの武井敏信さんが、売り上げを伸ばすためのちょっとした工夫をお伝えします。

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