こんにちは。直売所大好きライターの少年Bです。
先日、我が家に大量のジャガイモが届きました。
北海道旅行に行った際、道の駅や直売所で珍しいジャガイモを見かけ、ついついテンションが上がって買い込んでしまったのです。旅先の魔力っておそろしいですよね。
そうなんです。「ジャガイモ」と一口に言っても、実はいろんな品種があります。「男爵(だんしゃく)」と「メークイン」の違いは有名な気がしますが、それ以外にも多彩な品種があるんですよ。
品種ごとに色や味、特性はさまざま。せっかく関東ではなかなか見かけない、変わったジャガイモを手に入れたので、いろいろな調理法で最もおいしいジャガイモを決めてみようじゃありませんか。
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今回集まったジャガイモは以下の通り。
それでは1品ずつ紹介をしていきましょう。
男爵
ご存じ、最も一般的な品種です。2017年の作付け面積は1万2695ヘクタール(農林水産省調べ)と、すべてのジャガイモ品種のなかでナンバーワン。日本にやってきたのはなんと明治41年! 西暦だと1908年。100年以上もジャガイモの代名詞であり続ける、すごい品種です。
ジャガイモらしい味わいと、じゃがバター、フライドポテト、ポテトサラダと幅広い調理法に適応する汎用性の高さが魅力です。ただし、煮崩れしやすく長時間の煮込み料理には向きません。
今回はこの「男爵」を基準にしてレビューをしてみようと思います。
きたかむい
「イエローシャーク」と「とうや」を交配して生まれた品種。2007年に北海道の優良品種として認定されました。
北海道では順調に作付け面積を広げている期待のジャガイモですが、残念なことにわたしの住む関東ではあまり見かけたことがありません。
切ってみると、ほかの品種に比べて果肉がひときわ白く、透き通るような色をしています。直売所のおばちゃんによると「加熱後に芯が残りにくいのが特徴」とのことです。
北海道期待のニューカマー、はたしてお味はどうなのでしょうか。
とうや
北海道生まれの品種。主産地として期待される道南地方の「洞爺(とうや)湖」にちなんで命名されたそう。「黄爵(こうしゃく)」の名前で売られていることもあるそうです。
一般的には大きめのジャガイモとのことですが、わたしが購入したものは小ぶりなサイズ。
切ってみると、切断面は真っ黄色。なるほど、黄爵と呼ばれる理由もわかる気がします。「きたかむい」の親ですが、色はまったく似ていませんね。
濃い黄色の見た目はいかにもおいしそうです。北海道の品種ですが、関西や九州で人気が高まっているそう。大阪出身のわたしの味覚に合うのでしょうか。
はるか
楕円(だえん)形の大きなジャガイモです。芽の周辺がほんのりピンクになっているので、ほかの品種と混ざってしまってもはっきりわかりますね。
こちらも「きたかむい」同様、2007年に北海道の優良品種として認定された期待の品種。新ジャガと熟成後では違った味わいを見せるという二面性があるそうですが、今回は取れたての新ジャガです。
切断面はこちらも「男爵」と同じような白黄色。
煮崩れしづらいほか、サラダやコロッケにも使えるというオールラウンダー。偉大な先輩・男爵を超えることができるのでしょうか。
シェリー
フランス生まれのジャガイモです。赤褐色の細長い見た目は、まるでサツマイモのよう。こんなジャガイモは初めて見ました!
切断面は黄色く、切るとますますサツマイモのような見た目に……!
その来歴や見た目からはまったく味が想像できない「シェリー」。はたして、どんな味わいなんでしょうか。
ノーザンルビー
こちらもシェリーに似たサツマイモのような見た目のジャガイモ。しかし、その特徴は切った後の見た目にあります。
なんと、鮮やかなルビー色! 「名は体を表す」とはよく言ったものです。
果肉が赤い理由はアントシアニン。既存のジャガイモのイメージを覆し、市場の活性化と新規需要の開拓を狙うため、国の機関である農研機構の“カラフルポテト”開発計画のひとつとして生み出されました。
「色素に浸して作ったの?」なんて想像してしまう見た目ですが、昔からアントシアニン色素を含む赤紫肉のジャガイモを親に、品種改良を続けた結果、ムラのないきれいな赤色の「ノーザンルビー」が誕生したそうです。
シャドークイーン
最後は、さらにすごい色のジャガイモの登場です。
皮も果肉も濃い紫色の「シャドークイーン」。
こちらもカラフルポテト開発計画の一環として国によって作られた品種です。ビジュアルもさることながら、はたしてそのお味はいったいどんなものなのでしょうか……?
じゃがバター7種を食べ比べ!
品種の紹介が終わったところで、さっそくこの7つのジャガイモを食べ比べてみましょう。
今回はじゃがバター(蒸し)、フライドポテト(揚げ)、ポテトサラダ(ゆで)と3種の調理法で比較してみます。
ジャガイモをラップに包み、約5分レンジでチン……。あとはバターを落とせばじゃがバターの完成です!
