グアバとはどんな果物?
グアバはフトモモ科バンジロウ属の熱帯果樹です。原産地は熱帯アメリカ、おそらく南メキシコからコロンビア、チリに至る地域ではないかと考えられています。現在はブラジル、ハワイ、ニュージーランド、インド、台湾など世界の熱帯・亜熱帯地域で広く生産されており、日本でも沖縄県や鹿児島県で作られています。
ビタミン類、食物繊維、ポリフェノールなど栄養を豊富に含み、「熱帯のリンゴ」とも呼ばれている南国を代表するトロピカルフルーツです。
グアバの収穫時期や旬について
一般的な収穫時期は9~10月が中心ですが、熱帯地方では周年実をつけるため一年中手に入りやすい果物です。とても強い植物で、インドでは夏季45℃、冬季4℃の状況下でも生育するといわれています。
国内のグアバは90%以上が沖縄で生産されており、8~10月にかけて旬を迎えます。日本では生のグアバに出会う機会はそうないので、この時期に沖縄へ出かけたらぜひ探してみてくださいね。
グアバの栄養と効果
ビタミンC
グアバ100g中にはなんと220mgのビタミンCが含まれていて、これは果物の中でもトップレベルの含有量です。ビタミンCには抗酸化作用があり、体を酸化から守る働きがあります。免疫力アップなども期待できます。またコラーゲンの生成と保持に欠かせない栄養素です。
ビタミンE
強い抗酸化作用のあるビタミンEは、血管の細胞膜のダメージを防いで血管そのものを健康に保ちます。また、美容にも欠かせない栄養素です。
ビタミンB群
「代謝のビタミン」とも呼ばれるビタミンB群は、糖質・脂質・タンパク質を代謝するときに重要な役割を果たす栄養素です。このビタミンB群がうまく働くことによって、疲れや倦怠感などを解消する効果が期待できます。
β-カロテン
赤肉種に多く含まれるβ-カロテンは、体内で必要な分だけビタミンAへと変換されます。皮膚や粘膜の細胞を正常にする働きがあり、免疫力アップや風邪の予防に効果が期待できます。
食物繊維
グアバにはペクチンなどの水溶性食物繊維と石細胞として存在する不溶性食物繊維の2種類の食物繊維が豊富に含まれています。水溶性食物繊維にはコレステロールの排出や急激な血糖値の上昇を防ぐ働きがあり、不溶性食物繊維には腸を整えて便通を促す働きがあります。
ポリフェノール
グアバ茶として使われるグアバの葉にはタンニンやケルセチンといったポリフェノールが含まれており、血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。
グアバの味わい
グアバといえばトロピカルフルーツのイメージが強く、ジュースを飲んだことはあっても生で食べたことはないという方も多いのではないでしょうか?
例えるならば、桃やリンゴなどのフルーツをミックスしたような味に酸味を少しプラスしたさわやかな甘さ。暑い夏に食べたくなる、そんな味です。品種によって食味に違いがあり、赤い果肉はトロッとしており甘みも強く、白っぽい果肉は比較的シャキシャキした食感でさっぱりとしています。特徴的なのはその香りで、熟すとムスクのような独特の甘い香りが部屋中に広がります。熟していないものは香りが無く、硬くてとても食べられませんので、しっかりと追熟(貯蔵による完熟)をさせましょう。
グアバのおいしい食べ方とレシピ
生食で皮ごと
グアバは完熟すれば皮ごと食べることができます。皮の近くにビタミンCが最も多く含まれるのですが、苦手な方も多いので、気になる場合はなるべく薄くむくことをおすすめします。また、種も食べることができますが、食べ過ぎは消化に悪いので気をつけましょう。
こちらも気になる場合はスプーンなどでくり抜いて食べるとよいでしょう。ただし、種周りの中心部は最も甘みが強いので、ザルでこしてジュースにするなどして利用してくださいね。
グアバジュース
【材料(2~3人分)】
グアバ…3~4個(約400g)
水…350ml
砂糖またはハチミツ…大さじ2
【作り方】
1. 皮をむきひとくち大に切る。
2.すべての材料をミキサーにかける。
3. 2をザルでこして種を取り除く。
水を200mlにして氷を10個入れると冷たいスムージーに。冷凍のバナナやベリー類を入れるのもおすすめです。グアバの甘さやお好みに合わせて砂糖やハチミツの量は加減してください。
グアバジャム
【材料(作りやすい分量)】
グアバ…10個程度
砂糖…1カップ
レモン汁…大さじ2
【作り方】
1. グアバは皮をむきひとくち大に切って、レモン汁と一緒にミキサーにかけて種をこす。
2. 鍋にこしたグアバ果汁と砂糖を入れて火にかけ、煮立ったら弱火にして40~50分程度煮込む。
3. もったりとしてきたら、熱いうちに瓶に移す。
グアバゼリー
【材料(作りやすい分量)】
グアバ…5個程度
砂糖…大さじ2
ゼラチン…2g
水…適量
レモン汁…大さじ1
【作り方】
1. グアバは皮をむきひとくち大に切って、かぶる程度の水を入れてミキサーにかけ、種をこす。
2. 1を鍋で温め、ゼラチンとレモン汁を入れる。
3. 型に流して冷蔵庫で冷やし固める。
グアバの保存方法
果皮が青く硬いうちは常温での追熟が必要です。香りが強くなり、やわらかく弾力のある手触りになったら食べごろです。洋ナシの追熟をイメージすると近いかもしれません。
食べごろのものは新聞紙に包んで冷蔵庫の野菜室などで保管。ただし、南国の果物なので基本的に寒いところは苦手です。冷やし過ぎには注意して、2~3日以内に食べきりましょう。また、生のままの冷凍保存には向かないので、冷凍したい場合はピューレやジャムにするとよいでしょう。
グアバにはどんな種類がある?
グアバは色や形、大きさなど多種多様で、近種も含めると160種以上のタイプが存在します。ここではよく知られている4種についてご紹介します。
グアバ(バンジロウ)
果皮は緑色から黄色のものが多く、果肉の色は赤肉種と白肉種に大きく分けられます。梨と同じ“石細胞”があるためシャリシャリとした食感が特徴ですが、果肉の色によって差があり、赤はねっとり、白はシャキシャキとした食感。それらを足して2で割ったようなピンクもあります。
ストロベリーグアバ(テリハバンジロウ)
果皮・果肉ともに赤く、熟すとイチゴのような甘い香りがします。グアバとは別種ですが、一般的にはグアバの仲間として紹介されます。直径3~5センチと小ぶりで卵形。葉が厚く光沢があることから和名ではテリハバンジロウと呼ばれています。
イエローストロベリーグアバ(キミノバンジロウ)
ストロベリーグアバの変種と言われていて、果皮・果肉ともに黄色で熟すとイチゴのような香りがします。酸味が少なく風味がよい品種です。
フェイジョア
こちらも別種ですが、別名パイナップルグアバと呼ばれ、よくグアバの仲間として紹介されます。果皮は緑色で果肉はクリーム色、中心部がトロッとしたゼリー状になります。パイナップルやイチゴ、バナナ、リンゴを混ぜたような甘い香りが特徴です。
スーパーフード「グアバ」で体の中からきれいになろう!
香りがよく、ジュースやゼリー、シャーベットなどの加工品としても人気の果物、グアバ。実は美容や健康に不可欠なビタミンCなどの栄養素を豊富に含む優秀な食材です。グアバを食べて「体の中からキレイ」を目指しましょう。
監修:日本野菜ソムリエ協会