古い家を売るのが難しい理由
なぜ、古い家は売るのが難しいのでしょうか。
ここでは「古い家」の定義と併せて、主な理由として以下の3つのポイントを紹介します。
- 古い家は維持費が高くなりやすい
- 建てられたときと現在では建築基準が変わっている
- 隣家との境界があいまいなことが多い
それぞれ詳しく見ていきましょう。
古い家の定義とは
古い家は需要が低く、売るのが難しいことは想像がつくでしょう。
「古い家」と呼ばれるものに確な定義はありませんが、「築年数20年以上」や「旧耐震基準」などが1つの判断基準となります。
なお、旧耐震基準の家は1981年以前に建てられた家であるため、2021年の時点で築40年以上の家ということになります。築50年であればさらに古い家と判断されやすいでしょう。
上記の条件に当てはまる物件は売却しにくいため、戸建ての売却を検討されている方は改めて築年数を確認することをおすすめします。
また売却を検討している古い家が、親から引き継いだ実家というケースもあるでしょう。
こちらの記事では、遺産相続した不動産をすぐに売るべき理由について解説しています。
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ここからは古い家の売却が難しい理由を紹介します。
古い家は維持費が高くなりやすい
不動産は、所有しているだけで固定資産税や維持費がかかります。
特に古い家は修繕しなければならない箇所が多いため、購入後に多額の費用がかかるケースが多いといえます。
また、空き家として放置されている家は、空家等対策特別措置法により自治体から「特定空家」に指定される可能性があります。特定空家に指定されると固定資産税が最大で6倍になることにも注意が必要です。
建てられたときと現在では建築基準が変わっている
建物を建てる場合は、建築基準法の基準を満たす必要があります。
建築基準法は時代の流れとともに改正されており、家が建った当時は基準を満たしていても、最新の基準は満たせないことがあるのです。
例えば、前面道路の幅員が4m以下のケースや、建ぺい率・容積率の基準を満たせない場合は、そのまま住むのであれば問題ありませんが、増改築や建て替えの際には制限がかかる可能性があります。
隣家との境界があいまいなことが多い
土地と土地の間には境界がありますが、古い家の場合は境界が明確に定められていないケースがあります。
古い家を買った後、境界の問題で隣地所有者との間でトラブルが発生するおそれがあるのです。
築50年の一戸建てを売却する際に検討できる方法は?
築50年の一戸建てを売却する際は、どのような方法があるのでしょうか。
ここでは、具体的な方法として以下の4つを解説します。
- 中古住宅として現状のまま売却する
- リフォームして売却する
- 古家付き土地として売却する
- 解体して更地を売却する
詳しく見ていきましょう
中古住宅として現状のまま売却する
まず、中古住宅として現状のまま売却する方法があります。
物件によっては、古民家としての価値を持つものもあるでしょう。
なお、木造住宅をはじめとした非耐火住宅の場合は築20年、耐火住宅の場合は築25年を超えると住宅ローン控除の適用を受けられません。
住宅ローン控除は、中古住宅でも最大200万円まで所得税や住民税の還付を受けられる制度です。
築50年の一戸建ては築年数要件を満たしませんが、耐震適合証明書の発行を受けると住宅ローン控除を利用できるため、買い手にとっては購入時のハードルが下がります。
築50年の一戸建てを中古住宅として売却する場合には、耐震適合証明書の発行を検討するとよいでしょう。
リフォームして売却する
築50年の一戸建ては耐震性に問題があったり、外観や設備が古いと感じたりするのが普通です。
そのような物件も、リフォームすれば最新設備を備えた物件として売却できます。
ただし、リフォームしても基礎の部分は改修できないため、耐震性を高めることが難しいケースもあります。
場合によっては解体したほうがよいこともあるでしょう。
古家付き土地として売却する
古家は残すものの建物の価値は考えず、土地として売却する方法もあります。
この方法のメリットは、売主が解体費用を負担する必要がないことと、家を探している人と土地を探している人の両方をターゲットにできることです。
一方、新築を考えている買い手にとっては解体費用がかかることや、解体後をイメージしにくいことがデメリットといえます。
解体して更地を売却する
最後は、解体して更地として売却する方法です。
この方法のメリットは、新築を考えている人にターゲットを絞るため、古家付き土地として売却する場合と比べて売却しやすいことです。
一方、買い手が見つからなかった場合は解体費用が無駄になる可能性があることや、建物の解体後は「住宅用地の特例」の適用を受けられないため、土地の固定資産税が最大で6倍になってしまうことに注意が必要です。
家を売る際の一般的な流れ|家が古い場合にできることは?
