花もつぼみも葉も食べられるナスタチウム 目にもおいしいエディブルフラワーを楽しむ

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花もつぼみも葉も食べられるナスタチウム 目にもおいしいエディブルフラワーを楽しむ

武井 敏信

ライター:

連載企画:育てるならレア野菜

花もつぼみも葉も食べられるナスタチウム 目にもおいしいエディブルフラワーを楽しむ
最終更新日:2020年12月18日

黄色、オレンジ、赤など、きれいな花をつけるナスタチウム。ホームセンターでも気軽に苗が入手できガーデニングでも人気がありますが、実は観賞用だけでなく、レストランではエディブルフラワーとして活躍しています。今回は、目で楽しむだけでなく、野菜としても楽しめるナスタチウムの魅力に迫ります。

西洋野菜をはじめ珍しい野菜を年間約140種類、20年間で350種類以上栽培し、それらを直接レストランへ販売しているタケイファーム代表、武井敏信(たけい・としのぶ)が、レア野菜の魅力や育て方のコツを余すところなく紹介します。

ナスタチウムとは?

ナスタチウムは、黄色い花が黄金色で、葉の形がハスに似ていることから金蓮花(きんれんか)と呼ばれています。ホームセンターでは、ナスタチウムまたは金蓮花として販売されています。ペルーやコロンビアが原産の一年草で、意外にも日本での歴史は古く、江戸時代後半にはすでに輸入されていました。
品種も多く、黄色、オレンジ、赤などの花の色や、葉の特徴によっても選ぶことができます。私は主に葉を出荷していますので、葉を重視した品種を栽培しています。葉は、一般的なグリーンタイプ、ナスタチウムブラックという品種の濃い色のタイプ、斑(ふ)入りのタイプ。最近では、珍しい斑入りを主に栽培しています。斑入りは珍しいだけでなく、特に爽やかな辛みが感じられ、人気となっています。

ナスタチウムグリーン

ナスタチウムグリーン

ナスタチウムブラック

ナスタチウムブラック

ナスタチウム斑入り

ナスタチウム斑入りタイプ

私がナスタチウムを知ったのは、とあるレストランで食事をした時。葉が飾りとして使われていました。その丸い葉は見た目にも可愛らしく、食べてみたらピリッとした辛みがあり、メイン料理に負けない存在感がありました。

ナスタチウムの食べ方

ナスタチウムは、花、つぼみ、葉、どれもがピリッとした辛みを持っています。身近な味のイメージですと、カイワレ大根をもう少し強くしたような感じで、この独特の辛みがアクセントになり、サラダや肉、魚の付け合わせにも相性が抜群です。

レストランでは、さまざまな料理にナスタチウムが使われています。それだけ、シェフのニーズがあるのです。

ナスタチウム料理

さまざまな料理に使われているナスタチウム

レストランではナスタチウムオイルとして利用する場合もあります。
ナスタチウム適量と生搾り(太白とも呼ばれます)のゴマ油適量をミキサーにかけ、そのまま厚手のキッチンペーパーで一滴一滴落ちるようにじっくりとこします。生搾りのゴマ油を使う理由は、無味無臭で透明な点。オリーブオイルは香りが強く、ナスタチウムの香りを消してしまうため使いません。生搾りのゴマ油がない場合は、サラダオイルでも代用できます。できあがったナスタチウムオイルは、ドレッシングやソースとして使用します。

レストランが料理の飾りで使う葉のサイズは小さめ。大きな葉の場合は、中心部からセルクルという円形の型で抜き、残った周りの葉をミキサーにかけます。無駄がありません。生産者サイドからですと、小さめのサイズを集めるのは大変なので、このような使い方をしてくれるとありがたいですね。

コンパニオンプランツとして活躍

ナスタチウムはコンパニオンプランツとしても優秀で、アブラムシが嫌うといわれていますので、アブラナ科の野菜の近くに植えるのもおすすめです。鉢植えで栽培する場合は移動させることができますので、ぜひ試してみてください。
また、横に広がって成長するため、グランドカバーとしても活用できます。作物の周りに植えることによって根元を覆ってくれますので、高温になるのを防ぐ効果もあります。

ナスタチウムの育て方

種、または苗から育てます。いずれもホームセンターやオンラインショップで購入できます。

栽培の流れ

種まき
3月下旬から5月上旬。種まき培土を使い、9センチポットにまいて本葉2~3枚まで育てます。発芽温度は15~20℃です。

植え付け
4月下旬から6月上旬。株間30センチ。日当たりが良く水はけの良い場所に植え付けます。
夏は花が休むので、早春にまいて早く咲かせます。

収穫
葉、つぼみ、花、わき芽を食べることができますので、必要な時に随時収穫します。

栽培するときには日当たりに注意

ナスタチウムの生育温度は15~25℃です。日当たりの良い場所を好みますが、夏の高温と冬の寒さには弱いのが特徴。
私は露地で栽培していますので、夏には地上部が枯れてしまいます。しかし、根が生きていれば秋になると復活し霜が降りるまで収穫が可能です。

夏の暑さで枯れたナスタチウム

真夏の暑さで枯れてしまったナスタチウム

復活したナスタチウム

一度は枯れ、秋に復活したナスタチウム

過去に、夏の暑さ対策として半日陰で栽培し遮光ネットを張ってみました。枯れるところまではいきませんでしたが、とても出荷できるレベルではなく、逆に日陰のため、寒くなると真っ先に霜が降り収穫できる期間が短くなってしまいました。現在では、夏の衰えを想定し、冬に入っても長く収穫できるように日当たりの良い場所で栽培しています。

ベランダでも栽培可能

ナスタチウムはガーデニングで人気があるくらいですから、プランターや鉢植えでの栽培は問題ありません。手軽に移動ができる分、畑での栽培よりも簡単かもしれません。先ほども説明した通り、ナスタチウムは日当たりの良い場所を好む一方、夏の暑さや冬の寒さが苦手。真夏は、直射日光の当たらない半日陰に移動させ、冬は室内に取り込んで防寒対策をします。

ナスタチウムの花を販売しない理由

タケイファームで販売しているのは、つぼみと葉、わき芽です。花は販売していません。花が咲いた状態でレストランに送ると後は枯れていくだけですので日持ちがしません。それとナスタチウムの花は他のエディブルフラワーに比べて大きめですので、シェフによって、飾りとしてのサイズが大きすぎるという人もいます。そのため、レストランに届いてから日持ちがするように、花の代わりにつぼみや穂先を販売しています。

ナスタチウムの蕾

ナスタチウムのつぼみ

ナスタチウム穂先

ナスタチウムの穂先

まとめ

現在、エディブルフラワーはレストランでも人気がありますが、収穫や出荷の際に細心の注意を払う必要があります。その点、ナスタチウムは、葉やつぼみが商品となり、それほど神経質にならなくても出荷できます。ピリッとした辛みがアクセントにもなり、シェフからも大人気。栽培はそれほど難しくはありません。ガーデニングだけではもったいない。食卓で楽しんで、販売もしてみませんか!

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