農家が教える温州ミカンの育て方 知っておきたい剪定・仕立てのポイント

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農家が教える温州ミカンの育て方 知っておきたい剪定・仕立てのポイント

連載企画:農家が教える栽培方法

農家が教える温州ミカンの育て方 知っておきたい剪定・仕立てのポイント
最終更新日:2021年02月09日

こたつミカンをおうちで育てる! とっても楽しそうですね。お庭に植えてもよいし、鉢植えで育てるのもありでしょう。スペースが許されるなら、地植えしてたくさんのおいしいミカンをならせましょう。結実までに数年かかりますが、それ以降は毎年ミカンを収穫することができます。

かんきつ類の栽培は、比較的家庭果樹としてはメジャーな品目です。気候があってさえいれば、家庭においてはあまり難しく考えなくてもできてしまうものなので、西日本では多く普及しています。
その中でも、一般的に「ミカン」と呼ばれる代表的なかんきつが「温州(うんしゅう)ミカン」。
常緑樹なので冷涼地域では不向きですが、鉢植えで冬の間室内に入れられる人は挑戦してみるのも面白いでしょう。
以下栽培カレンダーに沿ってミカン栽培を見ていきましょう。

ミカンの植え付け

ミカンの植え付け時期は3月以降の暖かくなってきた頃。常緑樹は真冬の寒い時期に体を傷めてしまうとダメージが大きいので厳寒期の植え付けや植え替えはしないようにしましょう。
2月のまだ寒い時期にできるだけ大きな穴を掘って堆肥(たいひ)20リットルと苦土石灰を200グラム程度よく混ぜて土づくりをしておくとよいでしょう。植え付ける際に有機配合肥料300グラム程度を混ぜて、できるだけ苗の根を広げて配置し深植えしないように気をつけましょう。
植え付けた後は、先端部分を切り取り、40センチだけ残しておくと良い枝がたくさん出やすいです。最後に土と根が密着するようにたっぷり水を与えましょう。

ミカンの仕立て方

樹木の仕立て方にはたくさんの種類がありますが、ミカンの場合は3本主枝で斜めにメインとなる枝を広げていく形が主流で、最も良い形とされていることが多いです。
3方向に主枝を伸ばしていくように仕立てていきます。最初の4~5年は自由に伸ばしておいて、それから方角の良い枝3本を選んで仕立てていってもよいでしょう。

ミカンの剪定(せんてい)

ある程度の大きさにミカンが成長すると、モリモリと茂った状態になって、どこをどう切ればよいのかが分かりにくくなります。
常緑樹であるミカンは、一度にたくさんの枝を切ってしまうと極端に弱ってしまうので、一年で切る量は全体の3割以下に抑えて、大きく形を変えたいと思っても、何年かかけて改造していくつもりで刃を当てるようにしましょう。

基本的には3~4月の春にかけて剪定をおこないます。
最も重要なのは、内向枝の切除です。主枝が斜め外側に伸びているのに対して、内側に成長している強い枝があれば、率先して切除し木の内部に光がさしこむようにしましょう。

また、枝垂れている枝を下図のように切り上げて、下がりすぎないようにし、最終的に木と正対して反対側の光がチラチラと見える程度に透かしてあげれば完了です。

他にも細かいことを言い出せばたくさんあるのですが、大まかに全体を透かしてあげる意識で取り組みましょう。

ミカンの肥料

ミカンの肥料散布時期は大きく分けて年に3回あります。
メインとなる元肥は春肥と呼ばれ、3月上中旬くらい。2回目は夏肥として、果実を太らせるために追肥を6月上旬に与えます。この肥料が遅くなると、果皮と果肉の間にすきまができる浮き皮が発生したり、果実の着色が遅れたりするので注意しましょう。
最後の秋肥と呼ばれる追肥は、10月中下旬~11月くらいに、来年の花芽のために与えます。
上記のような意味のある追肥ですので、果実がならなかった裏年に関しては、追肥の施与を控えるようにしましょう。

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ミカンの葉が黄色くなったら

ミカンの葉が黄色く変色している、という相談がとても多いので解説します。相談されるケースのほとんどが以下の原因です。
1. 肥料(窒素)不足…単純な肥料不足です。施肥をしていない場合や、真夏の乾燥などで吸えていないケースが多いです。施肥と真夏の水やりを心がけましょう。
2. 苦土欠乏…葉脈は緑色だけれど、まだらに黄色くなっている場合、マグネシウム(苦土)欠乏であるケースがほとんどです。ミカンではよく起こります。冬季に苦土石灰を毎年与えることと、夏の間もマグネシウムが入った肥料を与えた方が元気になり、食味も良くなります。
3. 夏秋梢(かしゅうしょう)…ミカンは栽培カレンダーにある通り、春に伸びる枝と、夏に伸びる枝と、秋に伸びる枝の3種類の枝があります。最も生産性が高いのが春枝で、春枝が多いほど木の状態が良くなります。夏秋梢は、放置しているとほとんどがエカキムシという害虫に食害され、黄色くなってしまいます。そもそも生産性の低い枝なので、家庭果樹においては放置しておいても大勢に影響はありません。見た目が気になる場合は切除してしまって大丈夫です。
4. 凍害…冬の寒さでやられるケースです。この場合はやがて葉が散ってしまい、木は大きなダメージを受けてしまいます。その年はできるだけ果実をならさず、樹勢回復に努めてください。
5. ダニ…ダニによる食害です。目で見えにくいため、家庭果樹では夏以降に大量発生しているケースが多いです。葉を触ってみて手に汚れがついたらダニの存在を疑ってみて間違いないでしょう。殺ダニ剤やマシン油を散布しましょう。

ミカンの摘果

ミカンは、表年と裏年を交互に繰り返す“隔年結果”という状態に陥りやすい果樹です。
これを防ぐためにも、追肥の施与、そしてこの摘果作業は大変重要になります。
他の果樹と違い大きく育てた方がおいしい果実になるというわけではないので、家庭果樹の場合は自然落果が落ち着く7月上中旬頃におこないましょう。果実1つにつき葉が20枚くらいのバランスが最も適正な状態とされます。
傷がついているもの、奇形果、小さい果実を優先して外します。また、真上を向いている果実や果柄の極端に太い果実は品質が悪くなりやすいので落としてしまいましょう。

ミカンの収穫

ミカンは品種によって早生(わせ)温州の場合は10月中旬から、普通温州の場合は11月中旬頃から収穫を開始します。
長く収穫を続けるためには、全体の7割くらい着色した頃から早めに収穫を始めましょう。
果実だけをハサミを使って収穫します。

ミカンの病害虫

ミカンは果実の生育期間が大変長いので、懸念する病害虫の種類は多い部類になります。しかし、果実の糖度が上がるのは寒くなってきてからなので、家庭消費だけであれば農薬を使用しなくても収穫に至ることは可能です。
発生が多いのは、そうか病やかいよう病という病気です。6月の殺菌剤、台風前の殺菌剤散布で予防することができます。
カイガラムシやハダニも多発すると木が弱ってしまいますので、マシン油などの散布を検討しましょう。

以上、ミカンの栽培でした。こたつミカン、自分で育てて食べましょう!

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