ここからは、古い家を売却する際の流れについて解説します。
一般的な流れは以下のとおりです。
- 相場を調べる
- 不動産会社に査定を依頼する
- 売却活動を開始する
- 条件交渉をする
- 買主と売買契約を結ぶ
- 代金を受け取り、物件を引き渡す
それぞれについて、見ていきましょう。
①相場を調べる
古い家に限らず、不動産を売却する際は不動産会社に査定してもらいます。その際、査定を依頼する前に自分でも相場を調べておくことが大切です。
相場を知っておくことで、不動産会社が提示する査定額が妥当かどうかを判断できるからです。
相場を調べる際は、大手不動産情報サイトを利用して売却する家の周辺から似たような物件を探し、価格を調べるといった方法があります。
古い家の場合、建物にはほとんど価値がないと考え、土地として売り出されている物件を参考にするとよいでしょう。
②不動産会社に査定を依頼する
自分で相場を調べたら、不動産会社に査定を依頼しましょう。
その際は1社だけに依頼するのではなく、複数の不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。
これは、不動産会社によって得意なジャンルやエリアが異なり、それによって査定額にも差が出る場合があるからです。
複数の不動産会社に査定を依頼する際は、不動産一括査定サイトを利用することをおすすめします。
特にリビンマッチでは、全国約1,700社の不動産会社の中から紹介を受けられるため、売却物件に合った不動産会社を紹介してもらえる可能性が高いといえます。
③売却活動を開始する
不動産会社と媒介契約を結んだら、売却活動を開始します。不動産会社の仲介を利用すれば、広告や内見などのほとんどの手続きを担当者が代行してくれます。
売主として、内見前に物件をきれいにしておくことをおすすめします。
内見は週末に行われることが多いため、売却する物件に住みながら売却活動を行う場合は、その度に準備しなければならないことに注意が必要です。
④条件交渉をする
売却活動の結果、購入希望者が現れたら条件交渉を行います。
仲介業者を通して希望価格をはじめとした買主側の条件が提示されるので、その条件で契約できるかどうかを判断してください。
例えば、1,000万円で売り出している物件に900万円での購入希望者が現れた場合は、「条件を飲む」「売却を断る」「折衷案として新たな金額条件を提示する」といった選択肢があります。
条件がまとまらなかった場合は売却活動を続けることになるため、慎重に判断することが大切です。
⑤買主と売買契約を結ぶ
条件がまとまったら、買主と売買契約を結びます。
なお、この段階で仲介を依頼した不動産会社に仲介手数料を支払わなければなりません。
支払いのタイミングについては、「売買契約時に仲介手数料の50%、決済時に50%」や「売買契約時に100%」など、不動産会社によって異なるため事前に確認しておきましょう。
⑥代金を受け取り、物件を引き渡す
売買契約後、買主側のローン審査や手続きなどに問題がなければ決済が行われ、その後引き渡しとなります。
ただしローンが通らなかったり、買主の気持ちが変わったりして、売買契約後に契約がキャンセルされることがあります。
最後まで気を抜かずに手続きを進めることが大切です。
築50年の一戸建てを売却する際のポイント
ここでは特に築50年の一戸建てに焦点を当てて、売却する際のポイントをご紹介します。
具体的なポイントは、以下のとおりです。
- 内覧時には家の状態をできる限り正確に伝える
- 仲介ではなく買取を検討する
- 古い家を売るのが得意な不動産会社に相談する
それぞれについて、見ていきましょう。
内覧時には家の状態をできる限り正確に伝える
築50年の一戸建てのような古い家を売却する場合は、内覧時に家の状態をできる限り正確に伝えることが大切です。
古い家を買おうとしている人はリフォームを前提としていることが多いため、正直に話してもマイナスになることは少ないでしょう。
また古い家の売却では、契約不適合責任にも気を付けなければなりません。
契約不適合責任は過去に「瑕疵担保責任」と呼ばれていたもので、「契約の内容と契約の目的物(古い家)の実態が異なっていた場合、売主が責任を負う」というものです。
例えば、売買契約書に雨漏りがあることが書かれておらず、売却後に雨漏りが発生した場合、売主はその修繕費用を支払わなければならないことがあります。
このようなリスクを回避するためにも、事前に家の状況についてしっかり伝えておくことが大切です。
仲介ではなく買取を検討する
古い家を売却する方法は仲介のほかに買取もあります。
買取とは、仲介のように一般の買主を探すのではなく、不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。
買取には、条件がまとまれば短期間で決済できるというメリットがあります。また買取の場合は、契約不適合責任を免責とする契約が一般的です。
