花としても野菜としても際立つ個性! アーティチョークとは

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花としても野菜としても際立つ個性! アーティチョークとは

連載企画:育てるならレア野菜

花としても野菜としても際立つ個性! アーティチョークとは
最終更新日:2020年09月16日

つぼみは野菜として、花は花材として利用でき、枯れたらドライフラワーになり、いずれも高値が付くレア野菜、「アーティチョーク」。しかも一度食べたら病みつきになる味。形も独特で個性的なアーティチョークは、比較的簡単に栽培が可能です。日本最大級のアーティチョーク畑を持つタケイファームが特別にそのノウハウを伝授します。

西洋野菜をはじめ珍しい野菜を年間約140種類、19年間で350種類以上栽培し、それらを直接レストランへ販売しているタケイファーム代表、武井敏信(たけい・としのぶ)が、レア野菜の魅力や育て方のコツを余すところなく紹介します。

アーティチョークとは?

「アーティチョーク、聞いたことはあるけど食べたことはない。どんな味か想像もつかない」という人は多いのではないでしょうか。アーティチョークは日本ではほとんど流通していない西洋野菜の一つですが、ヨーロッパのマルシェでは山積みにされ、1個1ユーロほどで販売されています。日本での日常性のイメージとして例えるなら、スーパーで一年中見かけることのできるニンジンやタマネギ、ジャガイモでしょうか。欧米では、一年を通して普通にスーパーの野菜売り場で手に入る野菜です。
地中海原産のキク科の多年草で、一度植えると7年ほど収穫ができます。1本の株は収穫時期には高さ2メートルほどまでに成長し、品種にもよりますが収穫まで2年もかかり、食材としての適期はわずか3週間。日本でアーティチョークの栽培が一般的ではないのは、栽培条件が合わないため生産効率が悪い上に、需要が低いことが原因でしょう。
アーティチョークの可食部は「ガク」と「アーティチョークハート」と呼ばれる中心部のごくわずかです。
「アーティチョークはどんな味がするのですか?」と質問されたら、私は「百合根とイモとタケノコを足して“4”で割った味(笑)」と答えます。一度食べてみないとこの味を伝えることは難しいので、あえてわかりにくい答え方をしています。実際には、食感はホクホクして、甘みと山菜のような独特な苦みもあり、一度食べたら病みつきになる人も。

フレッシュなアーティチョークの魅力

今では日本最大級のアーティチョーク畑となったタケイファームですが、当初は年間約140種類栽培している野菜の一つでしかありませんでした。販売先のシェフにアーティチョークについて聞いてみると、「フレッシュなアーティチョークがあったら使いたい」とのこと。膨大な畑の使用面積と3週間という短い収穫時期しかありませんが、レストランを通してアーティチョークを普及させてみたいと思ったのが本格的な栽培の始まりでした。

マルシェのアーティチョーク

スペインのマルシェで撮影したアーティチョーク

アーティチョーク畑

タケイファームの日本最大級のアーティチョーク畑

シェフたちにとっては修行で触れた定番の野菜

フランスやイタリアで修業していたシェフは、タマネギを扱うように普通の野菜としてアーティチョークに触れていました。日本では、とれたてのフレッシュなものを入手するのが難しいため、輸入されたものを使うのが定番となっています。しかし、1個あたりの仕入れ価格が600~800円ほどと高価なため、原価計算をするととても高い一皿になってしまいます。オイル漬けにされた瓶詰めなどは手軽に入手できるのですが、「瓶詰めはおいしくない、だったら使わないほうがよい」というのが多くのシェフの意見です。そんなぜいたくな食材アーティチョークですが、最近では日本でも栽培する生産者が出てきて収穫したものを翌日に使うことができるようになりました。海外での修業時代に食べておいしかったので日本でも食べてもらいたいというシェフたちによって、その季節になるとアーティチョークを使った料理が食べられるようになってきています。

