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フォロワー18万人のツイッター、JA全農が打ち明ける「バズるための秘訣」

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

フォロワー18万人のツイッター、JA全農が打ち明ける「バズるための秘訣」

農業関係者の間でも、ツイッターで発信する人が増えている。自慢の農産物をアピールしたり、栽培技術について意見交換したり、営農の悩みを訴えたり。そんな中で、フォロワー数が18万人を超す人気のアカウントがある。全国農業協同組合連合会(JA全農)のツイッターだ。担当者の福田敦子(ふくだ・あつこ)さんに、フォロワーを引きつける「つぶやき方」の秘訣(ひけつ)を聞いた。

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反響がなかった失敗、その理由は

福田さんは大学を出た後、2015年にJA全農に入った。家畜の病気の検査を担当したが、「ちょっと合わない」と感じて2年後に退職。医療機関が対象の広告代理店で2年働いた後、「広報の仕事をしたい」と思うようになり、かつての上司に相談してJA全農に再就職した。2019年7月のことだ。

ちょうどそのタイミングで、JA全農はツイッターアカウント「全農広報部【公式】日本の食を味わう」を開設した。当時、どんな情報をどう投稿したらいいのか、具体的な方針はなかったという。担当になった福田さんが、フォロワーを増やすための方法を模索する日々はこうして始まった。

投稿を軌道に乗せることができた理由を理解するため、あえて福田さんに「うまくいかなかったケース」から聞いてみた。往々にして成功よりも、失敗の中に知っておくべきポイントが潜んでいるからだ。

福田さんが働くJAビル(東京都千代田区)

このリクエストに対し、福田さんは2019年7月23日のツイートを示してくれた。土用の丑(うし)の日の直前に投稿したこのツイートは、ウナギ以外に「う」の字がつくものを食べるよう提案する内容。ニガウリの「ウ」に引っかけて、「ゴーヤチャンプルなんていかがでしょう?」とつぶやいた。

この投稿に対する「いいね」は3件。コンスタントに数千件に達するいまの状況と比べると、信じられないほどの反響の少なさだ。なぜツイートを見た人の心に響かず、投稿が拡散されなかったのか。その点について質問すると、福田さんは「読んだ人にとって役立つ要素がない」と答えた。

「たんに『土用の丑の日ですね』と伝えただけ。それがツイッターで流れてきても、見た人は『ふうん』ぐらいの感想しか持たない」福田さんはそうふり返る。「食について伝えるという目的は大枠ではあったが、そのためにどういうことをツイートすべきかというアイデアはなかった」という。

ほかにも棚田の写真を撮って投稿したり、JA全農が開発に関わったドライフルーツを紹介したりしてみたが、思うようにフォロワーは増えなかった。フォロワー数が多ければ目標達成とは考えていなかったが、見る人が少なければ発信する意味も限定的になる。そのことに悩む時期が続いた。

フォロワーが急増したコロナ下のツイート

転機は2020年4月に訪れた。新型コロナウイルスの感染拡大で小中学校が休校になり、飲食店も営業を縮小したことで、牛乳が余ることが懸念されていた。売れ残った牛乳が廃棄になるのを防ごうと、農林水産省が牛乳やヨーグルトを多めに消費するよう呼びかけるキャンペーンを展開した。

福田さんはこの動きに「乗った」。牛乳とヨーグルトを買い、砂糖を混ぜて家庭でラッシーをつくるよう提案したのだ。ラッシーをつくる手順を示したこのツイートが「運良くバズって」(福田さん)、フォロワー数はそれまでの数百人から一気に約1万人になった。当人が予想もしていなかった急増だった。

この投稿で重要なのは、文章の書き方で手がかりをつかんだ点だ。SNS(交流サイト)の世界には、独特の定型的な言い回しがある。福田さんはラッシーのつくり方を伝えるにあたり、「…聞こえますか…みなさん」という言葉から文章を書き始めた。ツイッターでときに使われる構文だ。

福田さんは「もし『酪農家が困ってます』みたいな普通の文章を載せても読まれなかっただろう」と話す。牛乳の廃棄のリスクという本来なら深刻な話題を、ツイッターの構文という「カジュアルな表現方法」で伝えたことで読む人の共感を呼び、人気アカウントへの飛躍のきっかけをつかんだ

反響の大きかったツイートをもう一つ取り上げよう。

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