牛と、人と、まちの未来をつくる「シャインコースト」とは?

浪江町は東京から車で約2時間40分のところに位置する沿岸部の町です。
福島県浪江町。震災と原発事故の影響で、長く人の営みが止まっていたこの場所に、日本屈指の先進型酪農牧場が誕生しようとしています。プロジェクトの名は「シャインコースト」。町と福島県酪農業協同組合、全国酪農業協同組合連合会(全酪連)、被災酪農家等が出資し、「シャインコースト株式会社」が運営を担います。
搾乳・育成・飼料・堆肥管理・牛群管理の5つの機能をひとつの敷地に統合したこの施設では、年間約1万トンの生乳出荷を見込んでいます。さらに、地域の若手や移住者が酪農を「学び」「働き」「暮らす」ことができる、未来型の牧場です。
令和8年4月の始動に向け、現場はすでに動き出しています!
現在、浪江町棚塩地区では、敷地全体の造成工事が約9割まで完了。牛舎や搾乳施設など、牧場の中核を担うハード面もすでに7割の完成度を誇り、稼働に向けた最終調整が進められています(令和7年8月現在)。

浪江町復興牧場の完成イメージ図
また、牧場の自給飼料となるデントコーン(飼料用トウモロコシ)の栽培もすでにスタート。地域の農地を活かした循環型の運営が、少しずつ形になってきました。
土をならし、牛の住まいを整え、飼料を育てる、これらはすべて、牛たちが安心して暮らし、人と共に地域を育むための第一歩。始動はもうすぐ。現場には、確かな鼓動が響いています。
なぜ今、“酪農”なのか?
このプロジェクトは、単なる再建ではありません。日本の酪農を未来へつなぐ、新たなスタンダードをつくろうという挑戦です。
持続可能な「地域循環型」モデル
地元の飼料や堆肥を活用し、環境にも地域にもやさしいサイクルを構築。自然と共に生きる酪農を目指します。
最先端テクノロジーとの融合
ロボット搾乳、ICT牛群管理、AIによる健康モニタリングなど、効率的かつ丁寧なケアを実現します。
学びながら働ける研修制度
施設内には研修棟も併設予定。未経験者でも一から学び、着実にプロの酪農家としてステップアップできます。
育てるのは牛、地域、次世代を担うリーダー。“まちの誇り”になる牧場を目指して

シャインコースト株式会社代表取締役社長・紺野宏さん
シャインコースト株式会社の代表取締役社長・紺野宏さんは、プロジェクトの中核にある想いを語ります。
「私たちが目指すのは、酪農の経験がなくても、誰もが安心して働ける場所をつくることです」
牧場にはロボット搾乳機やセンサーを活用した牛群管理システムなど、最先端のIT・IoT技術を導入。業務の効率化と安全性を高めることで、年齢や体力に左右されにくく、未経験者でも無理なく始められる職場環境を整えています。また、この牧場は将来的に1,300頭の乳牛を飼養し、1日約30トンの生乳を出荷する計画です。年間売上の目標は約12億6,000万円。それだけの規模を支えるには、酪農作業だけでなく、運営管理や経理など、多様な専門性が必要になります。

「今、研修を受けている3名には、現場を支える中核スタッフとして、将来的にはマネジメントも担ってほしいと考えています。同時に、年間十数億円規模の経営を支える経理部門の人材も欠かせません。酪農に関わる仕事は、本当に幅広いんです」(紺野社長)
そして何より、シャインコーストは浪江町の理解と協力があってこそ実現したプロジェクトであると、紺野社長はさらに言葉を続けます。
「この牧場を、働くスタッフだけでなく、地域の方々にも“誇れる場所”にしたい。それが浪江町への恩返しだと思っています」
牛とともに働く人を育て、町の未来をともにつくるー。シャインコーストは単なる酪農施設ではなく、“地域と歩むプロジェクト”そのものなのです。
研修生の声:「牛と向き合う毎日は、発見と成長の連続です」

福島市内の「ミネロファーム」では、すでに本格稼働に備えた研修が行われています。そこに参加するのは福島県出身の若手たちです。現在、ミネロファームで研修に勤しむ3名に、仕事のやりがい、目標などをお聞きしました。
【研修生】

内山さん(全酪連所属:令和4年より研修スタート)

中川西さん(全酪連所属:令和6年より研修スタート)

深谷さん(福島県酪農業協同組合所属:令和7年より研修スタート)
◎酪農業を目指したきっかけは?



◎研修ではどんなことを学んでいますか?



◎一般的に、酪農業はハードなイメージがありますが、実際の現場はどのような環境なのでしょう?


◎酪農の楽しさ、やりがいを教えてください



◎震災復興に携わることへの思いをお聞かせください



未来につながる牧場を目指して。離農を余儀なくされた酪農家が戻れる場所に

全酪連復興牧場準備室 室長・猪内 勝利さん
全酪連では今後も職員の研修を継続的に行い、酪農のプロフェッショナルを育成する方針です。研修担当を務める酪農技術研究所の猪内 勝利(いのうち・かつとし)所長は、ミネロファームでの実証実験を通して、酪農が抱えるさまざまな課題をクリアしていきたいと話します。
「後継者や担い手不足から、酪農業は慢性的な人手不足を抱えています。また、震災によって生産基盤を失った酪農家の中には浪江町に戻りたくても戻れないジレンマを抱えている方もいます。浪江町復興牧場は酪農家が帰る場所をつくることが最大のミッション。同時に、研究機関と連携し、最新鋭の技術や理論をもって、酪農の未来を開拓していく場所でありたいと考えます」

浪江町復興牧場では今後、人材確保にも力を入れていく方針とのこと。最後に、酪農に必要な資質について、猪内さんに伺いました。
「動物が好きなことは大前提ですが、生き物相手の仕事は酪農に限らず“うそをついてはいけない”仕事だと思います。乳牛は役目を終えると食肉として処理されるのがセオリーですが、それは命をいただくという責任でもあります。牛に、自分自身に正直であり続けることが、この仕事の厳しさであり、やりがいでもあると感じます」
浪江町シャインコーストプロジェクトは、未来を見据えた酪農の拠点です。自然の中で働きたい、動物と共に生きてみたい。そんな想いを持つあなたに、ぴったりの場所かもしれません。
ゼロからのスタートも大歓迎。学ぶ仕組みも、支える仲間も、すでにそろっています。令和8年4月、浪江の地に生まれる新しい風景。そこに、あなたの一歩を重ねてみませんか?
■お問い合わせ■
福島県酪農業協同組合
〒969-1103
福島県本宮市仁井田字一里壇17
TEL:0243-33-1101
E-mail:info@fukuraku.or.jp
















