「遊撃農家」とは。土地を所有しない、これからの農業について

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「遊撃農家」とは。土地を所有しない、これからの農業について

「遊撃農家」とは。土地を所有しない、これからの農業について
最終更新日:2021年01月06日

全国の農家さんを渡り歩くフリーランス農家コバマツです。2020年の秋、和歌山県有田郡有田川町でミカン収穫のお手伝いをしているときに出会った「遊撃農家」と名乗る女性。土地を所有せずに、平日は会社員、週末は農家さんの収穫のお手伝いと、作物のインターネット販売も行うという働き方を実践しているとか。
彼女はなぜ「遊撃農家」の道を選んだのでしょうか。土地を所有しないからこそできる農業との関わり方やその魅力は、同様に土地を所有しない農業を実践しているコバマツにとっても新たな可能性を感じるものでした。

ミカン農園で出会ったのは「遊撃農家」と名乗る女性

今回コバマツがミカンの繁忙期でお手伝いに行った和歌山県有田川町。収穫繁忙期ということで、さまざまな人がミカン農園に来ていました。

遊撃農家って?ミカン畑

そこで、運命的に出会った遊撃農家という働き方をしている女性、原奈々美(はら・ななみ)さん。
普段は東京で会社員をしながら、週末は地方に出向き、農家さんの繁忙期のお手伝いをする働き方を実践しているとか。
平日会社で働いて、休日は農家さんでお手伝いなんて、パワフルすぎる!

東京に拠点を置きながらも、農家さんを応援する。原さんが「遊撃農家」と呼ぶその働き方は、土地を所有しない農業を実践しているコバマツにとっても興味深いものでした。

■遊撃農家はら農園 原奈々美さんプロフィール

原さんプロフィール写真 東京都出身。1994年生まれ。大学1年の頃、教授に連れられて行った農家さんとの出会いがきっかけで農業の世界にハマり、大学の農業サークルに所属して全国の農家の手伝いや農場見学に行く。
ある日「ナリワイをつくる」の著者である伊藤洋志(いとう・ひろし)さんとの出会いから、繁忙期の農家の収穫の手伝いと行商も行う「遊撃農家」という働き方を知る。現在、平日は都内IT企業に勤務し、主に事務職を行う傍ら、週末の休みを生かして「遊撃農家はら農園」として畑で農作業の手伝いをする。さらに、売り歩く“行商”の代わりにインターネットで農産物の販売を行ったり、観光農園の運営を手伝ったりするなど、農家を応援する働き方をしている。

遊撃農家とは? 土地を持たない農業について

遊撃農家。
聞くからにインパクト大なフレーズ。

東京で暮らしながらも農家さんを応援できる遊撃農家の働き方について早速聞いていきたいと思います。

コバマツ

遊撃農家とはどのような働き方なのでしょうか?
農繁期の収穫のお手伝いと、その収穫物をSNSで販売する行商も行う働き方です。畑を持たないで、人手が必要な時期だけピンポイントで助っ人に行きます。夏はナシ農家さんや、ブドウ農家さんに行ったり。今(11月)はミカンの繁忙期だと聞いて和歌山県に来ています。

原さん

遊撃農家て?作業する原さん

遊撃農家って?ブドウ作業

夏にブドウ農家でお手伝いしていた時の原さん

コバマツ

畑を持たない! 土地を所有しない系農業女子だ!
フリーランス農家コバマツも土地を所有しないで最近は家も手放し、常に畑を求めて、北は北海道、南は沖縄と移動する働き方をしています! ミカン畑でデスティニー!!
私は平日は都内で会社員として働いて、週末の休みを活用して農家さんの助っ人をしています。都会に拠点を置きつつも、農家さんを応援できる形を取っているんです。

原さん

コバマツ

あ、平日は都内で会社員……。一緒にしてしまいすみません。仲間に出会えたと思い、テンションが上がってしまいました……。
(笑)小葉松さんの場合は、地方や農業というものに完全に軸足があると思うんですけど、私の場合は拠点は東京で別に本職がある。東京に軸足を置きつつ農家さんを応援できる術を考えた結果、今のスタイルにたどり着きました。

