畑のルールは畑の主に聞け! 農家が農場見学をするときの心得

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畑のルールは畑の主に聞け! 農家が農場見学をするときの心得

畑のルールは畑の主に聞け! 農家が農場見学をするときの心得
最終更新日:2021年04月01日

農業を始めて一度の営業もせずに、現在は栽培した野菜の95%をレストランへ直接販売しているタケイファーム代表、武井敏信(たけい・としのぶ)です。このシリーズでは売り上げを伸ばすためのちょっとした工夫をお伝えします。

農家であれば、他の農家の畑を見学することは勉強になり、とても楽しいことではないでしょうか。もちろん私もその中の一人です。タケイファームにも「見学させてほしい」という依頼は絶えません。基本的に受け入れはしますが、中にはマナーを知らない見学者もいます。そこで今回は、「守るべき」畑の見学のルールやマナーについて解説します。

見学に来たのはいいけれど……

就農希望者や若手農家からベテラン農家まで、タケイファームの畑を見学したいという連絡をたくさんもらいます。しかし、やってきた人の中には驚くようなマナーの人も。そのマナーに困惑させられた事例から紹介します。

ある日、就農希望者1人、若手農家2人の3人が見学にやって来ました。畑に到着するやいなや、彼らはそれぞれに畑を歩き回り写真を撮り始めました。私は一瞬ぼうぜんとしましたが、「あれ、それでいいの?」と思いながら、寒かったので車の中で待機。10分後、戻ってきた彼らは「終わりました」と言うので、私は「いろいろ見てたけど何がわかったの?」と聞きました。彼らは「どんな野菜を栽培しているかがわかりました」と答えました。さらに「撮影してたけど、何を撮影してたの?」と問うと、「株間の広さを撮影してました」という答え。

「見学とは、実地を見ることによって、見聞と理解を深めることである」とされていますが、私にはこの見学は「見学らしきもの」としか思えませんでした。

仮に同じ品目を栽培したとしても、同じように販売することができるでしょうか? 私が畑見学で持ち帰ってほしかったことは、栽培している品目や株間の広さではありません。なぜこの品目を栽培しているのかや、画像だけではわからない栽培のテクニックなど、それらのストーリーをこれからの彼らの農業に少しでも生かしてもらえたらと思っていたのです。

せっかくお互いに時間を確保して、この見学という貴重な機会を作ったにもかかわらず、彼らが「知った気」になっただけで、私が伝えたいことはひと言も伝えることができなかったのです。

畑にはそれぞれのストーリーがある

畑見学の依頼の際、「草取りでもなんでもお手伝いしますので」という人もいます。私はそれに対して、「草取りする時間があるなら、ファミレスで話をしていた方が勉強になると思いますよ」と答えます。
私に貴重な時間をもらっているという気持ちからくる言葉だとは思うのですが、畑見学にはしょっちゅう来られるわけではありません。この貴重な時間をもっと有効に使うために、しっかりと畑の主(あるじ)である私の話を聞くべきではないでしょうか。

畑見学するときの基本的なマナー

畑ごとに細かなルールは違います。主の言葉をよく聞き、迷ったら許可を得るなど、ちゃんとした態度で見学することで、自分の農業にプラスになります。

原木シイタケ生産者に話を聞く武井

時間に遅れない

畑見学だけに言えることではありませんが、待ち合わせの時間は必ず厳守しましょう。
見学の時間は、訪問先の農家が他の仕事を調整して作り出された時間です。決して、暇つぶしに対応しているわけではありません。過去に何度か、時間に遅れる人もいましたが、その時点で、説明する気持ちも下がりやる気がなくなってしまいました。

畑の主の前を歩かない

畑では、農場主の後ろについて歩くこと。
畑で栽培しているものは主にしかわかりません。一見、草に見えるものが大切な収穫物であることもあります。もし種をまいたばかりで発芽していなければ、そこが栽培されているスペースとはわからず、知らぬ間に踏みつけてしまう恐れもあります。それらは農場主の後ろを歩くことで回避できます。わからない場合は、「ここに入っても大丈夫ですか?」と聞いてみましょう。聞かれて嫌な顔をする主はいないはずです。

畑見学では、主の後ろを歩く

何を栽培しているかは畑の主にしかわからない

撮影、録音許可はとる

畑には現段階で公表したくないものもたくさんあります。
撮影したい場合は、必ず撮影許可をとりましょう。説明をメモしたり録音したりする場合も、ひと言許可をとる心がけも大切です。また、時には「ここだけの話」というものがあります。そのような話はメモをとったり録音したりするのはやめましょう。

畑には生産者だけでなくシェフも見学に来ます

勝手に食べない

たまにいるのですが、畑にある葉物など、ちぎって食べ始める人がいます。
こちら側としては、食べてもらうことは問題ありませんが、断りもなく勝手に食べてもらっては気分も良くないので、ひと言「食べてもいいですか?」と許可を得ましょう。

許可を得て菜の花をその場で味見

どんな準備をするべきか

事前に質問事項を考える

限られた時間での畑見学。事前にここだけは押さえておきたい質問事項を考えておくと、時間を有効に使うことができます。「質問を考えてきました」と言ってメモ帳を取り出す見学者を見ると、見学に対する意気込みが伝わります。

長靴でやる気を見せる

見学する畑は、天気の影響で、ぬかるみになっていたりして土壌の状態も変わります。スニーカーでも問題ありませんが、長靴の方が気を使わなくてもよいので見学に集中できます。
長靴を準備してくる見学者を見ると「やる気」を感じますので、より丁寧に畑を案内したくなります。せっかくの機会ですので、気持ち良く案内してもらうようにしましょう。

トイレはすませておく

畑の問題の一つがトイレです。近くにコンビニがあるケースもありますが、基本的に畑にトイレを常備している農家は多くありません。見学の途中で話を止めたり、大事な話を聞き逃したりしないように、集合する前にトイレはすませておきましょう。

畑見学を成功させるテクニック

畑見学を成功させるためには、畑の主とできる限り早いタイミングで仲良くなることが大切です。「はじめまして」から名刺を渡して自己紹介をする数分間が勝負。この短いタイミングで、自らの思いなど積極性をアピールすれば、その後の畑見学もスムーズに進んでいきます。見学者の気持ちをくみ取った主は、わかりやすく説明もしてくれるでしょうし、裏技を話してくれるかもしれません。
「どこへ販売しているのですか?」「どのような農業を目指しているのですか?」など、畑の主から質問があったら、主にもあなたのやる気が伝わっているはずです。
帰り際、「季節が変わったら、また見にきてください」と言われたら、気に入られたのではないでしょうか。

おまけの虎の巻

手土産は必要か

時々、手土産をもらうことがあります。私的には気を使わないでほしいのですが、見学者に対して気配りを感じることができます。逆の立場で私が見学する場合は、必ず手土産を持参します。高価なものではなくてもかまいません、気持ちです。どちらかというと手土産はあったほうが良いと思います。

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