半信半疑だったバイオスティミュラント資材の効果を実感。肥料5割削減に挑戦中
京野菜の生産が盛んな洛北・左京区。八隅農園の八隅真人さんは、夏に数種類の野菜(面積7反)と冬にはすぐき菜(面積6反)を家族4人で栽培しています。収穫した野菜はほとんどが直接販売で、毎冬自家で漬け込む「すぐき漬け」を楽しみにする顧客も多くいます。
「おいしい野菜をつくるために、作物にとって環境のよい土であるように気を配っています」と言う八隅さん。堆肥をメインに油かすなどの有機物を入れて土づくりをしています。
肥料や農薬を減らしても、高品質で収量を増やせる農業を目指して、2021年に初めてすぐき菜でバイオスティミュラント資材の実証にチャレンジしました。
バイオスティミュラントとは、植物や土壌によりよい生理状態をもたらす物質や微生物などのこと。土壌環境を整えて植物が本来持つ力を引き出すことが期待されています。今回、八隅さんが採用したのは、植物活性剤『フジミン®』です。フジミン®には、自然界に微量に存在する腐植物質の一種である「フルボ酸」という有機物質が含まれています。フルボ酸には、土壌中のミネラルを根が吸収しやすい状態にして運ぶキレート効果があります。
「本当に肥料が減らせるのかと最初は半信半疑でした。経験上、肥料が切れたら育たなくなるのが目に見えていたので」と八隅さん。従来の土づくりへ『フジミン®』を施用したところ、「収穫10日前には葉丈の高さがぜんぜん違っていました」と嬉しい驚きがありました。この結果を踏まえて、2022年は夏野菜の京賀茂なすなどの作目で肥料5割減に挑戦しています。
『フジミン®』施用畑で反収6%アップ。βカロテンとアミノ酸成分量の向上も
主に腐植土壌に存在するフルボ酸は、自然界ではごく微量しか生産されない貴重な資源で、日本ではほとんどを輸入に頼っています。国土防災技術株式会社は、国産の森林資源(木質繊維と有機酢酸)を利用したフルボ酸溶液の量産化に成功。商品化した『フジミン®』で国内外の農地改善や緑化に貢献しています。
今回、京都市の環境保全型農業実証事業として『フジミン®』を使用した実証区と使用しない対象区で、肥料・農薬の使用量、農産物の収量・品質を比較しました。
八隅さんのすぐき菜で、まず見て取れたのは生育の早さ。対象区よりも後に撒いた『フジミン®』の実証区を先に収穫するほどの早さに驚いたそうです。「早く収穫できると年内に漬け込んでお歳暮で販売できるので気持ちにも余裕ができます」と八隅さん。
収量にも変化が見られました。実証区では収穫前から明らかに葉丈が高く育ち、収穫したカブも大きく、収量は前年度10aあたり50カゴが当年度は53カゴに増加しました。
「今年のすぐき漬けはおいしいと、お客さんから言ってもらえたのが一番嬉しかったです」と八隅さん。すぐき菜の栄養分析の結果では、実証区でβカロテンやアミノ酸成分が高い結果となりました。
注目したいのは栽培前後の土壌分析の数値です。収穫後に土壌中のリン酸、カルシウム、マグネシウムの数値が実証区で大きく低下していたことから、フルボ酸のキレート効果で効率よく作物に吸収されたことがうかがわれます。
使い勝手で選ぶなら、長く効く固形の『フジミン®Forest』
今回の実証実験では、液体の『フジミン®』と新商品で固形の『フジミン®forest(フォレスト)』を使用しました。『フジミン®』は木酢液がベースで防虫も期待できます。『フジミン®forest(フォレスト)』は有機コンポスト資材を混合し石膏で固めたペレット品や細粒品の固形資材。微量のリン酸・カリ・カルシウムを含んでいます。もともとは水の運搬が困難な山中で植栽した苗の生育促進に使う林業用資材として開発されました。両者の作業性も八隅さんに評価してもらいました。
「『フジミン®』を500倍希釈して撒いたすぐき菜の畑では、よく出ていたヨトウムシをほぼ見なかったので驚きました」と八隅さん。京賀茂なすにはアブラムシが付きましたが、「虫は弱い株につきやすいので作物自体が強くなれば」と期待します。また、『フジミン®』には土壌環境を整える作用があるので、虫が増える原因となる窒素過多を防ぐとも考えられます。
両者の作業性について聞いてみると、「露地栽培のすぐき菜には、手撒きできる『フジミン®forest』が使いやすいです。ハウス栽培の京賀茂なすは潅水時に散布できる液体が便利。毎週希釈しての散布は大変ですが隔週なら」と率直な感想。栽培環境や作物に応じてうまく組み合わせて使うとよさそうです。
よい作物づくりは、地力を生かす環境のよい土づくりから
すぐき菜で『フジミン®』の土壌中の成分を作物に届ける作用と、土壌環境を整える効果を実感した八隅さん。2022年は、京賀茂なすと万願寺とうがらしで、肥料を削減して『フジミン®』を散布する実証実験にチャレンジしています
「京賀茂なすの作付け本数は昨年より2割減らしています。苗代や追肥を減らしても、昨年より多く収穫できたら嬉しいですね」と、資材の値上がりが続く中で『フジミン®』の作用に期待を寄せます。
6月14日までの収量の傾向は、試験区と従来栽培の対象区でほぼ同等。追肥なしの試験区で最も多い日もありました。対象区Cでは『フジミン®』を定期的に散布することで元肥の成分が効率よく吸収され、初期の根の発根が促進したため苗の健全度が高い状態であると考えられます。
「従来通りの量で追肥している対象区は、今のところ収量で良好な結果が出ていますが、今後気温が高くなってきたときに根の状態によっては、品質と収量が落ちてくるのではないか」と八隅さんも話します。
実証実験を担当する国土防災技術の秋山菜々子さんは、作物が育ちにくくなることや収穫量が落ちる原因として土壌の劣化があると言います。土壌中に腐植物質が多ければ微生物が増え土が団粒化するので物理性もよく、根の発根が進んで作物が元気に育ちます。
「土壌にはその土地ならではの特色があり、それぞれに合った土づくりがあります。『フジミン®』を使って土壌の環境を整えて、効率よく持続的な農業ができるようにサポートしていきたいです」と秋山さんは話します。土壌がもともと持つ成分と生産者が補った肥料を、作物により効率よく吸収させるのがフルボ酸のキレート効果。環境に負荷をかけずに土壌の力を引き出します。
「環境によい土づくりで、お客さんに喜ばれるおいしい野菜をつくります」と八隅さんが抱負を語ってくれました。自然環境に配慮した持続的な農業はみんなの願い。『フジミン®』で土壌の環境を整えて、よいものが長く穫れる農業を目指しませんか。
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【取材協力】
八隅農園
京都府京都市左京区
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