それでは、順番にひとつずつ味わってみましょう。
男爵
こちらはオーソドックスなじゃがバター。いやいや、間違いなくおいしいですよね。
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おいしさ ★★★☆☆
ジャガイモらしさ ★★★★★
きたかむい
ほくほく感が強めで、お酒と一緒に食べるのもよさそう。口のなかでほんのりと甘さが広がっていくような味わいです。
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おいしさ ★★★★☆
お酒が進みそう度 ★★★★★
とうや
とにかく甘みが強く、ねっとりとしたなめらかな食感です。
バターの濃さに負けず、どしっと受け止めて、相乗効果を発揮しています。これはおいしい!!
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おいしさ ★★★★★
バターとの相性 ★★★★★
はるか
硬くてしっかりした食感は、ジャガイモではない別のものを食べているかのよう。不思議な感覚です。
味はあっさりしていて、後味にほんのり甘さがきます。
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おいしさ ★★☆☆☆
ジャガイモらしくなさ ★★★★★
シェリー
しっとりなめらかな食感で、しっかり甘いです。「とうや」と似た感じの味わいですが、とうやよりも甘さの距離が近い気がします。もう一味加えてスイートポテトにしてみてもいいかもしれません。
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おいしさ ★★★★☆
甘さ ★★★★★
ノーザンルビー
なめらかな食感にほのかな甘み。食感以外は「はるか」に似た味で、あっさりとしていてあまり特徴は感じないのですが、とにかく見た目のインパクトがすごいです。
「見た目も味のうち」と言いますが、正直じゃがバターとしては違和感が強すぎて、自分はいったい何を食べているのだろう?という感覚に陥りました。
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おいしさ ★★☆☆☆
強烈な違和感 ★★★★★
シャドークイーン
こちらもなめらかな食感で、味は見た目によらず、意外とあっさりしています。
しかし、こちらも見た目でまったく食欲をそそられません。濃紫色のジャガイモにかぶりついているという状況に脳が混乱し、味どころではないというのが正直なところです。目をつぶって食べないと、まったく味がわかりませんでした。
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おいしさ ★☆☆☆☆
強烈すぎる違和感 ★★★★★
フライドポテトではどうか?
続いてはフライドポテトで試してみましょう。
実は、揚げる前に、すでに見た目に違いがありました。今回は衣を薄くつけるタイプのフライドポテトにしたのですが、「きたかむい」は切り口から出る水分が多く、フライドポテトというよりもまるで天ぷらのようになっています。ちゃんと揚がってくれるのでしょうか……。
また、きたかむいほどではありませんが、「シェリー」や「ノーザンルビー」もやや水分が多く、衣はしっとり湿っていました。
水分量の違いで味にどんな差が出るのでしょうか? それでは食べてみましょう!
男爵
ほくほくして、オーソドックスなフライドポテトです。ああこれだという実家のような安心感があります。
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おいしさ ★★★☆☆
ジャガイモらしさ ★★★★★
きたかむい
衣がねばついていたせいか、くっついてかき揚げのようになっています。ほくほくではなく、もちっとした食感。
味はとてもあっさり。向こうで芋が手を振っているような味です。これはこれでうまい!
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おいしさ ★★★☆☆
もちっと度 ★★★★★
とうや
サクッとした食感で甘みも強く、とてもおいしいです。スナック感覚というか、止まらなくなる味!
じゃがバターでもそうでしたが、「とうや」のポテンシャル半端ないですね……!
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おいしさ ★★★★★
止まらなくなる度 ★★★★★
はるか
独特のしゃきしゃき食感でおもしろいです。じゃがバターではその「ジャガイモらしくなさ」がマイナスの方に出ましたが、フライドポテトになるとおいしいですね!
味はあっさりですがほんのり甘く、気付いたら手が伸びている系。フライドポテトに向いている品種と言えましょう。
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おいしさ ★★★★☆
ジャガイモらしくなさ ★★★★★
シェリー
なめらかで、ねっとりした食感のフライドポテトになりました。食感で好みは分かれるかもしれませんが、甘みも強くておいしいです。
写真ではわかりづらいのですが、よく見ると両端がほんのり赤いのもおしゃれポイントです。
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おいしさ ★★★★☆
おしゃれ度 ★★★★★
ノーザンルビー
じゃがバターの時とは打って変わって、鮮やかなルビー色で目を引きます。細切りにすることで見た目の芋感が薄れたのがよかったのでしょうか。
味はまさにジャガイモという感じで特筆すべき点はないのですが、「シェリー」以上にねっとりしていて、かむとねちゃっとします。この食感で好き嫌いが分かれそうです。
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おいしさ ★★☆☆☆
見た目の鮮やかさ ★★★★★
シャドークイーン
紫サツマイモで多少見慣れているせいか、「鮮やかできれい」と感じます。芋のかたちじゃなくなるだけで、こんなに食欲が変わるというのは新鮮な驚きでした。
ややねっとり系の食感ですが、「ノーザンルビー」や「シェリー」よりはほくほく寄り。シェリーと「男爵」の中間のような感じです。あっさりしていて、甘みはそれほど感じません。「見た目はちょっとこわいけど、話すと普通の人」といった感じの印象です。
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おいしさ ★★★☆☆
見た目の鮮やかさ ★★★★★
最後はポテサラ!
