田舎の実家はどうするのが正解?相続する際の問題点
田舎の実家を相続する際は、それによってさまざまな問題が生じる可能性があることを理解しておくことが大切です。
ここでは、具体的に発生する問題について解説します。
固定資産税の負担
まず、実家を所有しているだけで固定資産税が毎年発生します。
また、2015年に施行された空家等対策の推進に関する特別措置法により、管理されていない空き家が行政によって「特定空家」に指定された場合、土地の固定資産税が最大で6倍になります。
特定空家に指定される要件は、「倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態」「著しく衛生上有害となるおそれのある状態」などであり、相続した実家に住まず放置する場合は指定を受ける可能性があります。
管理の必要性
実家を相続しても住む人がいない場合は、定期的に清掃をしなければなりません。
特に夏場は雑草の成長が早く、1~2カ月放置するとすぐに生い茂ってしまうでしょう。
相続した田舎の実家と現住所が離れている場合、清掃のために実家を訪れるのは大変手間がかかります。
そういった場合には空き家管理サービスを活用することもできますが、費用を負担する必要があります。
具体的な費用は利用するサービスによって異なりますが、1人あたり2,000~3,000円程度です。
なお、シルバー人材センターを利用すれば、自治体によっては1時間あたり1,000~1,500円程度で依頼できるケースもあるため、確認してみるとよいでしょう。
放置家屋は犯罪の温床
昭和38年には52万戸だった空き家は、平成5年には448万戸、平成30年には846万戸と右肩上がりで増えており、犯罪の温床になることが問題になっています。
例えば、空き家で他人が大麻を栽培していた、詐欺グループの基地になっていたなどの事件が起こっています。
近隣住民とのトラブル
空き家が管理されていないと、雑草が生い茂ることによる景観の悪化や、ゴミが捨てられることによる悪臭、さらには建物が倒壊して通行人に被害が及ぶといった問題が起こる可能性があります。
これらが原因で、近隣住民との間でトラブルが起こる可能性があるため注意が必要です。
自然災害により建物が倒壊して近隣住民や通行人に損害を与えた場合も、その原因は建物が適切に管理されていなかったことによるものであれば、損害賠償を請求されることもあります。
田舎の実家はどうすると活用できる?
田舎の家は放置するとさまざまな問題を引き起こしますが、活用すればそのような問題は起こりません。
ここでは、田舎の家の活用法について見ていきます。
リフォームして貸し出すことで収入を得る
田舎の実家は設備が古くなったり、現在の耐震基準を満たさなかったりしていることがあるため、そのままでは賃貸に出すのが難しいケースが多いでしょう。
その場合、リフォームをすれば賃貸に出せる可能性があります。
ただし、リフォームをしても必ず借り手がつくわけではないことを理解しておきましょう。
借り手がつかず、自分が住むわけでもない場合は、リフォーム費用の分だけ損をしてしまうため注意が必要です。
また、実家が日本古来の技術を用いて建てられたものである場合は、古民家として賃貸や民泊施設の需要が期待できるため、リフォームをするとかえって家の価値が下がるおそれがあります。
寄付してコストを削減する
賃貸や施設化などの方法で活用することが難しい場合は、寄付して固定資産税や管理などのコストを削減することを検討するとよいでしょう。
とはいえ、寄付を受け付けてもらうには寄付先がその建物や土地を活用できることが前提条件であり、実際は寄付を受け付けてもらえないケースが少なくありません。
自治体にとって固定資産税は収入源であり、寄付を受け付けることで収入が減ってしまうことも理由の1つです。
不動産を寄付する方法については、以下の記事でも解説しています。
関連リンク:土地を自治体へ寄贈する場合は必ず引き取ってもらえる?寄付の方法も解説
その他の活用方法
その他の活用方法として、駐車場や太陽光発電、老人ホーム経営などの方法で活用することも検討するとよいでしょう。
