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野菜セットの作り方実践編 20年のノウハウを公開【ゼロからはじめる独立農家#15】

西田 栄喜

ライター:

連載企画:ゼロからはじめる独立農家

野菜セットの作り方実践編 20年のノウハウを公開【ゼロからはじめる独立農家#15】

よく「野菜は人の足音を聞いて育つ」と言われますが、その野菜を詰め込んだ野菜セットには農家の人柄そのものが出ます。考え方は人それぞれでよく、正解はありませんが、野菜セットを販売してきて20年。私なりに鍛えられました。そんな実践のお裾分けとして、前回の「野菜セット概論」に続き、実際に野菜セットを作る際のポイントをお伝えします。少しでも参考になればと思います。

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前回お届けした「概論」はこちら
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野菜セットの組み方

野菜セットの実践編として、何より我が菜園生活 風来(ふうらい)のセット内容を見ていただくのが一番いいでしょう。大枠で季節ごとに書いていきます。内容は一番スタンダードな3000円セット(税抜き、送料別)です。「段」についての説明は、のちほど。

夏

下段 キュウリ ナス 白ナス ズッキーニ or ミニカボチャ ピーマン
中段 トマト ミニトマト オクラ インゲン
上段 枝豆 モロヘイヤ 空心菜 青紫蘇

秋

下段 サツマイモ キュウリ(ハウス栽培) ナス 白ナス ピーマン レタス
中段 ミニトマト(ハウス栽培) オクラ 枝豆
上段 水菜 小松菜 リーフレタス 長ネギ

冬

下段 白菜 キャベツ サツマイモ 大根 カブ ニンジン サトイモ
中段 ブロッコリー セロリ インゲン(ハウス栽培)
上段 春菊(ハウス栽培) 水菜(ハウス栽培) 小松菜(ハウス栽培) 長ネギ 

春

下段 ネギ 大根 イタリアカブ 春キャベツ 
中段 ニンニクの芽 スナップエンドウ 絹さや ブロッコリー アスパラガス
上段 菜の花 タアサイ 高菜 ビーツの葉

畑と野菜セット

野菜セットと筆者と

基本の内容はこのような感じになります。以前はイタリア野菜、エスニック野菜など変わり野菜も育てていたのですが、当たり前のものが喜ばれると分かり、スタンダード野菜に落ち着きました。これに3500円セットの時のプラス分、また予備としてタマネギ、ジャガイモ、ゴーヤ、紫キャベツ、イチジク、スティックセニョール、芽キャベツなども育てています。 

下段、中段、上段と書いたのは私の場合、このように野菜セットの箱を3層に分けて考えているからです。重量のある野菜は一番下に、葉野菜など軽いものは上に。野菜の数が揃わない時は下段は下段で代わるもの、上段は上段でと、先に書いた予備野菜の中で考えると簡単に組み換えることができます。

栽培技術より揃える技術

多品目の野菜を育てること自体大変ですが、野菜セット中心で販売していく場合、どの季節もコンスタントに野菜が収穫できるようにすることが大切になってきます。私なりのコツを季節ごとに書くと……

夏

夏場は野菜が豊富な時期です。ただ葉野菜に関しては難しい季節。実野菜だけだと量が少なく感じるので、風来では葉野菜も必ず入れるようにしています。夏場に重宝する葉野菜はモロヘイヤと空心菜。またツルムラサキも暑さに強いので育てています。

秋

秋は葉野菜が増える季節。風来ではひと畝(幅1.5×奥行き20メートル)単位で大根やカブを1週間ずらして3回に分け、大根は3粒、カブは5粒ぐらいずつ種をまいています。カブの葉は葉野菜としてもおいしいので、間引き菜は小松菜代わりに使えます。白菜やキャベツも苗づくりの際、1週間単位でずらし、4回に分けて定植しています。最近は10月も暑くなってブロッコリーの花が咲くこともありますので、その時は主芽を早めに収穫して脇芽を活用できるよう、脇芽が多くできる品種を選んでいます。