原さん

遊撃農家の提唱者、伊藤洋志さんとの出会い

コバマツ

遊撃農家の働き方は、どのように思いついたのでしょうか?
大学生の時に、農業にどっぷりハマって、社会人になる手前で迷いが生じたんです。「これからどうやって農業と関わっていこう? 社会人として仕事をしながらも、農業と関わっていける方法ってないのかな?」って。そんなときに出会ったのが遊撃農家の提唱者である伊藤洋志さんなんです。

原さん

遊撃農家って?伊藤さん

遊撃農家の提唱者、伊藤洋志さん。遊撃農家イトウ農園ホームページより

伊藤さんの著書「ナリワイをつくる」を読み、農地を持たなくても農業ができること、旬の作物を周りの人にお届けできる方法があるんだと知り、遊撃農家の働き方に興味を持ちました。
ある日、大学で伊藤さんの授業があって。授業に忍び込んで、直接お会いし、自分のこれからの自分と農業の関わりについて相談させていただきました。
伊藤さんの「やったらいいよ」という言葉をいただき、遊撃農家はら農園として現在の働き方をしています。かれこれ遊撃農家5年目です。

原さん

遊撃農家って? 伊藤さんとの写真

現在は伊藤さんと一緒に遊撃農家の活動をしているそうです。行動力が道を切り開くのだなと改めて感じます

土地を所有しない農業の魅力について。遊撃農家×フリーランス農家

常に農家さんの繁忙期を求めて全国を飛び回りながら農家さんのお手伝いをしているコバマツ。平日は都内で会社員をしながらも、週末は農家さんのお手伝いに出向いている原さん。
土地を所有しない農業を行っている者同士、農業に引かれる点や、お互いの活動について語り合いました。

農家の“ハイブリッド”な側面が魅力

コバマツ

原さんは農業のどういった点に引かれているのでしょうか?
農家さんて本当にいろいろな分野にアンテナを張っていないとできない仕事だなと感じる点ですかね。
経営者の視点では、世界情勢や、国内の政治、経済にアンテナを張り、先を見据えて会社のかじ取りをしたり。ビジネスの面では、自分達の作物をどうやったら価値を高めて販売できるかと考えたり。生産者の視点では、気候の流れを読み、土壌や作物の様子に目配りをしなきゃいけない。
こんなにいろいろなことを考えられるのって、多分農家さんくらいだと思うんです!

原さん

コバマツ

世の中の流れを読み会社の数字を上げていくという経営者目線の仕事、それと併せて、自然と向き合い、土づくりや植物の生育も行う仕事って農業経営者ならではですよね。
改めて考えるとめちゃめちゃハイブリッド!
人と自然が協力して、成果である作物を生み出す仕事という意味でも、私もとっても魅力的に感じています。

自分の強みを農家さんのために生かしたい

コバマツ

土地を所有しないで農業と関わる、という点では、なにか強みや魅力を感じている部分はありますか?
農家さんと関わっていく中で、農家=職人だと痛感したんです。一方私は企画が好きなので、そうした目線で「こうやったらもっと売れるんじゃないか」「こうしたら効率的に作業が進むんじゃないか」とアイデアを考えて実践していくことの方が、自分の力が発揮できることに気づいたんです。自分の得意なことを生かしながらも農業と関わることができる遊撃農家のスタイルが、農家さんにとっても私にとってもハッピーなスタイルだなと!

