はっさくとは?
はっさくは、日本原産の柑橘(かんきつ)です。江戸時代に瀬戸内海の島、広島県因島市のお寺で偶然に発見されました。サイズはだいたい直径7~10センチ、重さは300~400グラムで皮は黄橙色をしています。
皮は厚く、中の袋の部分(じょうのう)もむいて果肉だけを食べます。果肉は柑橘には珍しくサックリとした食感があり、適度な甘さと酸味を感じます。また、果汁はやや少なめで、ほんのりと苦みがあるのも特徴です。
高い糖度で甘くてジューシーなミカンが出回る中、はっさくは昔なつかしい素朴な甘みが味わえる柑橘と言えます。
旬の時期
はっさくは12月頃から収穫が始まり2月中旬頃に収穫を終えます。普通は、収穫後に1~2カ月貯蔵され、酸を抜いてから出荷されます。はっさくの出回り時期は1月中旬ごろから4月下旬までとされていますが、おいしい時期は2~3月と言えます。
また「木成り」と言って実を木の上にならせたままで完熟させたものは3月中旬頃が収穫時期です。
はっさくは八朔と書きます。これは旧暦の8月1日のことです。1日を朔日(さくじつ)と呼んだことから旧暦の8月1日は「八月朔日」、略して「八朔」と言います。
はっさくが発見されたお寺の住職が、この「八朔」のころには食べられると言ったことから八朔と呼ばれるようになったと言われているようです。
カロリーの目安
はっさくの可食部(※)100g当たりのカロリーは45kcalです。1個300gのはっさくの場合、可食部は約200gになります。バナナが100g当たり86kcal、リンゴは57kcalと、おなじみの果物と比較しても低カロリーです。
※ 砂じょう・生の場合。砂じょうとは中の袋の部分をむいた果肉のつぶつぶのこと。
はっさくに含まれる主な栄養素は?
ビタミンC
抗酸化ビタミンの一つとして知られるビタミンCは、その抗酸化力でLDLコレステロールの酸化を防いだり、ホルモンの合成を促したり、鉄の吸収を助けたりする働きがあります。またメラニン色素の沈着を防ぐ働きもあります。
ビタミンCは、熱や光に弱く、酸化しやすいのではっさくのようにむいて生のまま食べる方が効率よくとることができます。
アスパラギン酸
アスパラギン酸はアミノ酸の一種です。
疲労物質である乳酸の分解や、たんぱく質の合成を促し、疲労回復などの役に立ちます。ドリンク剤などにも利用されています。
クエン酸
クエン酸は柑橘類に共通して多く含まれています。体内でカルシウムの吸収を助けたり、炭水化物の代謝アップを促すなどの効果があると言われています。
また、疲労の原因物質であり、肩こりや腰痛の原因にもなる乳酸を抑える働きもあります。
ビタミンP
はっさくの袋や筋の部分に多く含まれるヘスペリジンはビタミンPの一種でビタミンCの働きを助け、ビタミンCの抗酸化作用をサポートします。
β-クリプトキサンチン
オレンジ色の色素成分のβ-クリプトキサンチンは、ビタミンAと同様の働きがあり強い抗酸化作用があり、免疫力を高める効果も期待できます。
特に皮の部分に多く含まれれています。
オーラプテン
オーラプテンは皮に含まれる色素成分です。抗酸化作用を持ち肌や髪を美しく健康に保つ効果も期待できます。
はっさくの切り方・むき方は?
1. 皮にナイフを放射線状に入れ、中央を切り抜く
外側の皮は硬いのでナイフで放射線状に切り込みを入れ、上部の中央を丸く切り抜きます。
2. 皮をむき、身を取り出す
1で放射線状に切れ込みを入れた皮をはがすように手でむき、身を取り出します。
3. ふさをバラす
取り出した身を一つずつのふさにバラします。
4. 内側の袋をむく
バラしたふさの上部を包丁で落とし、袋を開くようにむき中身を出します。
はっさくをおいしく食べられる簡単レシピ
はっさくジュース
【材料(1人分)】
- はっさく…1個
- 砂糖…お好みで
【作り方】
- はっさくは果肉を取り出します。
- 1と砂糖をミキサーにかけます。
- カップに注いで出来上がりです。
はっさくの酸味が気になる場合は砂糖を加えたり、バナナ1/2本加えるのもおすすめです。また、苦みや食感が気にならない人は袋ごとミキサーにかければ簡単で、はっさくをまるごと味わえます。
はっさくジャム(はっさくマーマレード)
【材料】
- はっさく…2個
- グラニュー糖…200g(はっさくの分量と砂糖が2:1)
- レモン果汁…小さじ2
【作り方】
- はっさくは外皮と袋をむいた果肉とに分けます。
- はっさくの外皮は千切りにします。沸騰した湯に外皮を入れ、2分待ってゆでこぼします。これを3回繰り返したら、ザルにとり水につけておきます。苦みはゆでこぼした後に皮を食べてみて、煮る回数で調整してください。
- 鍋に果肉、水気を切った2、グラニュー糖を入れて煮詰めます。
- 煮沸した保存瓶に入れます。
はっさくゼリー
【材料(4個分)】
- はっさく…1個(果肉の分量約200g)
- グラニュー糖…70g
- 水…適量
- 粉ゼラチン…5g
- 水(ゼラチン用)…大さじ2
【作り方】
- はっさくは果肉を取り出します。
- 1を小さめの鍋に入れ、グラニュー糖を加え弱火で煮ます。
- 2を果肉と果汁に分け、果汁は水を足して300mlにします。
- 耐熱容器にゼラチン用の水大さじ2を入れ、粉ゼラチンを入れてふやかし、500Wのレンジに約40秒かけ溶かします。
- 3の果汁に4の溶かしたゼラチンを加え混ぜます。
- カップに果肉を均等に入れ、5を流し入れて冷蔵庫で冷やし固めます。
はっさくのおすすめ保存方法
はっさくは冷暗所に保存すれば2~3週間持ちますので、風通しの良い直射日光の当たらない場所に置きましょう。また冷蔵庫に入れる場合は乾燥を防ぐためラップで包むか、ポリ袋に入れ野菜室で保存して下さい。保存方法を守れば長く保存でき、おいしい期間を保てます。
美味しいはっさくの選び方は?