最後はポテトサラダを作りました。ジャガイモの風味を味わうために、ほかの具材はタマネギとニンジンのみのシンプルなポテサラを目指しました。
ポテサラにする前の、マッシュポテトのほうが色の差がわかりやすいかもしれません。
カラフルポテト2種のインパクトはもちろんですが、「シェリー」は外側の褐色部分が影響したのか、褐色のマッシュポテトになりました。
見た目にもかなり差のあるポテサラ、そのお味はどうなのでしょうか。
男爵
食べ慣れた家庭の味。ほくほくした芋とニンジン、タマネギとの食感が合わさっていておいしいです。
ポテトサラダといえばコレ、という感じですね。基準のため、星は3個にしてありますが、個人的には「男爵」のポテサラが特に好みです。本当は星5個を付けたいくらいおいしいんですよ……!
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おいしさ ★★★☆☆
実家の安心感 ★★★★★
きたかむい
食感はなめらかで、すっと消えるような口どけです。味のほうも「男爵」よりもクリーミーな味わい。これはうまいです。
「きたかむい」、さすが北海道が次世代のスターとして推すだけのことはあります。ほかの料理でも高レベルのおいしさですが、個人的にはポテサラが最も気に入りました。
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おいしさ ★★★★★
クリーミーさ ★★★★★
とうや
ここまで断トツのおいしさを誇る「とうや」。ポテサラでも期待をしていたのですが……。
いや、決してまずくはないんです。ただ、これという特徴がない。そもそも基準の「男爵」が十分すぎるほどうまいので、星の数を下げざるを得ないのですよね。これはほかの食べ方にしたほうがいいと思います。
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おいしさ ★★☆☆☆
悪くはないんだけどね度 ★★★★★
はるか
あっさりとしたなめらかな食感の「はるか」にはマヨネーズがよく合います。家庭のポテトサラダというより、ちょっといいスーパーで買う総菜のようなイメージです。
「男爵」と比べると味はおとなしめなので、食感の好みによって順位は変わりそうですが、それでも十分においしいジャガイモだと思います。
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おいしさ ★★★☆☆
ちょっとした高級感 ★★★★★
シェリー
ややねっとりとしているのですが、芋の粒が主張してきます。水分が一気に奪われる感じがします。全体的に甘さが強くて、あまりサラダ感がありません。というか、こんなに喉が乾くポテサラは初めて!
シェリーはとても甘みの強い品種なので、ほかの野菜と一緒じゃないほうがいいのかもしれません。向き不向きがはっきりしているとも言えそうです。
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おいしさ ★☆☆☆☆
ちょっと合わない度 ★★★★★
ノーザンルビー
特に彩りが美しいポテサラに仕上がりました。味の主張はそこまで強くないのですが、男爵よりはやや酸味が強調される感じがします。と言うとマイナスっぽく聞こえてしまうのですが、さっぱり食べられておいしいです。
美しい赤色をさらに生かすために、めんたいマヨを使ってみてもいいかもしれません。
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おいしさ ★★★★☆
さっぱり感 ★★★★★
シャドークイーン
サツマイモ?と思うようなしっとり感があります。ゆでたことによって甘みが増し、彩りもきれいでおいしいです。あまり潰しすぎず、粗めにして芋のかたちを残しておいたほうがよさそうです。
個人的には「きたかむい」と並んで最も好きなポテサラでした。カラフルポテトはやはり、加工調理に向きますね。コロッケなんかも試してみたいです。
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おいしさ ★★★★★
しっとり感 ★★★★★
まとめ
と、いうわけで7種類のジャガイモを3通りの調理法で食べてみました。個人的にはじゃがバターとフライドポテトで圧倒的なうまさを誇った「とうや」が好みでした。
しかし、どの料理でも安定しておいしい「きたかむい」や、見た目の美しさが特徴的な「ノーザンルビー」や「シャドークイーン」。そしてスイーツのような甘さを持つ「シェリー」に、しゃきっとした独特の食感を持つ「はるか」……。
どれも違った個性のあるジャガイモです。食べ比べてみて、初めてそのおいしさがわかったような気がしました。
また、コロッケや肉じゃがなど、今回試さなかった調理法でさらに輝くジャガイモもあるかもしれません。みなさんもぜひいろんなジャガイモを試してみてくださいね!
わたしも、もう少しいろいろ試してみようと思います。なぜならば、つい調子に乗って買いすぎてしまったので……。