小さな葉が一枚60円?! カキ(牡蠣)の味がする不思議な葉、オイスターリーフとは

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小さな葉が一枚60円?! カキ(牡蠣)の味がする不思議な葉、オイスターリーフとは

連載企画:育てるならレア野菜

小さな葉が一枚60円?! カキ(牡蠣)の味がする不思議な葉、オイスターリーフとは
最終更新日:2020年08月18日

世の中には不思議な野菜があります。見た目はただの葉っぱなのに、あの海のカキの味がする、その名も「オイスターリーフ」。今までこれほどまでにカキの味がするものはカキ以外に食べたことがありません。私が知る限り、食べた人は100人中100人が「カキだ……」とつぶやきます。今回はそんな不思議な野菜「オイスターリーフ」に注目してみましょう。

西洋野菜をはじめ珍しい野菜を年間約140種類、19年間で350種類以上栽培し、それらを直接レストランへ販売しているタケイファーム代表、武井敏信(たけい・としのぶ)が、レア野菜の魅力や育て方のコツを余すところなく紹介します。

オイスターリーフとはどんな野菜?

オイスターリーフはその名の通り、カキの味がする不思議な葉っぱです。スコットランドや北米の海岸沿いに自生するムラサキ科ハマベンケイ属の多年草植物で、栽培すると納得できるのですが、高緯度地帯が原産なので耐寒性があります。
まだ一般的には流通していませんが、あるサイトでは葉30枚で1600円ほどで販売されている高級野菜で、タケイファームでは1枚60円で販売しています。主にレストランで使用され、カキの味がするだけあって魚介類との相性が良く、スズランの花に似た可愛らしい花もカキの味がして、エディブルフラワーとしての人気も高いです。

オイスターリーフとの出会い

私がオイスターリーフを知ったのは2014年7月。何気なく観ていたテレビ番組で、リポーターの女性が突然「えっ、ナニコレ、カキの味がします!」と叫んだのです。それはフランスの三つ星レストランを紹介する番組で、そのレストランの敷地内にある自家菜園で栽培されていたのが「オイスターリーフ」でした。「カキの味がする葉っぱを食べてみたい! 栽培してみたい!」これが私のオイスターリーフとの出会いでした。当時から飲食店をメインに出荷していましたので、私の中では確実に売れるという自信がありました。しかし、インターネットで検索するも情報は見つからず、「フランスのお店に行くしかないのか……」と一度はあきらめムードに。
しかし、定期的にインターネットで珍しい野菜を探していた私はついにオイスターリーフの苗を見つけました。テレビで観てからわずか4カ月後の11月、オイスターリーフ栽培の挑戦が始まったのです。

1枚のオイスターリーフが引きだす力

流通しているオイスターリーフは6センチ前後のものが多いのですが、タケイファームで出荷しているサイズは2~3センチ。理由は2つあります。
1. 飲食店で料理の付け合わせに使われることが多いので小さめが好まれる。
2. 大きくなると張りがなくなり品質が低下しやすくなる。

この小さな1枚の葉っぱがもたらす力、それはズバリ、サプライズ感です。食べた人のほとんどがまるで本物のカキのような味に驚きます。カウンターでお客さんと対面しているお店では、カキの料理の後に1枚のオイスターリーフを出し、それを食べたお客さんは不思議そうな顔をして驚きます。あるいは、コース料理のひと皿にトッピングされたオイスターリーフに驚き、サービスの人を呼んで「これは何という野菜ですか?」と質問します。共に、1枚のオイスターリーフがお店とお客さんとの距離を縮めるコミュニケーションツールとなるのです。これを考えると1枚60円という価格は決して高くはありません。
百貨店へ出荷していた当時は珍しかったので、お客さんから問い合わせが入るらしく、青果担当者からよく連絡があったものです。

百貨店へ出荷していたころのオイスターリーフ

オイスターリーフの食べ方

オイスターリーフは、加熱すると特徴であるカキの風味が飛んでしまうため、生食に限定されます。そのまま食べるとカキの味がする不思議な葉っぱに驚くことは間違いありませんので、お客さんを招いての食事会などで出してみるのも楽しいと思います。

