少量多品目農家は軽トラではなく“軽バン”を買え!

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少量多品目農家は軽トラではなく“軽バン”を買え!

連載企画:営業しない農家の売上アップ術

少量多品目農家は軽トラではなく“軽バン”を買え!
最終更新日:2020年11月24日

農業を始めて一度の営業もせずに、現在は栽培した野菜の95%をレストランへ直接販売しているタケイファーム代表、武井敏信(たけい・としのぶ)です。このシリーズでは売り上げを伸ばすためのちょっとした工夫をお伝えします。

農業をはじめる際に買う車といえば軽トラックを思い浮かべる人も多いのでは。しかし、安直に買ってはいけません。少量多品目で農業をやるなら、私は断然軽バンをおすすめします。今回は、タケイファームがずっと軽バンを使い続けるわけとその効果などを解説していきます。

軽トラと軽バンの違い

軽トラは2人乗りで荷台に屋根がなく、ホイールベース(前輪の中心から後輪の中心までの長さ)が短い。
軽バンは4人乗りで荷室に屋根があり、ホイールベースが長い。
これが大きな違いです。共に各メーカーから販売されていて2WDと4WDの設定があります。
ホイールベースが短い軽トラは、街なかの舗装された道路だけではなく、田畑や悪路を走ることを想定しているため、小回りがきくことを重要視した作りです。一方ホイールベースが長い軽バンは、街なかで配送などに使われることが多いため直進安定性を重要視した作りになっています。

タケイファームが軽バンを使うわけ

私は農業を始めた時から軽バンに乗っています。今まで3台の軽バンに乗ってきました。
軽トラのような悪路の走行や小回りは苦手ですが、それ以上にメリットがたくさんあるからです。

エブリイ1台目の軽バン

1台目のエブリイ 5速マニュアルの4WD車

スクラム2台目の軽バン2

2台目のスクラム ATの4WD車

ハイゼット3代目の軽バン

3台目のハイゼット ATの2WD車。就農時から現在に至るまで、収入と車のクラスがレベルアップしているのがわかる

野菜の品質維持

シェフに「武井さんの野菜は鮮度が良く、武井さんの野菜だとすぐわかる」と言われます。
私は収穫時、野菜の鮮度を維持するために軽バンのエアコンを付けっぱなしにして荷室の温度が上がらないようにしています。これは軽バンだからこそできることで、軽トラでは無理です。どんなに高品質な野菜を栽培しても、夏場の暑い時期にトラックの荷台に野菜を積んでしまってはすぐに品質が低下してしまいます。
これによって燃費は1リットルあたり6.7キロと決して良くありませんが(カタログ上の燃費消費率JC08モード<国土交通省審査値>は17.8キロ)、ガソリン代は育てた野菜の品質を維持するために必要な経費として割り切っています。

悪天候の日でも荷物が運べる

基本的に私は雨の日に収穫はしませんが、収穫中や収穫後、雨に降られることがあります。軽バンは荷室のため雨が降っても野菜がぬれることはありません。直売所などへ配達する農家にとってもこれは最大のメリットです。

人が4人乗れる

農作業時はリアシートを倒してフルフラットにしていますが、シートを起こせば4人の乗車が可能となります。私の畑には、見学者や取材などで人がやってきますので、4人乗りという定員はとても助かっています。まだ小さなお子さんが2人いる4人家族であれば、通常の足としても使うことができるのではないでしょうか。

防犯対策

毎日使う収穫ハサミや収穫カゴ、コンテナなどは積みっぱなしで大丈夫。そして、移動中にどこかに立ち寄りたい場合も荷室の中に置いておけば防犯対策にもなります。

ハイゼットの荷室2

収穫するための道具は載せたまま

軽トラの方が良い場合

例えば少ない品目を大量に市場へ出荷しているのなら断然軽トラです。4WDであれば、畑の中にも入って行けますし、左右と後ろの3方向から積み下ろしができます。
少量多品目栽培の私の場合は、先ほど紹介したメリットの方が大きいので軽トラの選択肢はありませんでした。

軽バンの選び方

私は就農する前、自動車の販売をしていました。ここでは、その経験から話を進めていきます。

新車か中古車か

結論から言うと予算次第です。軽自動車は新車も中古車も値段は高めです。これには理由があります。

・税金、保険、高速料金など維持費が安い。
・最近は安全装備も充実し室内も広くなっている。
・需要が多く人気がある。

それでは予算によってどのようなタイプが購入できるのか。車種やグレード、年式、走行距離、装備、色によっても金額は変わりますが、だいたいの目安と思ってください。
私が先日購入したダイハツのハイゼットカーゴで比較してみます。