特に古い家を売却する場合は契約不適合責任がネックになることが多いため、買取のメリットを活かせます。
ただし、不動産会社は家を買い取ってリフォームし、再販することを目的としているため、売却価格が相場より2~3割程度安くなってしまうことに注意が必要です。
古い家を売るのが得意な不動産会社に相談する
不動産会社にはそれぞれ得意分野があり、中には築50年一戸建てのような古い家の売却を得意とする不動産会社もあります。
古い家を売却する際は、古い家の売却実績が豊富な不動産会社に依頼することをおすすめします。
多くの不動産会社と提携しているリビンマッチであれば、古い家の売却実績が豊富な不動産会社が見つかる可能性が高いでしょう。
築50年の一戸建てを相続して売却する場合の節税対策
古い家を相続した場合、売却を考える方は多いものですが、相続にも売却にも税金がかかります。
特に、相続した築50年の一戸建てを売却する際には、売却活動のために費用がかかったり、高値での売却が難しかったりすることもあり、税金の支払いに困ることもあるでしょう。
そこでここからは、築50年の一戸建てを相続して売却する際の節税対策をご紹介します。
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例とは?
築50年の一戸建てを相続する際、条件を満たせば「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」の適用を受けることができます。
この特例は、売却時の譲渡所得税について3,000万円分の控除を受けられる特例で、以下のような適用要件を満たす必要があります。
- 昭和56年5月31日以前に建築されていること
- マンションでないこと
- 相続開始直線に、被相続人(亡くなった方)以外に同居人がいなかったこと
譲渡所得税は不動産を売却したときの利益に課される税金で、20.315%(所有期間5年超の場合)もの税金が課されます。
本特例の適用を受けることで納税額を大幅に減らせる可能性があるため、適用要件を満たすかどうか確認しておきましょう。
参考リンク:国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
古い家を残した状態で売却する場合
古い家を残した状態で売却する場合に被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例の適用を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 相続から売却まで居住したり賃貸に出したりしていないこと
- 売却時に一定の耐震基準(現行の耐震基準)を満たしていること
後者については、売却時に現行の耐震基準を満たしていればよいため、相続から売却までの間に耐震リフォームを実施した場合も認められます。
古い家を取り壊して売却する場合
古い家を取り壊して売却する場合には、相続から売却まで居住したり賃貸に出したりしていなければ被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例を受けられます。家を取り壊すため、耐震性の基準はありません。
ただし、古い家を取り壊すための費用がかかります。
建物の取り壊し費用は立地や建物の状況にもよりますが、木造住宅の場合3~4万円/坪が相場です。
例えば40坪の建物であれば、120万~150万円程度かかります。
本特例の適用を受けるには、相続から3年後の12月31日までに売却する必要がありますが、建物を解体して売却することを検討している場合は固定資産税に注意しておくとよいでしょう。
土地の上に建物が建っていると、固定資産税が最大6分の1になる住宅用地の特例の適用を受けられますが、建物を先に解体するとこの特例の適用が受けられなくなり、固定資産税の負担額が最大で6倍になってしまうからです。
そのため、相続した年に建物を解体して、3年後に売買契約が成立したようなケースでは、固定資産税を多く支払うことになるでしょう。
リビンマッチのように実績のある不動産会社が積極的な売却活動を行ってくれる方法を利用し、計画的に建物の解体・売却を進める必要があります。
古い家を売るなら不動産会社選びが大切
古い家を売却する際の流れや、ポイントなどについてお伝えしました。
古い家は売りにくいため、古い家の売却を得意とする不動産会社に相談することが大切です。
そのような不動産会社を自分で探すのは大変ですが、不動産一括査定サイトを利用すれば見つけやすくなります。
リビンマッチには15年の運営実績があり、全国1,700社の不動産会社から紹介を受けられるため、古い家を売る際におすすめです。
古い家の売却を検討しているなら、まずはリビンマッチを利用することをおすすめします。