レストランのアーティチョーク料理

レストランのアーティチョークを使った一皿

アーティチョークの食べ方

病みつきになるアーティチョークの基本の食べ方は2通りあります。

蒸す・ゆでる

丸ごと20~30分ほど軟らかくなるまでゆでます。蒸しても大丈夫です。そのガクを外して根元部分をマヨネーズなどのソースに付け、歯でしごいて食べます。

下処理をしてから調理

生のアーティチョークのガクをすべて取り除き、ハートと呼ばれる中心部を取り出します。これが調理の下処理となります。ハートは油で揚げたり、パスタやグラタンに入れたり、煮込み料理に使用したりします。とれたてのフレッシュなものは生でサラダとしても食べることができます。

アーティチョークの下処理

下処理したアーティチョーク

サラダにおすすめスピノーゾタイプ

トゲが鋭い「スピノーゾ」という品種があります。こちらはアーティチョークの中でも柔らかく特に生食がおすすめで、タケイファームのアーティチョークの中でもシェフから1番人気となっています。

アーティチョークスピノーゾ

人気の品種「スピノーゾ」

アーティチョークの使い道

アーティチョークは野菜として食べることだけでなく、その他にも利用価値がたくさんあります。

アーティチョーク茶

ヨーロッパではアーティチョークの葉を乾燥させて細かくしたものがハーブティーとして飲まれています。二日酔いを防いだり肝機能を助けたりするとのこと。実際に試しましたが、私は苦手な味でした。
しかし、ベトナムではアーティチョークをお茶として飲む文化があり、こちらでは、葉ではなく、つぼみや茎を粉砕してお茶にしています。このつぼみを粉砕したお茶は甘みがありとてもおいしく飲むことができ、輸入されたものが入手可能です。

アーティチョークの花

野菜として収穫しなかったアーティチョークは花が咲きます。青みがかった紫色の花はとても美しく、観賞用の花としてのニーズがあります。昨年花屋さんでつぼみが販売されていて購入したのですが、1本800円でした。都内では花1本6000円で販売されていたことがあると聞いたことがあります。

アーティチョークの花

美しいアーティチョークの花

アーティチョークのドライフラワー

収穫せずにそのまま放置しておくと立ち枯れたアーティチョークとなり、なんともいえない雰囲気があります。これを花材として使う人も多く、花屋さんが私の畑に買いにきます。また、野菜として収穫したものを陰干ししておけば、そのままドライのアーティチョークとなりインテリアにも使えます。

立ち枯れのアーティチョーク

幻想的なアーティチョークの立ち枯れ

アーティチョークの栽培とアドバイス

アーティチョークの種はオンラインショップで購入できます。まれにホームセンターなどで苗も販売されていますが、種から育てた方が自分の好みの品種を選ぶことができます。

栽培の流れとしては、
種まき:3月上旬~中旬
植え付け:5月中旬
収獲:翌年の5月~6月
株分け:9月

栽培のポイント

成長すると株の大きさは直径2メートルほどになり、一度植えると7年ほど収穫できるので植える場所を誤ると他の野菜の作付けに影響が出ます。タケイファームでは、株間1.5メートル、畝間2メートルの間隔で植えています。

植え付けたアーティチョークの苗

植え付けたアーティチョークの苗

夏になると地上部は枯れるので根元から切り取る必要があります。株元から出た子株を株分けすることも可能です。

基本的に丈夫ですので、植え付け場所さえ間違えなければ栽培は簡単です。順調に育つと、1年目で1株から4~5個、2年目以降は10個ほど収穫が可能です。

収穫する際は茎を15~20センチほど付けて収穫します。つぼみと茎の付け根も可食部ということと、茎をグリップとして握って折ることでつぼみの中にある筋を引き抜けるということが、茎を付けて収穫する理由です。

収獲したアーティチョーク

収穫したアーティチョーク、茎も付ける

まとめ

畑の片隅に1株植えておくだけで、アーティチョークを食べる楽しみができ、その後は花、ドライと目で楽しむことができます。農家の方は販売先を工夫すれば、つぼみ、花、ドライと収穫するタイミングを変えることで売り上げアップにもつながります。欧米では普通に出回っている野菜ですが、日本ではまだまだレアな野菜、アーティチョークをぜひ楽しんでみてください。

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