マルシェの売り上げはもっと増える! だれでもできる工夫とは

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マルシェの売り上げはもっと増える! だれでもできる工夫とは

連載企画:営業しない農家の売上アップ術

マルシェの売り上げはもっと増える! だれでもできる工夫とは
最終更新日:2020年09月16日

農業を始めて一度の営業もせずに、現在は栽培した野菜の95%をレストランへ直接販売しているタケイファーム代表、武井敏信(たけい・としのぶ)です。このシリーズでは売り上げを伸ばすためのちょっとした工夫をお伝えします。

マルシェは消費者と交流し自分のことや生産物を知ってもらう良い機会でもあり場でもあります。もちろん売り上げは重要視しなければなりません。さらに、長く続けていくには消費者とのコミュニケーションにも目を向けなければなりません。今回は、売り上げはもちろん、効率がアップするテクニックを伝授します。

農家が陥りがちなマルシェの出店の仕方

マルシェの出店は、数多くある野菜の販売方法の中で、対面販売による接客が必要となります。このお客さんとのコミュニケーションが好きで出店する人も多いのではないでしょうか。ところが実際に出店してみると、一日の中で何度も慌ててしまう場面に遭遇します。準備はしっかりやっているはずなのに不思議なものです。もっとコミュニケーションを楽しみ、農園をPRし、さらには売り上げを確保するために、解決のヒントをお伝えします。

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タケイファームが販売していたサラダセット

タケイファームがマルシェで野菜を売っていた4つの理由

現在は栽培した野菜の95%をレストランへ発送しているタケイファームですが、マルシェでの経験は今の土台になっています。
当時私がマルシェに出店していたのには、4つの理由がありました。

1. 利益をあげる
2. 知名度をあげる
3. お客さんとの交流で得るものがある
4. 挑戦したい

これらを、私が参加していた「はりまざかマルシェ(※)」での経験をもとに説明していきます。

※ 現在は開催していません。

利益があがる価格設定

マルシェや直売所のお客さんにとっては、「新鮮、おいしい、安い」という3つのイメージが強いですから、値段設定は慎重にならなければなりません。しかし、自分が納得する価格で野菜を売り、しっかりと利益をあげることも大切です。そこで重要になるのが、マルシェの場所や客層と価格のバランスです。
「はりまざかマルシェ」は、東京都文京区の茗荷谷(みょうがだに)駅から5分ほどの播磨坂にあるミシュラン一つ星レストラン「中勢以(なかせい)」さんの店内で開催されていました。2012年6月、当時の中勢以の社長さんから「レストランに併設している肉屋の店頭で野菜を販売してほしい」との相談がありました。現場で打ち合わせをした後、2時間ほど播磨坂周辺をブラブラ歩きながら、どのような街か、どのような人達が暮らしているのかを見てみると、比較的裕福な人達が暮らしていることがわかりました。「ここなら自分が納得できる価格で野菜が売れるかもしれない」と思い、千葉県の農家さん20人ほどに集まってもらい、その中の私を含めた8人で翌月からスタート。実際に販売してみると、キュウリは1本100円、3本入りは300円、サラダセットなどは500円の価格を付け見事に完売となりました。
ここでの経験から、これから開催するマルシェは出店する場所や客層を見極めクオリティーの高い野菜を販売すれば、必ず自分が納得できる価格で売れるという気持ちが芽生えました。皆さんも、この点はしっかり考慮してマルシェでの価格設定を考えてみてください。

知名度をあげる

マルシェでは利益をあげる目的もありましたが、それと同じくらいの比重を置いていたのがタケイファームの宣伝です。中勢以さんは熟成肉ブームの火付け役とも言われ、他のレストランのシェフたちが注目しているお店。当然、彼らが客として食べに来ますので、マルシェに出店することで新たなシェフとの出会いが期待できたのです。実際にテレビ番組「アイアンシェフ」で和の鉄人として出演した世界的にも有名なシェフや、オランダの三つ星シェフとも会うことができました。どこに知名度をあげるチャンスが転がっているかはわかりませんが、私が住んでいる千葉の松戸市だけで売っているよりも確率が上がることは確か。皆さんも自分がどういう人たちに訴求したいかを考えて、出店するマルシェを選んでみてはどうでしょうか。

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オランダの三つ星シェフと記念撮影

お客さんとの交流で得るもの

マルシェは対面販売ができる数少ない場所です。固定客が増えることによって、直接野菜の感想を聞くこともできますし、自分が知らなかった調理法なども知ることができます。時には予想もしていなかった質問がある時もあります。リアルにお客さんと接して学ぶことができ、自らのセールストークを磨く最高の場所であると思います。