・予算50万円の場合:10年前の車両で走行距離は8~10万キロ。
・予算80万円の場合:5年前の車両で走行距離は4~5万キロ。
・予算120万円の場合:本年度登録の新古車。走行距離は数キロ。
・予算140万円の場合:新車

まず最初に予算50万円で探し始めましたが、どの車も年式が古く、走行距離も多かったので、予算を80万円にあげました。こうなると、新車も選択肢に入り、ディーラーに足を運んだところ、新古車がお買い得という結論に達し、新古車を買うことにしました。

価格、年式、走行距離、どこに重点をおくかで価格は変わります。
中古車や新古車を選択する場合、自動車販売店に希望の条件を伝え、「出たら連絡ください」とお願いしておくこともできます。
私が営業マンに伝えた条件は、「新古車で装備が充実したグレードのビジネスパック、色は何色でもかまわない」ということ。あまり細かく指定するとなかなか見つからなくなります。

軽バンのカタログ

軽バンのカタログ

4WDは必須か?

無いよりはあった方が良いと思います。ただし、軽トラのように悪路の走行というよりは、雨でぬかるんでいる道を走る程度と考えておいた方が良いです。過去に乗っていた軽バンの4WDで、ぬかるんだ畑にはまって脱出できなくなり畑にJAFを呼んだことがあります。

脱出できない軽バンの4WD

脱出できなくなった軽バンの4WD車

気になる燃費ですが、2WDよりも4WDの方が悪くなりますが、軽バンの4WDの多くはパートタイムですので普段は2輪走行していればそれほど悪化はしません。スイッチを押すだけで2WDと4WDの切り替えができますのでとても楽です。
4WDを選択した場合、新車で約14万円、中古車では10万円ほど高くなります。軽バンの中古車で4WDの台数は少ないので、見つかるまでにある程度の時間を覚悟していた方がよいと思います。

軽バンと軽ワゴン

軽自動車のワンボックスには、軽バンと軽ワゴンがあります。
軽バンは商用車で荷物を載せるのを目的としていますのでナンバーは4ナンバー。
軽ワゴンは乗用車で人を乗せるのを目的としていますのでナンバーは5ナンバーとなります。
形も似ているので、外見上で判断する場合は4ナンバーか5ナンバーかを見るのが簡単です。
自動車税にも違いがあり、軽バンは5000円、一方軽ワゴンは10800円と倍以上です。初年度登録から13年を超えると自動車税は高くなり、軽バンは6000円、軽ワゴンは12900円となります。
新車登録後の車検は、軽バンは2年目、軽ワゴンは3年目、その後は共に2年ごと。
軽自動車は定員が4名と決まっていますので、軽バンも軽ワゴンも同じです。

軽ワゴンも軽バンと同じようにシートを倒して荷物スペースを確保することができます。メーカーによってシートアレンジの違いもありますが、人を乗せる目的のため、リアシートは座り心地を重視していて厚みがあります。そのため、フルフラットにした時、シートの厚みによって若干の高低差が出ます。

自分の農業に合った車選びを!

農業=軽トラというイメージが強いですが、今は農業のやり方や販売先の選択肢も増え、軽トラがベストとは言えなくなってきています。車選びも自分の農業の方向性をしっかり考えて、自分の農業のスタイルに合う車を選んでみてはいかがでしょうか。

おまけの虎の巻

私が乗っている「ダイハツ ハイゼットカーゴ」のケースで説明します。軽バンでも上級グレードになると電動格納式ミラーが標準装備されたり、リアシートが軽ワゴンのように乗り心地を重視されたりと豪華になっています。電動格納式ミラーを優先して選んでしまうと、私の候補の中ではシートを倒した時に軽ワゴンと同じように高低差が出て完全なフルフラットとならないタイプしかありませんでした。メーカーもその希望に応えるため、ビジネスパックというレスオプション(標準装備を削減するサービス)があります。前席は快適装備のまま、後席を荷室として使う便利さを高めるパックです。後席のシートがフルフラットになるシートに変更され、金額も28600円安くなっています。他のメーカーでもこのような仕様車は設定されていますので、車を選ぶとき、グレードと仕様についても注意してみてください。

※ 情報は2020年10月1日時点のものです。

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