コロナ禍の今だからこそ。マルシェが新たな販路につながる理由

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コロナ禍の今だからこそ。マルシェが新たな販路につながる理由

連載企画:営業しない農家の売上アップ術

コロナ禍の今だからこそ。マルシェが新たな販路につながる理由
最終更新日:2021年02月10日

農業を始めて一度の営業もせずに、現在は栽培した野菜の95%をレストランへ直接販売しているタケイファーム代表、武井敏信(たけい・としのぶ)です。このシリーズでは売り上げを伸ばすためのちょっとした工夫をお伝えします。

2020年12月、私がプロデュースしたマルシェ「はりまざか女子マルシェ」がオープンしました。コロナ禍のさなかでのスタートとなり、対面販売が難しくなっている今、それを続ける意味とは。企画から実行までの流れと、コロナの影響、乗り越えるための工夫を紹介します。

はりまざか女子マルシェを企画した理由

コロナの影響ではりまざかマルシェが終了

東京都文京区の播磨坂(はりまざか)にある有名レストラン、熟成肉で有名な「中勢以(なかせい)」の店内で、毎週日曜日に開催されていた「はりまざかマルシェ」。9年前、当時の中勢以の社長から要望を受けた私が千葉県内の農家に声をかけてスタートしたマルシェです。マルシェといっても、毎週日曜日にメンバーが交代で出店する当番制で、私が参加していた当時の平均売り上げは1日5~10万円、最高売り上げは、農家一人で14万円を超えました。私がマルシェを離れた後も若いメンバーで運営を続けていたのですが、2020年5月、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の影響によりレストランが一時休業したため、マルシェも開催中止に。6月初旬の営業再開に伴いマルシェの再開も要望されていたのですが、メンバーそれぞれに新たな方向性がうまれ、そのタイミングで解散となりました。

新たなマルシェの始まり

ある時、労働力のわりに売り上げが低いことを嘆く知り合いの女性農家のSNS投稿に目が止まりました。このような思いを持ちながらも頑張っている農家はたくさんいて、私は常々「彼らの売り上げが上がる舞台があれば」と思っていました。農家が自分の作ったものを消費者に直接アピールできる場所はとても大切だと、過去の経験から実感していたからです。
そんな私の思いに加え、はりまざかマルシェの舞台である中勢以の「できればマルシェを再開したい」という意向もあり、私が新たにマルシェをプロデュースすることになりました。
今回のマルシェのメンバーを集める時、真っ先に連絡したのはこの女性農家で、今では野菜販売の主力メンバーになっています。

はりまざか女子マルシェの特徴と目的

新たなスタートですので、メンバーも一新し、今回は女性の生産者だけが参加するマルシェに決定。マルシェのお客さんはどちらかというと主婦が多いので、主婦と同じ目線でのパッケージングや野菜の調理の説明などが重要になります。そのようなメリットも新たなマルシェの成功につながると判断しました。現在、外食を控える「ステイホーム」が推奨される風潮の中で、スーパーに出荷している農家の売り上げが上がっている現実があります。一方で、大規模に開催されていたマルシェが自粛しているため、我々が始めるマルシェは新たな販路の開拓につながると考えています。
さらに、こうした舞台に立つことで参加メンバーにスポットライトがあたるように進めていくこともこのマルシェの取り組みの一つでもあります。特徴のある取り組みをすることで、メディアなどから取材を受けるなど、世間から注目される機会が増える可能性があるからです。

マルシェトップ

店内の様子

出店者探しと企画会議

参加してくれた初期メンバーに感謝

いざマルシェを始めると言っても参加するメンバーがいなければ話になりません。そして大切なのが運営するための事務局です。野菜が縁で知り合った女性経営者に相談したら、「ぜひやりましょう」ということになり、事務局を担当してくれることになりました。最初に決めたことは2つ。「参加者は女性」「生産物だけでなく加工品もあり」ということ。最初は、全く知らない人よりもある程度状況を把握できている人たちの方が成功する確率がアップしますので、メンバーの一般募集はせずに、まずは知り合いから声をかけはじめました。毎日の作業がただでさえ忙しい農家、家族がいれば家庭での役割とのバランスもあります。「興味はあるが忙しいので難しい」という人も多く、参加希望者は予想を下回り、最終的に7人となりました。この中の1人は関西からの参加なのでメインの初期メンバーは6人ですが、彼女たちの参加がなければスタートすることは難しく、本当に感謝しています。今後は、参加基準を設けた上で、新たにメンバーを増やせればと考えています。

