生産基盤の強化と経営所得安定対策の着実な実施
~コロナ禍でも揺るがない生産基盤・セーフティネットの構築~
まず1つ目に掲げたのは畜産・酪農の生産基盤の強化。資源循環の促進などの酪農家による環境負荷の軽減・家畜排せつ物処理施設の機能の強化を支援する。前年度予算943億円から1131億円に増額した「農山漁村地域整備交付金」の内から捻出する。
畜産経営の規模拡大などの飼料生産の基盤整備などを推進する「草地関連基盤整備」については、前年度予算3264億円から3983億円に増額した。
また、農業の持続性の確保に向けた生産基盤の強化として、水田のフル活用・甘味資源作物生産支援対策・畑作構造転換事業などにも力を入れている。
スマート農業・DX・技術開発の推進、食と農に対する理解の醸成
~コロナと共存する生活・生産様式への転換~
事業化に向けたニーズ調査・専門人材の育成・ 農業者などとのマッチングなどを支援する予算として、前年度には無かった「農業支援サービス事業育成対策」10億円、「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」245億円が新たに要求された。
スタートアップ総合支援事業や、再生可能エネルギーの導入などの推進も新たに追加している。
また、スマホやパソコンで補助金などの申請ができ、 農地の現地情報の統合も可能にする「農林水産省共通申請サービス(eMAFF)」を構築するための予算が、前年度予算7億円から93億円へ増額した。
5兆円目標の実現に向けた農林水産物・食品の輸出力強化と高付加価値化
~コロナを契機とした需要変化への対応と流通の革新~
海外の規制などに対応した産地「グローバル産地」づくりの強化に前年度予算の5倍以上の36億円、輸出向けHACCPに対応した施設の整備にも前年度の5倍以上の79億円とするなど、輸出力強化をはかる。
農業農村整備、農地集積・集約化、担い手確保・経営継承の推進
~コロナを契機とした地方での事業・雇用の創出~
農業の競争力強化や、農村地域が災害や事故などにより致命的な被害を負わない国土を目指して、 農業農村整備事業について前年度予算3264億円から3983億円に増額。地域の特性に応じた農地の大区画化・汎用化などに使われる。
将来にわたって農地利用などを担う経営体を確保するために、交付金などにより担い手育成を支援することや、都道府県ごとの農業経営法人化などに関する経営相談体制を整備するための「経営発展・経営継承の推進」の予算が、前年度から6倍以上の70億円となった。
食の安全と消費者の信頼確保
~家畜伝染病の発生予防対策などの強化と食の安全確保~
「家畜伝染病予防費」は前年度予算86億円から50億円に減額したのに対し、「国内防疫・水際対策」の予算は、25億円から43億円に増額した。
農山漁村の活性化
~コロナを契機とした都市部から地方への移住を促す環境の整備~
農村への関心を高め新たな生活スタイルを求めて都市と農村を人々が行き交う「田園回帰」と農山漁村への定住を促す、情報通信環境や生活インフラの整備が新たに追加された。予算額は農村整備事業に73億円、漁村整備事業に14億円である。
森林資源の適切な管理と林業の成長産業化の実現
~コロナを契機とした山村での事業・雇用と定住環境の創出~
森林整備事業の予算は、1223億円から1492億円に増額。
また、森林・山村の多面的機能の発揮や山村地域の活性化を図るため、「森林・山村多面的機能発揮地域力支援対策」の予算が新たに追加された。
水産資源の適切な管理と水産業の成長産業化の実現
~コロナ禍でも揺るがない生産基盤・セーフティネットの構築~
漁業経営安定対策の着実な実施 ・計画的に資源管理などに取り組む漁業者を対象に、 漁獲変動などに伴う減収を補塡する漁業収入安定対策と、燃油や配合飼料の価格上昇に対するコスト対策などを実施するため、254億円から701億円と増額した。