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お客さんとの交流は財産

農業の新たな可能性を試したい

中勢以の社長さんからは「やりたいようにやってください」と言われていましたので、マルシェという舞台を使い、さまざまな取り組みを試してみました。
・1人当たりの1日の売り上げ目標は10万円!(過去最高売り上げ金額は14万円超えでした)
・いまだにやっている人がいないだろう野菜セットの販売
・モチベーションアップのために売り上げでフランス旅行を企画
・よりよいマルシェを目指して月に1度集まってのミーティングは欠かさない

そして、メンバーは他のメンバーがやっていることを学んで自分の農業に取り入れ、加工品を始めたり、販売先を開拓したりとそれぞれの挑戦が始まりました。

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陳列の様子

マルシェの工夫

少しの簡単な工夫でマルシェが効率化され、売り上げをあげることができます。誰もがすぐにできる4つの工夫を紹介します。

1. 価格の設定は50円刻み
2. プライスカードの工夫
3. 買い物カゴの大きさ
4. 簡単にできる集客のカウント方法

価格の設定は50円刻み

販売する野菜の価格設定をどう考えていますか? 日本人の購買心理として200円よりも198円、180円と値付けされている方が割安感も出てつい手に取ってしまいます。スーパーや道の駅のように野菜を陳列してレジで支払う販売方法であればこれでも良いのですが、マルシェとなると対面販売で自らの接客が必要となります。経験したことがある人は分かると思うのですが、お客さんが集中した時はあせりも出て接客も十分にできなくなります。この状況で野菜の値段が90円、180円、280円と設定されていたら電卓が必要になります。
そこで、私がマルシェで設定した基本ルールの一つが「価格設定は50円刻み」です。200円、250円、400円という価格設定ですと暗算で計算ができ間違いも予防できますし、何より準備するおつりがシンプルになります。会計の時間が短縮できることによって、お客さんとのコミュニケーションに時間を使うこともできるようになります。なお、価格は税込価格とします。

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おつりはシンプルに

プライスカードの工夫

プライスカードに必要な事項は、伝えたいことを書くことです。値段、商品名、商品説明。これらをどのような順番で伝えたらよいでしょうか。

一般的なプライスカードを例にとると、
「キュウリ、200円、朝採れ、サラダに!」
このように、商品名を伝え、値段、商品説明がきます。
マルシェで有効なのは、商品説明、商品名、値段の順番です。マルシェに来店するお客さんは雰囲気で買い物をする傾向にありますので値段はあまり見ていません。実際に、開店準備中に来店した客は、プライスカードも付けていないのに野菜をカゴに詰めて購入してくれました。
マルシェでのプライスカードは、
「朝採れ、サラダに!キュウリ、200円」となります。最後の値段は小さな字でも大丈夫です。

プライスカードもシンプルに!

買い物カゴの大きさ

カゴを用意する場合は、絶対に商品がたくさん入る大きめのものがおススメです。
マルシェを始めた頃に用意した買い物カゴは、100円ショップで購入した大きさが30センチ×20センチ×15センチのおもちゃのようなものでした。小松菜3束入れたら一杯になってしまうようなサイズです。その後、スーパーの買い物カゴと同じ大きさのものに変えたら売り上げは倍になりました。

簡単にできる集客のカウント方法~客数のカウントでデータ収集~

マルシェでその日の売り上げがいくらかはすぐにわかりますが、1日に何人の人が購入したかをカウントしていますか? 集客のデータは、今後の展開に役立つ情報となります。マルシェで一番判断が難しい雨の日の集客数などは、データの積み重ねで予想がつけやすくなります。せっかくお客さんが来てくれるのですから、それをカウントしてみてください。やり方は簡単です。簡単なチラシを配るのです。農園の紹介や次回の出店情報、食べ方のレシピなどなんでもかまいません。そして、立派なフライヤーでなくても十分です。パソコンでプリントアウトしたもので問題ありません。そのチラシを購入してくれたお客さんに配布するだけ。100枚用意しマルシェ終了後手元に30枚残っていれば、70人のお客さんが購入してくれたことがすぐにわかります。

おまけの虎の巻

小さな問題点を放置せず、解決方法を見つけることが売り上げアップのコツ

マルシェで売り上げが伸びない、来店数が少ないなどいろいろな問題は必ず発生します。その発生した問題が見つかれば改善できる道は開けます。1度や2度うまくいかない時があったからといって止めてしまっては成功するものも失敗してしまいます。成功するためにはとにかく継続して問題を見つけてみてください。そしてできるだけシンプルな解決方法を見つけることがコツです。

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