マルシェ入口

入口には野菜をディスプレー

初顔合わせ

ほとんどのメンバーは私以外のメンバーの顔を知らずに始まったマルシェの企画。舞台となる中勢以を知ってもらう必要もあるため、現地で顔合わせを含めた1回目の全体会議を行いました。いずれは自発的にマルシェの運営をする意志がある人もいると思いますので、私はアドバイスはしますが、基本的には参加メンバーで決めていくことにしています。これはモチベーションを高める上でとても大切なことで、既にできあがっているマルシェに参加するのとは違い、各自が今後の運営方法を知ることにもつながっていきます。

はりまざか女子マルシェという名前は

メンバーが集まって一番初めに話し合ったのがマルシェの名前を決めることでした。
参加者が女性ということもあり、「女神のマルシェ」などかなり響きの良い候補もあがったのですが、8年も続いていた「はりまざかマルシェ」に敬意を表し、シンプルにわかりやすい「はりまざか女子マルシェ」に決まりました。この名前は、以前のマルシェに来店してくれていたお客さんにとってもわかりやすいと思っています。

はりまざか女子マルシェチラシ

はりまざか女子マルシェのチラシ

コロナ対策もしっかりと

初回のマルシェ開催は2020年12月20日に決定。真冬で収穫できる野菜が少ない時期なので、1人の出店ではなく複数人による出店としました。販売場所が中勢以の店内ということもあり、密を避けるために出店者は2人までと決めました。お客さんにもマスクの着用、アルコール消毒、店内の入場制限に協力をお願いするなど、コロナ対策の意識を共有しました。

月に1回開催、zoomミーティング

初回の顔合わせの後は、基本的に月に1度、zoomを使ってミーティングを開くことに。コロナによる革命ともいえるリモートでの会議が一般的となり、離れた場所での打ち合わせもできるようになりました。メンバーで作り上げていくマルシェというコンセプトもあり、出店者による問題点が発生した場合、緊急ミーティングも行っています。ミーティングでは、2カ月先までの出店者を決めます。

売り上げアップのための知恵

のぼりでマルシェを認知してもらう

12月20日の日曜日、第1回のマルシェがオープンしましたが、結果は購入者15組、売り上げ49800円と、期待を大幅に下回りました。PR用のチラシとオリジナルののぼりを作成したものの告知が不十分だったせいか、来客数が予想以上に少なかったのです。オリジナルののぼりはメンバーの希望を盛り込んでオシャレに仕上げたものの、「ここでマルシェをやっている」ということがいま一つ伝わりづらいものだったのです。そこで、野菜を販売しているとわかるシンプルな既製品ののぼりを追加しました。これによって、2回目の12月27日には購入者は20組、売り上げは65000円と少し増えました。
前身のはりまざかマルシェで私が参加していた時の平均購入者は約50組でしたので、客数はまだ伸びしろがあると思います。

のぼり

店頭の2本ののぼり。左のオリジナルののぼりでマルシェのイメージを、右の既製品で野菜を売っているということをアピール

SNSも積極的に活用

スタート前にインスタグラムを始めたのですが、更新が停滞気味でうまく活用できていませんでした。zoomミーティングで話し合い、曜日ごとに担当者を決めて毎日更新することにしたところ、フォロワーも増えてきました。

Screenshot

メンバーが日替わりで投稿しているインスタ

前に開催していたマルシェのお客さんも来店するようになり、年明けのマルシェでは購入者はさらに増えています。

まだ、スタートして1カ月ですが、メンバーからはミーティングでの議題があがり、それを全員で話し、さらにできることはすぐに行動に移して解決しています。不慣れな状況の中、常に考え工夫をしている姿勢を見ていると、今では彼女たちだけでも素晴らしいマルシェの運営ができるのではないかと感じます。

接客の様子

マルシェでの接客の様子

販路を広げたい農家へのアドバイス

マルシェは野菜を販売する販路の一つでしかありません。どうせ出店するのであれば、売り上げ金額を上げるだけでなく、自らが表舞台に立ちスポットライトがあたる場所など、効率の良いマルシェに参加した方がおすすめです。私自身、今までそう考えてきて、何かを始める時に「どこでやるか」「いつやるか」「何をやるか」「誰とやるか」を選んできました。
早くも、参加したメンバーがWebサイトで取材を受け記事になっていました。これは、その可能性が上がる舞台に立ったからです。こうして、また、次の販路に向けてのチャンスが広がる、これが「はりまざか女子マルシェ」に参加し続けていく醍醐味(だいごみ)のような気がしています。

はりまざか女子マルシェ
インスタグラム
Facebook
毎週日曜日開催
11:00~15:00
場所:熟成肉専門店「中勢以」店内 東京都文京区小石川5-10-18
※ 出店希望の方は、Facebookにメッセージでお問い合わせください。

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