とはいえ、田舎では駐車場の需要はあまりありません。
また、老人ホームであれば需要を見込めますが初期費用が多額なうえにある程度広大な土地が必要で、うまくいかなかった場合は大きな借金が残ることもあります。
太陽光発電には集客の必要がないというメリットがありますが、初期費用がかかるほか、自然災害により設備が破損するリスクがあります。
田舎の実家や、その土地の活用はリスクが大きく、デメリットが大きいことを踏まえて、寄付や売却など相続した実家を手放す方法を検討することをおすすめします。
古家付き土地は売却できる?注意したいポイントを確認
相続した実家を活用する方法についてお伝えしましたが、「どれも簡単ではない」と感じたのではないでしょうか。
田舎の実家は、活用や寄付以外に売却も検討できますが、こちらもうまく進めるためにはコツがあります。
ここからは、田舎の実家をどうするか迷ったときに「売却」という方法を選んだ際の注意点についてお伝えします。
早期売却のためには取り壊し費用を見込んだ値引きが必要
家が古い場合は、そのまま住むのではなく建て替えることを検討している方も買い手のターゲットになります。
そのようなケースでは、建物の取り壊し費用を見込んだ値引きを検討するとよいでしょう。
解体費用は、木造住宅の相場であれば、3万~4万円/坪です。
例えば、実家の延床面積が40坪程度であれば、120万~150万円程度の取り壊し費用がかかることになります。
思わぬところで瑕疵担保責任に問われる場合がある
古家を売却する際は、瑕疵担保責任に気を付けなければなりません。
瑕疵担保責任とは、例えば売却後に雨漏りやシロアリ被害が発生した場合、売却時にそのことが買主に知らされていなければ、一定期間は売主が買主に対して責任を負わなければならないというものです。
2020年4月の民法改正によって、瑕疵担保責任は「契約不適合責任」となりました。
契約不適合責任とは、契約の目的物と売買契約書の内容が合っていない場合に、売主が買主に対して責任を負うというものです。
基本的な内容は瑕疵担保責任と同じですが、これまで以上に契約書に記載する内容が重要になったといえます。
古家を売却する際は地中埋設物など含めて、知っている不具合についてはすべて売買契約書に記載しておくことが大切です。
田舎の実家は古家付き土地や古民家として売却しよう
田舎の実家を売る場合は、建物を解体して土地として売ることも考えられます。
しかし、建物を解体せず、古家付き土地や古民家として売却するほうが、さまざまなメリットがあることをご存じでしょうか。
ここでは、田舎の実家を古家付き土地や古民家として売却することの具体的なメリットをお伝えします。
なお、古い家の売却のポイントは以下の記事でも詳しく解説しています。
関連リンク:古い家を売るにはどうする?築50年一戸建て売却や相続時のポイントを紹介
固定資産税や都市計画税を節税できる
建物を先に解体すると、固定資産税や都市計画税が高くなってしまいます。
これは、そもそも土地の上に建物が建っているときには、固定資産税が最大で6分の1になる特例が適用されているからです。
都市計画税も、特例の適用を受けると固定資産税が最大で3分の2になります。
そのため、先に建物を解体した状態で土地を所持していると特例が適用されず、固定資産税が最大で6倍(都市計画税は最大3倍)になってしまいます。
買主が物件購入時に住宅ローンを利用できる
家が建っていれば、買主は住宅ローンを組むことができます。
住宅ローンはその他の個人向けローンと比べても非常に低い金利で借りられますが、土地だけであれば住宅ローン以外の方法を検討しなければなりません。
よって、古家付き土地や古民家として売却するほうが、買主にとってメリットがあります。
「古民家」需要で購入者が見つかる場合がある
状態のよい古家であれば、セカンドハウスや民泊経営、カフェ・ギャラリー経営など、古民家を求める人に売却できる可能性があります。
このような田舎の土地ならではの古民家需要にも対応できることも、実家を解体せずに売却するメリットです。
