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女子2人が石垣島でパイン農場を経営! 関東で本職を持ちつつ沖縄で農業を行うワケ

女子2人が石垣島でパイン農場を経営! 関東で本職を持ちつつ沖縄で農業を行うワケ

全国の農家を渡り歩いているフリーランス農家のコバマツです。今回は石垣島でパイナップルを作っている女性2人の元を訪れました。その名も「ないちゃ~パイン」。ないちゃーとは沖縄の言葉で「内地の人」、つまり沖縄の人ではないという意味です。なんと、この2人、普段は関東でそれぞれ会社員、カフェ経営という本職を持ちつつ、石垣島に通いながらパイン栽培を行っているとのこと。彼女たちはなぜそのような栽培スタイルを選んだのでしょうか? その行動力と決断力にコバマツも脱帽するインタビューとなりました。

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石垣島で「ないちゃー」が2人でパイナップル畑を営む?

今回も引き続き、石垣島の農家の取材に来ています。
南国に来たからには、やっぱり南国フルーツの生産者も取材したい!
そう思い、パイナップル農家の元へやってきました。

石垣島でないちゃーが2人でパイナップル畑ないちゃー畑1

一面に広がるパイナップル畑

ないちゃー2人が石垣島でパイン栽培島パイン黄色

株元からニョキッとなるパイナップル

女性2人でパイナップルを栽培している、というだけでも珍しいのですが、更に珍しいのがその営農スタイル。
それぞれ本職が他にもあり、しかも関東から通いながらパイナップルを栽培しているとのこと。
そんなことが可能なの? そもそもどうしてそのような働き方を始めたの?

全国の農場を飛び回っているコバマツも興味津々のないちゃ~パインのお話を聞いていきたいと思います。

まずはないちゃ~パインを運営する2人のプロフィールから!

■橋本裕美(はしもと・ひろみ)さんプロフィール

石垣島でないちゃーが2人でパイナップル畑 橋本さんプロフィール 千葉県千葉市出身。上智大学卒業後、新卒でITベンチャー企業に入社。EC決済システムの営業職として働く一方、プライベートで出会った石垣島のパイナップル農家オーナーと都内のマルシェでのパイナップル販売や現地での収穫体験ツアーの企画運営に携わる。
その経験を通じ、地方のおいしいものが都心で知られていないことに課題を感じ、地方の農産物の販売やPRに携わりたいと一念発起。EC・経営コンサルへの転職を経て、現在はより生産者に近い立場でお手伝いができる会社で日本の宝物を広めるべく活動中。
自身も生産者の立場として、月に1度石垣島に通いパイナップルを栽培する。

■荒川美幸(あらかわ・みゆき)さんプロフィール

石垣島でないちゃーが2人でパイナップル畑 荒川さんプロフィール 千葉県千葉市出身。大妻女子短大家政科食物栄養専攻卒業後、栄養士として病院勤務するも退職、カフェバリスタの専門学校を経て、飲食の道へ転職。都内で5年間バリスタの経験を積み、コーヒーを通じて人や場所をつなぐ「Cart stand PON(カートスタンドポン)」を創業。手作りのコーヒー屋台で移動販売・出張講師として活動開始。それと同時に、勤めていた店舗で出会ったパイナップル農家のオーナーの手伝いを始める。
現在は生まれ育った地元に自家焙煎コーヒーを軸とした実店舗を構えながら、石垣島と行き来し自分達のパイナップルを栽培する。

コバマツ

2人とも普段は関東の方で本職を持ちながら、石垣島でパイナップルの栽培をしているそうですね!
はい! 私は都内で平日会社員、

橋本さん

私は千葉でコーヒーショップを経営しています!

荒川さん

石垣島でないちゃーが2人でパイナップル畑 橋本さん

普段は都内で会社員として働く橋本さん

石垣島でないちゃーが2人でパイナップル畑 働いている荒川さん

千葉でコーヒーショップを営む荒川さん

コバマツ

関東から石垣島まで通っているということですよね?
そうですね。本職の合間を縫って、通ってます。

橋本さん

コバマツ

片道何時間くらいですか?
3時間くらいですね!

橋本さん

コバマツ

さ……3時間。

家から徒歩5分の土地を借りて野菜を育てていて、それだけでも大変だなぁなどと思っていた私って一体……。
そんな2人が営む、「ないちゃ~パイン」とはいったいどのような農場なのでしょうか?