はっさくの旬は2月から4月の頃。美味しいはっさくの選び方は、実に葉がしっかりとついているか、皮のハリや香りは良いか、手に持ったときに重みを感じることができるか、が大まかな目安になります。
はっさくの実の色は明るい橙色でツヤがあり、甘くさわやかな香りのものを選ぶといいでしょう。ずっしりと重量感のあるもの、皮にハリがありヘタが緑色で瑞々しいものが美味しいはっさくといえます。
皮がしわしわとしなびたものや、外皮に茶色い部分があるはっさくは選ぶのを避けましょう。美味しいはっさくの大きさですが、直径7センチから10センチのおおぶりなもの、重量は300グラムから400グラムのものが良いとされています。
はっさくは日持ちのするくだものです。冷暗所に置いておけば2週間から3週間は美味しく食べられます。部屋の温度が高いときは、ラップに包むか袋などに入れ冷蔵庫で保存すると長持ちするでしょう。
はっさくの品種は?
紅八朔
紅八朔は1951年(昭和26年)に広島で発見された枝変わり品種です。枝変わりとは、木の一部の枝にだけできる突然変異のこと。紅八朔はふつうのはっさくよりも、果皮が少し赤みを帯びているのが特徴です。
皮はやや厚めで、果肉はしっかりとしています。甘みにほどよい酸味が加わった果汁はとてもジューシーで皮を剥くと良い香りがふわっと広がります。
早生八朔
早生八朔は、ふつうのはっさくよりも熟すのが早く収穫時期も早い品種のこと。果皮の色はふつうのはっさくより若干薄い色をしており、皮も薄めなのが特徴です。
甘みは控えめでそのかわり酸味が爽やかに口の中に広がり、シャキシャキとした歯ごたえを楽しむことができます。
主なはっさくの産地は?
はっさくは江戸時代に広島県で発見されましたが、現在の主な生産地は和歌山県です。2018年度、全国に出回っているはっさくのおよそ75%ほどが和歌山県で生産されています。
生産量の第2位は広島県で、続いて徳島県、愛媛県、大分県などが主な生産地です。国内生産量の91%を、和歌山県、広島県、徳島県が占めています。
はっさくの皮は風呂に入れてもいい?
美肌効果が期待できる
はっさくの皮には、リモネンという成分が多く含まれています。
リモネンは血流を良くし、肌荒れやシミ、シワに効果があるとされ、さらに、リモネンの香り成分にはリラックス効果もあり、美容とリラックスのふたつを同時に叶えてくれるのが特徴です。
そのままか乾燥させて入れよう
生のままのはっさくをお風呂に入れる場合は、皮についたワックスなど余分な成分をしっかりと水で洗い流し、入れるようにしましょう。
お風呂の中で、はっさくの皮が剥がれたりつぶれたりすることもあるので、ネットなどに包んで使用するとごみ処理が楽になります。乾燥させてお風呂に入れる時は、はっさくの皮を2日ほど太陽の光で乾かし、十分に乾燥させましょう。
はっさくの皮に含まれる成分は乾燥させることで凝縮され効果が高まり、広がる香りも生で使用するよりも乾燥させた状態の方がより良い香りがします。
はっさく風呂の注意点
はっさくの皮にはリモネンという成分が含まれています。
リモネンは肌にふれると刺激を感じる場合があり、小さい子どもや敏感肌の人は注意が必要です。乾燥させるとリモネンの働きが緩やかになるので、肌トラブルを避けたい人は乾燥させたはっさくの皮を使用するようにしましょう。
はっさくは家庭菜園できる?
他の柑橘類と一緒に育てるのがおすすめ
はっさくは、自家結実性の低い品種なので、夏みかんや甘夏などの混植が必要。単植で育てると果実の大きさが小さいものになってしまいます。はっさくは花が開いたら、夏みかんや甘夏の花粉を使って人口授粉することが重要です。
そうすることで実のつきが良くなり果実も大きくなります。肥料は毎年3月に有機肥料を施し、6月と10月の下旬から11月の上旬くらいに、速効性のある化成肥料を与えます。収穫の時期は12月中旬から1月上旬頃です。
温かい地域が最適
はっさくは関東南部より西側の温かい地域が栽培に適しているとされています。はっさくというものは木の勢いの強い果樹です。地植えで育てる際にはある程度の広さのある場所を選び、南向きの日光のよく当たる場所で冬の冷たい風に当たらないところに植えると良いでしょう。
温かい地域以外での栽培では、寒害を避けるため12月中旬から1月上旬ころに収穫し貯蔵を経てから食べると美味しいはっさくを味わえるでしょう。
果肉も袋も皮も栄養豊富のはっさく! 余すことなく楽しみましょう
はっさくはそのままでも、加工しても実の全てを余すことなく楽しんでいただける果物の一つです。
はっさくの季節がやってきたら、ぜひいろんな方法で食べてみてくださいね。
監修:日本野菜ソムリエ協会
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