田舎の実家を古民家付き土地や古民家として売る場合、そのような物件の売却に慣れている不動産会社を見つけるのに苦労することがあります。
そうした場合、リビンマッチを利用すれば、全国約1,700社から売却物件に適した不動産会社を紹介してもらえます。
田舎の実家の売却を検討しているなら、まずはリビンマッチを利用するとよいでしょう。
活用・売却が難しい田舎の実家は相続放棄という選択も
田舎の実家の活用や売却が難しい場合は、相続放棄という手もあります。
相続放棄をすれば固定資産税や都市計画税などの税負担はありませんし、相続後の管理の手間もありません。
しかし、以下のことについては注意が必要です。
相続放棄は他の財産もすべて放棄する必要がある
相続放棄では特定の財産だけ選んで放棄することができず、他の財産もすべて放棄しなければなりません。
そのため、現金や株式などのプラスの財産がある場合や、ほかに活用できそうな不動産がある場合はおすすめできません。
放棄後にも相続財産管理人の選任は必要
相続放棄をすると、次の順位の人に相続の順位が移ります。
例えば被相続人(亡くなった方)に配偶者と子がいる場合、子が相続放棄をすると親が相続人となり、親も相続放棄をすると次の順位である兄弟姉妹が相続人となります。
すべての法定相続人が相続放棄をすると相続人がいない不動産が取り残されることになり、その場合は相続財産管理人を選任しなければなりません。
仮に、相続財産管理人が選任される前に家が倒壊して他人に損害を負わせた場合、損害賠償などの問題に発展する可能性があるため注意が必要です。
田舎の実家の相続・相続放棄の判断ポイント
田舎の実家をどうするか迷ったとき、相続か相続放棄かを判断する際のポイントは以下の3つです。
財産全体のバランスを確認する
まず、財産全体のバランスを確認しましょう。
プラスの財産が多い場合は相続したほうが多くのメリットがあり、マイナスの財産が多い場合は相続放棄を検討すべきです。
ただし、プラスの財産が多い場合でも、長期間活用しない不動産を所有することにリスクを感じるなら相続放棄を検討してもよいでしょう。
プラスとマイナスのバランスを見て、総合的に判断することが大切です。
相続には、すべてを相続する「単純相続」とすべてを放棄する「相続放棄」のほかに、「限定相続(限定承認)」という方法があります。
限定相続とは、相続によって得たプラスの財産の範囲で被相続人の債務を返済することです。
「マイナスの財産が多いが、どうしても相続したい財産がある」といった場合は、限定相続の利用を検討するとよいでしょう。
売却価値があるかどうかを確認する
「思い入れのある実家を放棄したくない」という方もいるでしょう。
この場合、立地がよい、家や設備の状態がよいなど、家として正常に機能していて価値があると判断できる場合には、相続して活用や売却を検討するのも手です。
田舎の実家をどうするか判断する際は、まずはリビンマッチを利用して、価値を査定してもらうことをおすすめします。
そうすることで、売却価値が高いようであれば相続して売却を、売却価値がほとんど期待できないようであれば、相続前の段階で相続放棄を検討するといった判断が可能になります。
その他に活かす方法を確認する
土地の立地条件や周辺地域の状況によっては、将来的に田舎の実家を活用できるようになるかもしれません。
例えば実家の周辺の土地に開発の予定がある場合は、相続の時点では価値が低くても将来価値が高くなる可能性があります。
ただし、開発の予定は数年~数十年単位で延期になったり、白紙に戻ったりすることがあるため、そのことも想定した上での判断が必要となります。
田舎の実家をどうするか悩んだら、売却がおすすめです
田舎の実家をどうするか迷った際の、活用や売却、相続放棄などの方法をお伝えしました。
実家が田舎にあるという方は、集客が難しく、活用には向かないケースが少なくありません。
とはいえ、相続放棄をするとすべての財産を放棄することになります。
田舎の実家を活用しない場合は、相続後に古家付き土地や古民家として売却するとよいでしょう。
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