オイスターリーフの存在感、レストランでのひと皿

料理として食べるなら、調理というよりも魚介類と合わせトッピングに!
せっかくですので裏技を紹介しましょう。
柔らかい牛肉(特上の国産牛がおすすめ)を1センチ角のキューブ形に切って表面のみを軽くソテーします。その肉をカキの殻の上にのせ、オイスターリーフを1枚のせて完成です。カキの殻を器にしているので頭の中にイメージとしてカキが浮かびます。食べてみると、レアな牛肉の食感が生ガキのようで、味はオイスターリーフでしっかりとカキの味。本物のカキを使わずに再現できるという仕掛けです。

オイスターリーフの育て方

種から育てるか、苗から育てるか

オイスターリーフを栽培する上で、まず考えなければならないことが種から育てるか、苗から育てるかです。どちらもインターネットで購入することができます。
オイスターリーフの栽培における第一の問題点は、極端に低い発芽率。私が種から栽培した時は、80粒まいて発芽したのはわずか3本、発芽率3.75%でした。しかも当時私が購入した種は10粒入って税込み1080円、8640円使っての結果がこれでしたので、それ以降、種からの栽培はやめました。
第二の問題点は、高温多湿に弱いということ。高緯度地帯が原産なので寒さには強いが蒸し暑さにはとことん弱く、私の畑のように露地栽培ですと梅雨時期の蒸し暑さでほぼ枯れてしまいます。
幸いにして、発芽した3本は苗まで成長し、無事に畑に植えることができました。

貴重なオイスターリーフの発芽

自宅で楽しむにはプランターで育てるのがおすすめ

オイスターリーフは多年草ですが、露地栽培ですと高温多湿によりほぼ枯れてしまいますので、畑と並行してプランターでも育ててみました。プランターのメリットは、栽培している場所の移動ができるところ。風通しの良い場所に移動させたことによって、一度は枯れてしまったかのように見えたのですが、3月頃から新しい芽が出てきました。順調に育つと直径50センチほどに広がりますので、プランターや植木鉢は大きめのものをおすすめします。

プランターでの栽培

最終的にたどり着いた栽培方法

収穫に至るためには、苗を購入するのがベストだと思います。苗は3月頃と9月から11月頃に出回ります。露地栽培の場合、3月に植えても成長した頃に梅雨時期と重なり、ビジネスベースでの売り上げはあまり期待できません。そこで、寒さに強い性質を利用して、11月に購入した苗をマルチを張ってトンネル栽培で育てるのがおススメ。冬の間も収穫ができ、それが梅雨時期まで続きます。マルチを張ったことにより、雨などの泥はねを防ぐこともできますし、4月以降はトンネルのサイドを開けておけば雨よけとなり、品質の良いオイスターリーフの収穫が可能となります。また、アブラムシがつきますので見つけたら早めに駆除することをおすすめします。

冬の栽培、マルチとトンネルで保温

細かいことは気にしなくて大丈夫

私が初めてオイスターリーフを栽培した時に得た情報は以下になります。

  • やや酸性で水はけの良い土壌を好む。
  • 鹿沼土に富士砂、桐生砂などの水はけのよい混合土を利用する。
  • 日当たりの良い場所を好む。
  • 元肥として緩効性肥料等を控えめに施す。
  • 収穫期は株が成長する秋~12月頃が目安。
  • 多年草扱いだが、高温多湿に弱いため、日本では秋~真夏までの一年草と割り切って育てた方がよい。
  • 寒さには非常に強く、戸外で越冬可能。

初めて栽培した時は畑に木で枠組みをし、その中に鹿沼土や富士砂、桐生砂を混ぜ土作りをしました。枠組みをしたのは、畑に砂などを入れないためです。今は、そこまで気にすることはなく、他の作物と同じように畑に植え、ぼかし肥料を投入するくらいです。プランターの場合は、ホームセンターなどで販売している野菜用の土で大丈夫です。

枠組みをして初めて栽培に挑戦

まとめ

高価な種ですが、花が咲いてしまえばその後に種ができます。1輪の花から4つの種が採れますので、家庭菜園でオイスターリーフの栽培にチャレンジしてみたいと思う人は、一度苗を購入して花を咲かせるまで育ててみてはいかがでしょうか。

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