冬

冬は野菜が少ないと思われがちですが、根菜、冬キャベツ、白菜など意外と多くの野菜が収穫できます。ただ寒風で傷みやすいものもあります。セロリや春菊は不織布をかけて対策します。
ハウスの中では、回転率を高めるために常時水菜などの苗も育てておき、収穫と同時に定植するようにしています。サトイモは収穫しておくと保存中に寒さでダメになったりネズミに食べられたりするので、真冬にはこちらも不織布をかけてそのまま畑に置いておきます。生きたままの方が寒さに強く、この方法で随分長く使えるようになりました。ちなみにサトイモの収穫では、初めのうちは株ごと掘らず大きめの小芋だけを収穫するようにしています。こうすると株が生きたままなので小さめの小芋も成長してくれます。

里芋

里芋は株ごと掘らず、まわりの小芋から収穫

春

3月中頃から4月終わりまでが野菜が薄い時期で一番苦労します。温暖化の影響か、春先はトウが立つ(花茎が伸びて硬くなり、食用に適する時期を過ぎること)のが早くなってきました。
この3月中頃から4月終わりまでを乗り切るために、トウが立ちづらい高菜やビーツの葉、また貯蔵性の高いイタリアカブ(硬くてゆでるとジャガイモのようになります)などを活用しています。この時期は一年で一番畑仕事が忙しい時期ですので、野菜セットを休止してしまうのもありです。風来でも休止していたこともありました。最初はお客様が離れてしまうのではないかと思っていたのですが、この期間に市販の野菜を食べることによって、農家直送野菜のおいしさを再認識してもらえる機会となり、販売再開と同時にそのまま継続してくれる人がほとんどでした。

ただ、このようなことをしても計算通りいかないのが自然。冬場の根菜や白菜、キャベツ、ブロッコリーなどは畑に置いておき収穫のタイミングをコントロールすることができますが、実野菜は成長途中を収穫するものなのでこちらのコントロールが利かず、多くとれすぎることがあります。たとえばキュウリ、ナス、トマト、ミニトマト、ピーマン、ズッキーニなどなど。多くとれすぎた時は自然食品店、また直売所にも出していますが、キュウリやナスは塩漬けにしておき、時間ができてからかす漬けなどにしています。

野菜のロスを減らすことは収入アップに直結します。野菜セットで出せるのが一番ですが、余った時の用途、売り先などリスク分散を先に考えておくと安心です。

直送ならでは、でリピーター獲得

野菜セットの考え方は農家それぞれ。野菜セットの内容を公表しない人もいれば、多くの品目を書いて、まずは買ってもらうという考え方の人もいます。

風来ではリピートしてもらうことに重きを置いています。1回か2回食べた人が定期便のユーザーになってくれるととてもうれしく思います。
風来の定期便の場合、一番多いのは隔週利用。最近は近場に住んでいて、風来まで取りにきてくれる人を増やすようにしています。顔の見える関係だと互いに親近感が出て、長く関係を続けられます。お店に取りにくる人は週に一度から10日に一度というパターンが多くなっています。

季節によって野菜セットを出せる量に限りはありますが、風来では月150セットから180セットを目指していて、そのうち定期便が6割を理想としています。数が読めると安心して栽培することができますし、宣伝活動をその都度しなくてすむのは精神的にも助かります。風来では定期便でなくてもリピートしてくれている人が多く、1日の発送のうち定期便を入れると8割が2度目以上の人となっています。

風来では野菜セットの内容をホームページで書く時は実際よりも品目を少なく書いています。届いた野菜セットが思っていたより多く入っていると喜びが増え、リピート率が高くなるからです。買うまでにハードルが高くても一度買ってもらった人に満足してもらうことが大切だと考えています。

野菜セットとミント

野菜セットに畑MAP、野菜紹介、ミントを入れて雰囲気ごとお届け

さらに、野菜セットと一緒に畑マップや手描きの野菜紹介のイラストを毎回入れています。またある時はミントなどハーブを野菜を入れた袋の外に入れています。IT環境が整備され、動画など映像はどんどんクリアになっていますが今のところネットで香りは伝えることができません。畑直送だからこそのサプライズです。

セットだからこそ、野菜単品の販売ではできないことを表現できます。畑の雰囲気ごとお届けすることを心掛けています。

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