いい肉の日!せっかくなので和牛ステーキに色とりどりの野菜の付け合わせを♪
早いものでもう年の暮れ。
カレンダーを眺めて気づいた11月29日は「いい肉の日」ではないですか! 一つ奮発して牛ステーキでも。「黒毛和牛のサーロインはいかがでしょうか」と天の声がささやくので「せっかくなのでそれ、いただきます」と心の中で答えてみた。
牛肉は、良質のタンパク質はもちろん、ナイアシン、ビタミンB12、亜鉛など、エネルギー生産、造血、タンパク質とDNAの合成に必要な栄養成分が勢ぞろい。左脳にもインプットして、黒毛和牛のサーロインステーキ肉を買いに。
栄養バランスと彩りもよくするため、付け合わせの野菜も忘れずに!
お買い物に来たスーパーで、初めて見るこのマークはなに?
いざステーキ肉と野菜を買いにやって来たのは、イトーヨーカドー大森店(東京都大田区)。
イトーヨーカドーのプライベートブランド「顔が見える食品。」は、商品パッケージに生産者のイラストとQRコードが載っていて、誰が、どこで、どのように作ったかをスマホで確認できるんですよねと独りつぶやき「顔が見える野菜。」を買い物かごにイン。
店の奥へと歩みを進めると精肉売場。牛肉コーナーがひときわ輝いて見えます。どれもおいしそうなお肉の中で、特に目を奪われたのは「熟成黒毛和牛 いわて遠野牛」。その霜降りの美しさは見ただけで口の中に旨みがじゅわっと広がります。
いわて遠野牛もまた「顔が見えるお肉。」の銘柄の一つ。パッケージに生産者のイラストとQRコードが付いているのは他と同じですが、何かが違う……。この芽が出たようなロゴマーク、一体何を意味するのだろう?

右下の黒丸の中に見慣れぬロゴマークが・・・
「JGAP(ジェイ・ギャップ)認証のことですね」。精肉担当の横山太志さんが教えてくれました。
JGAPはGAPの一つです。GAPとは世界中で取り組まれている「よい農業の取り組み(Good Agricultural Practice)」のことでJGAPはその日本版(Japan GAP)。農畜産物を生産する際に、農場が適切な手順を踏んで、きちんと管理を行い、記録を残すことで、食品安全、労働安全、環境保全を担保する取り組みです。
農場や生産団体が、この取り組みを第三者機関に評価してもらって合格を果たしてJGAP認証を取得すれば、晴れて「JGAPロゴマーク」を表示することができるのだそうです。

「J」から芽が出たような形のJGAPロゴマーク
なるほど意味はわかった! で、このマークを選ぶとどうなる?
JGAP認証は農産物(青果物、穀物、茶)が2007年から、家畜・畜産物は2017年から始まりました。JGAP認証を取得するには、食品安全の他にも、環境保全、労働者の安全、家畜の健康、アニマルウェルフェアなどにも取り組むことが求められていて、SDGsの目標と重なるものがいくつもあります。
「畜産のJGAPは、全部で113にもおよぶ項目があるんですよ」と聞いてチェックの細かさに驚きます。認証を取るまでには、作業工程や安全管理のマニュアル化などの準備をしなければなりません。さらに更新するには毎年審査を受け続けます。
おいしいお肉の背景には、生産者さんの地道な努力があるんですね。

株式会社イトーヨーカ堂 マルシェ部 精肉担当マーチャンダイザー 横山太志さん
「そうなんです。生産者の方は丹精をこめて育て、環境や労働条件にも配慮し、持続可能な農業に取り組んで頂いています」と横山さん。
「そのことをお客様にもしっかりと伝えて、販売していくことが小売の役割だと思っています。小売が情報の発信原として生産者の思いを伝えていかないと持続可能な農業につながりません。流通小売を担うイトーヨーカ堂がプライベートブランドとして、生産者さんと一緒に取り組ませていただいているんです」。
イトーヨーカ堂では「いわて遠野牛」を一頭丸ごと買い取り、東日本の約40店舗で取り扱っています。そして生産者がていねいに育てた牛たちを店頭POPやパッケージで紹介して、生産者の情報と共にお客様に届けています。私たちはそれらの商品を選んで食べることで、JGAPに取り組む生産者を応援することができます。
それが地球環境や地域社会の未来に繋がるなんて、なんだかいい話ですよね。

生産者のこだわりなどが書かれた店頭POP。いつも見過ごしてしまいがちだけど、これからはじっくり読みたい
この牛を育ててくれたのはどんな人?
「いわて遠野牛」の生産者は、持続可能な農業だけでなく、食味にも徹底してこだわっています。遠野産の飼料米を与えて育てた牛の肉は、脂に旨みが増しながらもあっさりとして胃がもたれません。ちなみに、ステーキは塩、ワサビ、醤油で食べると肉の旨みが引き立ちますと、入社以来精肉一筋の横山さんから伝言を預かりました。
この「いわて遠野牛」は、東北復興のプロジェクトとして、岩手県遠野市、精肉メーカー、イトーヨーカ堂の三者で始まったものだそうです。子牛の繁殖から肥育、加工、販売までが一体となった地域活性化の取り組みです。
「いわて遠野牛をフラッグシップに、他の生産者さんとも一緒にSDGsに取り組んでいきたいですね。お客様が共感して生産者のファンになってくれたら嬉しいです」と横山さん。
そんな「いわて遠野牛」の農場があるのは、岩手県内陸部の夏も涼しく(牛は暑さが苦手!)静かな山の中。そんな牧場の牛たちは人なつっこく、大切に育てられている証拠なんだとか。
ところで、JGAPがSDGsに貢献できることは分かったけど、生産者さんが取り組むのはいろんな苦労もありそうです。生産者さんって、どんな人なんでしょう・・・。
「生産者の佐々木学さんは、日々一頭一頭と向き合っている真面目な人です」と横山さん。なるほど。佐々木さんが、なぜ、どんな思いで、どんな取り組みをしているのか、興味がわいてきました。
1年に1度の「いい肉の日」。食卓に並んだ食材がどんな思いで作られているのか、どんなところから届いているのか、あなたも思いを馳せてみませんか。
もしかしたら、何気なく選んだその肉も野菜も、SDGs貢献の入り口「JGAP」商品かもしれません。
スーパーでお買い物をするときは、ぜひ葉っぱが芽吹いたロゴマークを探してみてくださいね。
取材協力
お問い合わせ先
一般財団法人日本GAP協会 Japan GAP Foundation