地下足袋を履かない理由
農家の履物と言えば地下足袋。その歴史は古く、発明されたのは約100年も前のことらしいです。現在も農家をはじめ、それ以外の職業の人達が履き続けているのですから、愛されている理由はたくさんあるのだと思います。思いますというのは、私は地下足袋をいまだに履いたことがないからです。
前にもお話ししましたが、私が農業を始めた理由は「農業をやりたかった」からでもなく「家を継がなければ」でもありません。30歳を過ぎて仕事を辞め、やりたいことも見つからず、人生をあきらめてこの世界に足を踏み入れました。子供の頃から絶対にやりたくない職業は農業でしたので、とにかく農業に対する前向きな考えは一切ありませんでした。家の玄関には両親がいつも履いていた汚れた地下足袋があり、私の中で農業のカッコ悪いイメージの一つとして残っていて、就農当初から長靴を履いていました。