ブッシュバジルとは?
ブッシュバジルの3つの特徴
ブッシュバジルの特徴は3つあります。
- 一枚の大きさが1センチほどの小さな葉
- 一般に流通しているスイートバジルよりも香りが強い
- 草丈が30センチほどのこんもりしたブッシュ形に生育する

左がブッシュバジル、右がスイートバジル
ちぎらず使える小さな葉が料理を引き立てる
一般的に流通しているスイートバジルの場合、葉が大きいのでトッピングなどに使用する際に1枚の葉をちぎって使用することもありますが、ブッシュバジルの場合は1枚の葉をそのまま使うことができ、その姿形を料理に生かした表現ができます。
ミニトマトのアイコと小さ目のアメーラルビンズでカプレーゼを作ってみました。ミニトマトが大きく見えるサイズ感に注目してください。アメーラルビンズのサイズがブッシュバジル1枚のサイズとピッタリ! アイコには数枚トッピングしてちょうど良い感じです。これがスイートバジルであれば葉をちぎらなければなりません。ちぎられた葉っぱよりもそのままの形をした葉っぱの方が食欲もわきませんか。

左がアメーラルビンズ、右がアイコ。ブッシュバジルの大きさがちょうど良い
個性の強い食材にも負けない香り
さらに、小さな葉っぱにもかかわらず、スイートバジルに勝る香りの強さも特徴。トマト、モッツァレラチーズ、オリーブオイル、黒コショウなどの個性の強い食材にも負けず、カプレーゼの味がまとまり、素材の味や食感を楽しむことができます。

カプレーゼもおしゃれに!
こんもり丸い形状に育つブッシュバジル
ブッシュバジルは、順調に育つと高さ30センチ直径50センチほどの大きさに成長します。そこに無数の小さな葉が密集していてまさにブッシュ(低木の茂み)。
スイートバジルと違ってこんもりとかわいい姿を鉢植えで楽しむことができ、観葉植物としてのポテンシャルも感じます。

きれいなブッシュ形に成長した畑のブッシュバジル
レストランで人気急上昇!
今では夏のハーブとしてメジャーになっているバジル、シェフたちの間ではなおさらです。
私は夏になると栽培したブッシュバジルをレストランへ出荷しています。そのサイズ感と香りが気に入られ、最近では夏前からいつ頃出荷できるか、取引先のシェフから問い合わせが入ってきます。
シェフたちの間で人気が上昇している理由はもう一つあり、食事をしたお客さんの反応がものすごく良いとのことです。今まで知っていたバジルよりもとても小さな葉っぱで、小さいくせにその存在感が強く、さらに可愛らしいビジュアル。料理の写真を撮るのも盛り上がっているようです。
ブッシュバジルの使い方は葉だけではありません。白い花が咲きますので、そのままエディブルフラワーとしてサラダなどのトッピングに使うことができます。花が咲いた後は、シソの実と同じようにバジルの穂から実だけをとって料理に散らしたりすればアクセントにもなり大活躍します。

枝のままトッピングされたブッシュバジルの花(左下)。レストランでのひと皿
ブッシュバジルの育て方アドバイス
栽培方法は、基本的にスイートバジルと同じです。違いがあるとすれば、背丈が30センチほどにしか成長しないこと。おかげで風で倒れたりすることもありません。
種から育てるか、苗から育てるかですが、家庭で楽しむのであれば、苗を購入するのがよいと思います。種の場合ですと、たくさんの苗ができてしまいますが、苗であれば2本ほど育てればその年の夏はバジルを楽しむことができます。苗は、ホームセンターやオンラインショップで入手できます。順調に育つと直径が50センチほどになりますので、使用する鉢のサイズを合わせて選んでください。基本的な栽培テクニックは、日当たりが良く風通しの良い場所に置き、鉢の場合、表面が乾いたら水やりをします。
きれいなブッシュ形に成長すると真ん中が蒸れて状態が悪くなりますので、早めに剪定(せんてい)をかねて収穫をしてあげてください。
バジルは1年草で耐寒性がなく冬越しはできませんので、平均気温が15℃以下になると生育が停滞してきますが、9月頃までは楽しむことができます。柔らかい葉を長く楽しむには、こまめに花芽を摘み花は咲かせないようにしましょう。
バジルが黒くなる3つの原因
バジルを買いに行ったら、葉っぱが黒くなっていて買う気がなくなった経験はありませんか? バジルが黒くなるには理由があるのです。これを知らないとせっかく収穫したバジルが黒くなってしまいます。私もそうですが、バジルを出荷する農家さんの悩みの一つでもあるのではないでしょうか。原因を知らないと対策を練ることができませんので、結果NGなバジルを届けていることになります。黒くさせないために、3つの原因を知っておいてください。
1. 低温障害
2. 水にぬれている
3. 傷
1. 低温障害
バジルの原産地は東南アジアからインドにかけての熱帯地域です。暑さには比較的強いのですが10℃以下では枯れてしまいます。農家さんが宅配便で発送する場合、夏場の植物ですのでクール便を利用する人が多いと思います。たとえばヤマト運輸のクール便は10℃以下ですので、普通にダンボールに入れていたのでは黒くなってしまいます。この対策は後程説明します。
2. 水にぬれている
水にぬれた状態で冷蔵庫に入れると一発で黒くなってしまいます。洗って冷蔵庫に入れるのは黒くさせているようなものです。収穫する際にも注意が必要で、雨でぬれている状態で収穫しそのまま冷蔵庫に入れるのもNGです。要はぬれているバジルは完全に水気を切らないと黒くなってしまうということです。そのため私は朝露でぬれたバジルは収穫しません。
3. 傷
葉に傷があるとその傷口が黒くなってしまいます。収穫する際やビニール袋に入れたりする時にも注意が必要です。
試しに朝露で少しぬれた状態で収穫したバジルをキッチンペーパーに包んでビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で1日保存。低温障害と水にぬれていたことで見事に黒くなりました。

低温障害で黒くなったバジル
バジルの保存法
原因を理解したところで、ではどうやって保存すればよいかを説明します。
家庭で保存する場合
収穫したバジルは新聞紙やクッキングペーパーで包み、それをビニール袋に入れて、その上から新聞紙で包んで冷蔵庫に入れます。この時、冷蔵庫に置く場所に注意が必要で、冷気があたる場所はさけてください。
農家が出荷する場合
クール便などで発送する農家さんの対策です。タケイファームでは、収穫したバジル(水にぬれていない、傷が付いていないが前提)を15分以内にクッキングシートに包んで、一回り大きめのサイズの鮮度保持ビニール袋に入れます。さらにそれを新聞紙で包むことによってクール便での発送にも対応できます。最初にクッキングシートや新聞紙で包む最大の理由は、ビニールに直接触れてしまうと傷が付いてしまうからです。包まない場合はフードパックなどの容器に入れましょう。空間ができますので、傷が付くことを軽減できます。

きれいな小さな葉が無数に
まとめ
小さな葉っぱ1枚に秘められたブッシュバジルの魅力。鉢植えでも簡単に育てることができます。自分で育てれば使うときに収穫でき、低温障害の心配もありません。フレッシュなバジルをぜひ楽しんでみてください。