ないちゃ~パインは、内地の人を意味する「ないちゃー」の私と荒川が運営している農園で、2020年の秋に農家さんから土地を譲り受けて、無農薬でパイナップル栽培を始めました。栽培だけではなく、農業体験の受け入れなどもしています。

橋本さん

東京から2000キロ離れた石垣島に畑を所有する橋本さんと荒川さん。現在は、2人交互に1カ月に1度は石垣島の畑に来てパイナップル栽培を行っているそうです。
行動力に脱帽します。

石垣島でパイン畑を持つようになったきっかけ

始まりは“おっちゃん”との出会い

コバマツもパイナップル畑でお手伝いしながら、更にインタビューを進めました

コバマツ

ズバリ聞いちゃいますが、通うのに時間もお金もかかる、こんなに遠い石垣島に土地を持って農業をしようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?
それは、おっちゃんとの出会いですね!

荒川さん

コバマツ

おっちゃん!?
私と橋本は小・中学校の同級生でもともと幼なじみなんです。以前私が働いていたコーヒーショップの目の前でマルシェが開催されていて、そこに出店していたパイナップル農家さんがコーヒーを飲みに来た際に、「今度農園に遊びにおいでよ」と声をかけてくれたんです。それが現在ないちゃ~パインに土地を貸してくれている“おっちゃん”との出会いでした。

荒川さん

コバマツ

マルシェに出店していて、たまたま荒川さんが働いているお店に休憩にきた農家さんが、今の土地の持ち主なんですね。それで本当に石垣島まで行くなんてフッ軽(フットワーク軽)過ぎです!
おっちゃんと出会うまで、石垣島に行ったことがなく、農業も未経験だったので、「良い機会だし、行ってみよう!」と思い、橋本を誘っておっちゃんの元を訪れました。

荒川さん

私はもともと、石垣島はプライベートでも足を運んでいた場所なので、それほど行くことに戸惑いはありませんでしたよ(笑)。それから、2年間おっちゃんのパイナップル畑を手伝いました。

橋本さん

畑を持つようになったきっかけ橋本さん 農作業

時間が空いたら石垣島に行き、おっちゃんの畑を手伝ってきた橋本さんと荒川さん

畑を持つようになったきっかけ おっちゃんと橋本さん

包装・発送作業をしている様子

畑を持つようになったきっかけ  マルシェ

ときにはマルシェでおっちゃんのパイナップルの販売のお手伝いをすることも

2年間、おっちゃんの畑に通い、農作業や販売のお手伝い、農業イベントの企画をしていく中で「畑を一部貸すから、自分達で一から作ってみたら」と声をかけてもらったのが、ないちゃ~パインとしてパイナップル畑を所有するきっかけでした。

橋本さん

本業を持ちながらもパイナップルを栽培するワケ

コバマツ

いくらご縁で、おっちゃんと意気投合したといっても、やはり強い思いがないと、なかなか関東から石垣島に通って農業をするって難しいと思うんですけど、橋本さんはもともと農業に対する思い入れなど、何かあったのでしょうか?
農業はおっちゃんの畑に来て、初めて関わりました。
本業は関東で、地方の知られていない良いものを発信する仕事をしているのですが、作り手の後継者不足により、日本の宝物が消えていってしまう場面も何度か目の当たりにして……。
おっちゃんの畑に通うようになり、「農業も日本の素晴らしい宝物だ。その宝物を廃れさせないためにも、自分達で作ろう」そんな思いが強まり、ないちゃ~パインを始めることを決めました。

橋本さん

コバマツ

本業で目の当たりにした作り手の後継者不足の課題と、副業でやっていたパイナップル栽培のお手伝いで感じた魅力が重なって、自分達も作り手になろう、と。
あとは、島のパイナップルのおいしさに純粋に感動して、農業デビューをおっちゃんの畑でした時「食べ物を作るってこんなに大変なんだ!」と衝撃を受けました。でも、大変だけど畑で汗を流して作業することは都会では得られない充実した経験で。そんなおいしさと充実感を与えてくれるパイナップル畑を今度は自分達で作ってみたいという思いが湧いてきました。

橋本さん

コバマツ

農業デビューがパイナップルだったからこそ、純粋に作物のおいしさと畑での体験に魅力を感じたんですね!

