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就農から10年余り、無農薬・無肥料の農家が自己資金で家を建てられたわけ

連載企画:農業経営のヒント

就農から10年余り、無農薬・無肥料の農家が自己資金で家を建てられたわけ

家を建てることは、新規就農者にとって大きな意味を持つ。その土地でずっと農業をやっていくと決めることが前提になるからだ。そのためには、営農が軌道に乗っていることも必要になる。東京の郊外に家を建てた野菜農家、井垣貴洋(いがき・たかひろ)さんと美穂(みほ)さんの夫婦にインタビューした。

1000万円強をほぼすべて自己資金で

貴洋さんと美穂さんはともに40代前半。もともと貴洋さんは福祉関係の財団法人に勤め、美穂さんは保育士として働いていたが、農業を仕事にしたいと思い、東京都西多摩郡瑞穂町で就農した。2009年のことだ。

栽培面積は0.7ヘクタール。約50種類の野菜を、農薬と肥料を使わずに栽培している。育てているのは昔からある品種。種は資材店などで買ってくるのではなく、毎年自分たちで種取りしている。できるだけ自然な形で農業をやりたいという思いが全体を貫いている。

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家は2021年5月末に完成した。ログハウス風の造りは、できるだけ人工的なものと距離を置きたいという2人の姿勢にマッチしているように見える。屋内に入ると、リビングの壁一面のガラス窓の向こうに、家と一緒に買った畑が広がる。もともと借りていた畑も、家から歩いて数分のところにある。

画像1)リビングと畑

リビングの前に畑が広がる

就農から10年余りで、2人がようやく手にした「職住一体」の生活がそこにあった。美穂さんは「ずっとこの暮らしを目指していた」と語る。

2人には11歳の娘と7歳の息子がいる。以前住んでいた団地は畑と離れた場所にあったため、子どもが気軽に畑に来ることができなかった。いまは畑が家の近くにあるので、子どもが学校から帰ってくると、親を探して畑に走ってきたりする。貴洋さんは「それを見るとうれしくなる」と話す。

畑を買う資金などは、金融機関から借り入れた。だが、家の敷地と建設費にかかった1000万円強はほぼすべて自己資金でまかなった

2人はなぜこのタイミングで団地を出て、自分たちの家を建てたのか。そして、自宅を購入するための資金をどうやってためたのだろうか。

画像2)種

自家採種したさまざまな野菜の種

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