原さん

コバマツ

めちゃわかります! 私も農業以外の自分の好きなことや得意なことがあるなら、むしろそれを生かして農業に貢献できないかと考えて今の働き方になっています。

イベントを通じて、全国の農家を盛り上げる

あとは、やっぱり、全国の農家さんから常に旬の野菜や果物が手に入るのが魅力的です! 仕事帰りとか「今日はナシが届いているから早く帰ろう♬」とウキウキしちゃいます!
食べきれないくらい届くこともあります!(笑)

原さん

コバマツ

わかるー! 常に旬を感じながら新鮮なものが手に入るのって、さまざまな農家さんと関わっているからこそですよね! 私もいろいろいただき、幸せな日々を過ごしています(笑)
一人で消費できない量をいただいたときは、都内のイベントスペースを借りて、仲間と旬の野菜や果物を食すイベントを開催しています。旬を身近な人と共有できるのも、遊撃農家をやっていてうれしいことですね。

原さん

農業の魅力 旬を食すイベント様子

旬の食材を楽しむイベントを開催している原さん。この回は、ナシやブドウを使った料理を楽しむ会。今すぐ参加したい。

コバマツ

わかりますー! 私も大量にお野菜をいただいたときは、スナックイベントを開き、野菜料理を食す機会を作ります。

途中から女子会のノリで、土地を所有しない農業の魅力について語り合う原さんとコバマツ。土地を所有しないからこそ、自分の強みも生かし、農業に貢献できる働き方である上に、常に旬を感じられる。なんともオイシイ働き方であると再認識しました。

東京で会社員をしながら、週末農業と関わる理由

コバマツ

農業を応援したい!となると、一般的には地方に拠点を移して、農業と関わるという発想になりがちだと思うのですが、原さんはなぜあえて東京に拠点を置き、農業と関わり続けているのでしょうか?
一つ目に農業と関わることができる選択肢を増やしたいと思いまして。東京にいながらも、農家さんを応援できる働き方を実現することができれば、「農業=地域の人しか関われない仕事」という考えの壁を溶かすことができるんじゃないかなと思い。みずから「東京にいながらも農業を応援できるスタイル」を実践するために東京にいます。

原さん

コバマツ

農業=田舎にいなきゃできない!と思いがちですが、原さんの活動を見ていたら、東京だからこそできる働き方があるように感じますね!
二つ目は「本職があるからこそ、農家さんを応援できる」と考えているからです。農家さんは作物を作るプロではありますが、販売や発送の事務作業や、効率化を考えることが苦手だったりする人もいます。本職で培った事務スキルを生かして、農家さんが生産に集中できるよう、サポートすることができるのも遊撃農家の特徴であると考えています。

原さん

週末農業する理由 遊撃農家HP

遊撃農家はら農園の紹介と、注文用ホームページ

コバマツ

遊撃農家として、繁忙期に農作業のお手伝いもしているから、農家さんとの信頼関係もある。畑の生育や作業の状況も間近で把握しているから、それに合わせた販売方法の提案や、作業の効率化の提案もより的確にできますもんね! 農家さんのかゆい所に手が届く存在だ!
東京にいるからこそ、得られるネットワークや情報が作物のPRのきっかけや販売先につながることもありますし、東京にいるからこそ、応援できる形があると考えています。

原さん

遊撃農家おススメポイント

コバマツ

遊撃農家、ずばりどんな人におススメの働き方でしょうか?
農業以外の好きなことや、得意なことがある人こそ適任だと思っています!
農業以外のスキルや知識がある人ほど、農家さんの生産以外の困りごとを解消できたり、農業をより魅力的に伝えるためのアイデアを生むことができると考えています。
本業の繁忙期と農家さんの繁忙期を把握する。そうすることで、場所にとらわれずに、継続的に農業を応援していくことができます。

原さん

平日は会社員として東京で働きながら、週末の休みを生かして農家さんの助っ人をする遊撃農家の働き方は、都会にいても農家になれるという新しい農業スタイルでした。
「農業とは違う分野が得意な人ほど農業と関わってほしい」という原さんの言葉に、むしろ場所や経験、立ち場が異なる人が関わるほど、多様性が生まれ農業が魅力的なものになっていくのではないかと感じました。

遊撃農家おススメポイント 遊撃農家 詰め合わせ

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