プチヴェールとは?
日本で開発された世界初の非結球芽キャベツ
プチヴェールは、ケールと芽キャベツをかけあわせたアブラナ科の野菜でキャベツの仲間です。1990年に静岡県の株式会社増田採種場が開発しました。国内の種苗メーカーで取り扱っているのは増田採種場だけで、販売されているのは苗のみ、種の販売はされていません。当然のことながら、私も苗を入手して毎年栽培しています。どうしても種から栽培してみたいという人は、海外の種苗メーカーが「ブリュッセルスプラウト PETIT POSY MIXED」という名前で類似の野菜の種子を販売していますので、購入してみてください。過去に種から栽培したことがあるのですが、現在は苗のクオリティーが高いので苗を購入しています。

最もポピュラーなタイプのプチヴェール
プチヴェールを栽培したきっかけ
そもそも、私がプチヴェールを栽培したきっかけは、2013年に西洋野菜の種を扱っているサイトでこの「ブリュッセルスプラウト PETIT POSY MIXED」を見つけたことでした。早速購入して栽培すると、赤紫色の結球しない芽キャベツになりました。その後、日本で増田採種場が「プチヴェール」という名前で苗を販売していることに気づいたのです。

初めて栽培したプチヴェール
結球しないプチヴェールの魅力
プチヴェールは結球しない芽キャベツです。
結球する芽キャベツの栽培の場合、温度管理が大切で、植え付け時期などにも影響します。肥料のバランスも重要です。また、芽キャベツ栽培では「摘葉作業」という下葉をかく作業が重要で、この作業を確実にしておかないと、日当たりや風通しが悪くなり大きくならず、害虫の発生にもつながります。もちろんプチヴェールの場合もこの摘葉作業はあるのですが、芽キャベツほど神経質になる必要はありません。つまり、結球しない野菜の方が結球する野菜よりも栽培が楽ということです。
例えば、リーフレタスは結球するレタスと違って「初心者でも栽培が簡単」と言われます。
両方栽培したことがある人は知っていると思いますが、結球させるためには、芽キャベツと同じく、温度管理や肥料バランス、害虫対策が重要です。一方リーフレタスは、結球させる必要がないので、好きなサイズで収穫することができ、さらに外葉から1枚1枚必要な分だけ収穫することもできます。私個人の考えでは圧倒的に結球しない方が栽培が簡単で便利です。
このレタスのような例がプチヴェールにもあてはまるわけです。芽キャベツがうまく育てられないという人もプチヴェールなら栽培できるのではないでしょうか。
カラフルな3色で展開
プチヴェールには、通常のケールのような緑色タイプと、彩り鮮やかな赤色タイプの「プチヴェールルージュ」と、白色タイプの「プチヴェールホワイト」の3色があります。加熱してもそれぞれの色に大きな変化はありませんので、食卓も華やかになります。

3色のプチヴェール
プチヴェールの食べ方
葉を楽しむ
11月ごろから収穫が可能で、摘葉した本葉はケールと同じように利用できます。スムージーやジュース、生のままサラダで、ソテーしてもおいしいです。

プチヴェールの葉
わき芽を楽しむ
プチヴェールのわき芽は基本的にゆでて使います。少し塩を加えて沸騰させた湯の中で1分半から2分くらいゆで、冷水に落とします。ゆでたものをサラダやお浸し、和え物などで利用するほか、料理の付け合わせにもおすすめです。

バラのように美しいプチヴェール

野菜の蒸し焼き。加熱しても色が残る
花芽を楽しむ
11月から始まる葉の収穫からわき芽の収穫、そして春になると、花芽を菜の花として利用できます。3~4月、開花前の柔らかい花芽を収穫し2~3分ゆで、菜の花と同じように食べられます。
プチヴェールの育て方
苗を入手します。増田採種場のオンラインショップで苗が販売されています。こちらでは、地域の定植時期に合わせて苗を発送してくれますので、自分が住んでいる地域の定植時期に届くように早めに予約した方がよいでしょう。定植時期の目安は、増田採取場のホームページに掲載されていますので参考にしてください。また、ホームセンターでも購入できます。
基本的に栽培はキャベツやブロッコリーと同じと考えて大丈夫ですが、プチヴェールを成長させるための摘葉作業が必要となります。私が住んでいる千葉を例に説明していきます。
栽培の流れ
植え付け
8月中旬から9月上旬。株間70センチ、畝幅90センチ。
3色栽培する場合、日が当たることによって色付きが良くなるため、畑の南側から、ルージュ、ホワイト、グリーンの順番に定植します。

定植したプチヴェールの苗
追肥
追肥は定植から1カ月後、2カ月後、3カ月後、収穫期間中を目安に行います。
摘葉作業
株の最下部のわき芽の大きさが直径3センチ位になったところで、本葉を下から上に向かって切り取ります。最初は株高の1/4ほどのところまで下から切り、その後、生育したわき芽を収穫します。そして、株の成長にともない、適時、同じように下から順に葉を切り取り作業していきます。
この作業によって、日当たりと風通しを良くすることができ、わき芽の成長を促すことができます。

摘葉作業前

摘葉作業後、日当たりと風通しを良くする
葉の収穫
11月中旬。摘葉作業をかねて葉を収穫します。大きく成長した葉は硬いので若い葉を選びます。注意点は収穫しすぎないこと。光合成ができなくなり、本来の目的であるプチヴェールが成長しません。
わき芽の収穫
11月中旬から収穫が始まります。3~5センチ位を目安に順次収穫していきます。順調に育つと1株から50~80個ほど収穫できます。

収穫前のプチヴェールルージュ
花芽の収穫
3~4月、花芽を収穫します。花が咲くと硬くなりますので開花前の柔らかいタイミングで収穫します。
ベランダでも栽培可能
畑がなくても植木鉢で育てることができます。成長すると株の直径が40センチ以上になりますので、大きめのプランターか10号鉢以上の大きめの丸い植木鉢を使うこと。ポイントは一つのプランターで1株の栽培をすること。ホームセンターなどで肥料が入った野菜用の土が販売されていますので、あとは苗を植えて、土の表面が乾いたら水を与えるだけです。
プチヴェールは半年間出荷できる
タケイファームでは、9月に定植したプチヴェールを、11月から葉を収穫し、わき芽、花芽と形を変えて4月までレストランへ販売しています。栽培をスタートする時は、種からの方が経費を抑えられるのですが、1本の苗から1万円売り上げることができますので、苗を購入しても十分に元はとれます。ちなみに販売価格は、葉が1枚200円、わき芽と花芽は1本50円です。
まとめ
1本の苗から50~80個の収穫が可能で、半年も楽しめるプチヴェール。スムージーやサラダに大活躍します。鉢植えでも栽培できますので、ぜひ、挑戦してみてください。