小ネギの栽培時期
小ネギの発芽適温は20~25度前後、生育適温は20度前後で、暑さは得意ではありません。種まきは3~10月ごろが育てやすいでしょう。種をまいてから収穫までは早くても2カ月と、細い見た目の割には時間がかかります。栽培期間を短くしたい場合は、苗を購入するか、市販の小ネギから再生栽培をすればもっと早く収穫することが可能です。半日陰や室内でも育ちますが、日当たりが良いほうが生育は良好です。
畑の準備
ネギは酸性土壌を嫌うので、播種(はしゅ)前には元肥、堆肥(たいひ)とともに苦土石灰をまいておきましょう。根は土の中で浅く張るため、頑張って深く耕さなくても大丈夫です。ただし、乾燥には強いが過湿に弱いという性質なので、排水がしっかりできるように溝はきちんと掘ってください。通気性の悪い畑なら高畝にしておきましょう。プランターの場合は市販の野菜用培養土を利用します。
小ネギの播種
ネギの種は寿命が短いため、新しく買ってきた種を使いましょう。畑やプランターに直接種をまく場合は条間15~20センチですじまきします。支柱などで深さ1センチの溝をつけ、1センチ間隔で種をまいていきます。種をまき終わったら1センチ程度覆土し、軽く手やクワで押さえてやります。だいたい発芽までは1~2週間かかります。芽が出るまでは乾燥しないように気を付けて随時水やりをしましょう。稲わらや寒冷紗(かんれいしゃ)などを被せてやると乾燥しにくくなります。
セルトレイに種をまいて苗を作ることもできます。その場合は3~4粒ずつ種をまき、0.5~1センチ覆土します。セルトレイは特に土が乾燥しやすいので、濡れた新聞紙をかけるなどして発芽まで乾かないように注意しましょう。ポットの場合はばらまき、横長のプランターの場合は2列のすじまきにします。
小ネギの間引き
芽が出て混みあってきたら約3センチ間隔で間引きをします。長さ6~10センチくらいのネギは「芽ネギ」と呼ばれる高級食材です。おうちで副産物として収穫できるのはうれしいですね。小さくてもしっかりネギの香りがしてお料理の薬味に使えるので、間引きネギをさっそく味わってみましょう。
小ネギの定植
セルトレイにまいた場合は本葉が4~5枚になったら定植します。ネギは1本ずつ分けずにそのまま数本ずつ植えて大丈夫です。畑では15センチ間隔を目安に植え付けます。ポットで作った苗や、ホームセンターなどで売っている苗を買って植える場合はぎっしりと小ネギが生えていることがあります。この場合は、3~5本ずつに分けて定植します。植え付け直後は苗がしなっとして枯れたように見えますが、きちんと水やりをしておけば復活するので大丈夫です。プランターに定植する場合はスペースが狭いので3~5本ずつ10センチ間隔、もしくは1本ずつ3センチ間隔で植えていきます。
小ネギの追肥
葉が黄色っぽくなったら追肥をします。化成肥料を株元にまくか、規定の倍率に薄めた液肥をじょうろでやりましょう。追肥するときに除草もかねて中耕します。中耕することで土に空気が入り根の酸欠を防ぎ、生育が良くなります。市販の野菜用の土には「○カ月分の肥料入り」などの表記があることも多いので目安にして、その期間を過ぎてから追肥してもいいでしょう。長期間収穫するためには定期的な追肥が大切です。
小ネギの収穫
小ネギが30~40センチになったら収穫します。根っこから抜いてしまうと収穫は一度で終わってしまいますが、地際を残して刈り取れば新芽が出てくるので長期間にわたり何回も収穫することができます。根元を長く残して収穫すれば2回目の収穫が早くなり、根元を少ししか残さなければ成長に時間がかかるため収穫できるのは遅くなります。また、あまり短く切ると切り口に土がついて腐りやすくなるので、5センチ以上残して刈り取るといいでしょう。ネギが腐るととても臭いネギ汁が出ます。
小ネギの再生栽培
スーパーなどで売っている食用の小ネギを植えることも可能です。すでに大きく成長している段階で植え付けるので収穫までの日数も短く、手軽に取り組めておすすめです。
小ネギを買うときは新鮮で元気そうな根がついているものを選びましょう。根元から5センチくらい葉を残した位置で切り、根がぬめぬめしているときは水でよく洗い流します。プランターなどの容器に3~5本ずつ10センチ間隔、もしくは1本ずつ3センチ間隔で植え付け、たっぷり水をやりましょう。葉色が薄くなってきたら追肥として化成肥料を与えます。種から育てる場合と同様に何度も収穫することができるので、追肥をしながら収穫を楽しみます。
水耕栽培にすることもできます。その場合はコップに立てやすいように根元から10センチくらい葉を残した位置で切ります。根をきれいにした小ネギをコップに入れ、根が浸るくらいの水を入れます。前出のようにネギは過湿が嫌いです。葉の部分までなみなみと水を注ぐと葉が腐りやすくなるので注意しましょう。コップの水は悪くなりやすいので、夏場は朝晩2回水替えをします。冬場の寒い時期は2日に1回の水替えでも大丈夫です。水だけで育てているとだんだん元気がなくなってくるので、市販の液肥を与えて養分を補給してあげましょう。
小ネギの主な病害虫
アブラムシやスリップスがよく来る害虫です。どちらも非常に小さいので大した被害はなさそうに思ってしまうかもしれませんが、ネギの汁を吸い、口針からウイルス病を媒介してひどいときは枯死させてしまう厄介な虫です。防虫ネットで防除する場合は目合いが0.4ミリ程度の非常に細かいものが必要です。被害がないように見えても、虫を見つけたら発生数が少ないうちに早急に農薬をまいて駆除することが重要です。
病気ではべと病やさび病がよく出ます。べと病になると葉が黄白色になり、そこに灰白色のカビが生え、ひどくなると枯れてしまいます。残暑の頃や雨の多い春と秋によく発生するので予防的に農薬を使うと効果的です。病気の葉が土に残るとそこから菌が発生して次の年も被害が出るので、見つけたらすぐに畑の外に処分します。連作や排水の悪い場所での作付けは避けましょう。
さび病は葉にオレンジ色っぽいぶつぶつができるので見た目にもわかりやすい病気です。春と秋に降雨が多いとよく発生します。肥料が多すぎても少なすぎても出やすい病気です。こちらも予防的な防除が重要です。
小ネギは一度植えてしまえば次々に収穫できるのがうれしいところです。控えめに収穫してあげればあっという間に元通りの姿に伸びてくるので、少量栽培でも頻繁に収穫することができます。水耕栽培の場合はキッチンに置いておくと水替えが楽なのでお世話も簡単です。再生栽培は一年中苗が手に入るので、虫がついたり病気になってしまったときは潔くあきらめて、また新しく栽培を始めましょう。キッチンバサミでさっとネギを収穫できる生活は、なかなかの満足感が得られますよ。
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