ないちゃ~パインの運営スタイル

コバマツ

農業体験の受け入れも行っているとのことですが、どんな参加者が多いですか?
意外と、観光客や親子連れも多いですし、ワーケーションで石垣島に来ていて仕事の合間に汗を流したい!という参加者も多くいます。体験に来てくれる方も作業要員の一員となっていて、来ていただきとっても助かっています。

橋本さん

ないちゃーパインの運営体制 農業体験者

農業体験の参加者達

ないちゃーぱいんの運営体制TABICA

体験販売サービスTABICAでないちゃ~パインの農業体験が可能

コバマツ

2人で運営しているといっても、やっぱり作業の人手は多い方が助かりますよね!
ただ、いろいろな人が手伝いに来てくれても、やっぱりまめに現場に来て作物の様子を見ないと、なかなか栽培が難しいと思うのですが……。病気や天気で一気に作物がダメージを受けてしまうケースも、農業をしている場面では多々あると思うんです。そういった時の対策やリスク回避などは何かしているのでしょうか?
正直、毎日作物の様子を見ることができないのは課題ですね。今は土地を貸してくれているおっちゃんが「草伸びてきたぞ」「パイナップル最近元気ないぞ」と現地から情報を教えてくれるので、その情報に合わせて、なるべく早めに現場に行き対処するようにしています。

荒川さん

コバマツ

やはり離れているからこそ、現場の様子を定期的に知らせてくれる人は必要ですよね。現地の人とのつながりを持つことや協力を得ることも、遠方の地域で農業をする上で大切なことになってきますね! そんなないちゃ~パインのパイナップルですが、どこで購入することができるのでしょうか?
実は、まだ収穫できない段階で、2022年の夏から本格的に収穫予定なんです。私たちが土地を所有してパイナップル栽培を始めたのが2020年の秋で、パイナップルは植えてから収穫するまで2年かかるんです。

橋本さん

うまくいけば3000個収穫できる予定です。JAに卸すと1つ200円前後の取引で赤字になってしまうので、直接取引できるレストランや個人のお客様を今年から開拓していく予定です。
なので、ないちゃ~パインは来年からが本番なんです。コバマツさんも販売一緒に手伝って下さいね!

荒川さん

コバマツ

もちろんです! 北海道で販売する際はお手伝いさせてください!
(本当にこの夏石垣島のパインを北海道で試験的に販売することが決まる。ないちゃ~パインは来年の収穫になるので2021年はおっちゃんのパイナップルを販売予定。)

ないちゃ~パインのこれから

ないちゃーパインのこれから橋本さんコバマツ農作業中2

インタビューしながらの農作業もだいぶ進みました

コバマツ

まだまだ始まったばかりのないちゃ~パインですが、今後の目標ややってみたいことなどはありますか?
まずは来年の夏、無事に自分達のパイナップルを収穫して、皆さんにパイナップルの魅力を知ってもらいたいですね。
もう一つは、本職があっても、2地域居住でも、農業ができる!ということを自分達で証明したいです。これからの農業の形として、私たちの営農スタイルを多くの人に知ってもらいたいですね。

橋本さん

コバマツ

まさに今、場所にとらわれない働き方が注目を集めていますからね! 農業の分野でも、そういった土地にとらわれない形が広まっていけば、「農業おもしろそう!」「やってみたい!」と思う人も増えていきそうですね!
ゆくゆくは、ないちゃ~パインを観光農園にして食育の場にしていきたいという思いもあります。私自身が石垣島に来て初めて農業に触れて、「農業ってこんなに大変なんだ」と思い、食に対する意識が変わりました。石垣島といえば海で観光というイメージですが、畑で農作業をするというコンテンツも作っていきたいですね。

荒川さん

コバマツ

私も実際に石垣島に来るまで、石垣島に農業なんて本当にあるの?と思っていたので、それは他の観光客にとっても目を引くものになりますね!
あと、私は飲食業をやっているので、自分達で作ったパイナップルを千葉のお店で販売したいですね。そこで興味を持ってくれたお客さんをそのまま石垣島のパイナップル畑に連れていく農作業ツアーなど組んでいきたいです!

荒川さん

コバマツ

お店が石垣島の生産地と都会の消費者をつなぐ窓口になりますね! 本職があるからこそ生み出せるつながりですね。

ないちゃーパインのこれから橋本さん荒川さん後ろ姿

「関東在住で、石垣島でパイナップルを栽培している女性2人組がいる」
その話を聞いた時、さすがのコバマツもひるみました。

地域にはいいものがあるのに知られていないこと、更にその作り手達が減少していること。
そこに課題を感じ、まずは自分達が作り手になり、地方の魅力を発信しようと始めたパイナップル栽培。
ただの作り手ではなく、関東と石垣島を往来し、都会にいながらも島に土地を所有して農業ができることを自分達で証明する。
そのことにより、農業の可能性や多様性を一人でも多くの人に感じてもらい、農業に関わる人が増えてほしい。
彼女たちの背中を見て、地域や農業に新しい可能性を感じる人が増えていくのではないかと感じました。

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