Vol.3 浪江町復興牧場が担う酪農の未来【美味しい牛乳ができるまで〜乳業工場編〜】徹底した衛生管理で安全・安心な美味しさを!|マイナビ農業

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Vol.3 浪江町復興牧場が担う酪農の未来【美味しい牛乳ができるまで〜乳業工場編〜】徹底した衛生管理で安全・安心な美味しさを!

Vol.3 浪江町復興牧場が担う酪農の未来【美味しい牛乳ができるまで〜乳業工場編〜】徹底した衛生管理で安全・安心な美味しさを!

福島県浪江町の酪農業復興を担う「浪江町復興牧場(運営会社:シャインコーストファーム株式会社)」。令和7年度の運用開始に向け、現在、福島県福島市の福島農業復興ネットワーク「ミネロファーム」において、人材育成や研修、浪江町復興牧場に向けての実証を行なっています(詳しい記事はこちら)。復興牧場では出荷乳量として年間約1万トンの生乳の生産を見込んでおり、県酪農協への出荷を予定。牛乳の生産拠点としての役割も担います。前回の【美味しい牛乳ができるまで〜牧場編〜】に続き、今回はわたしたちが毎日飲む「牛乳」ができるまでの製造過程を紹介。その徹底した衛生管理とプロ意識に注目です!

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生乳から牛乳へ。徹底した衛生管理で安心と美味しさをお届け!

酪農家のもとで搾乳された「生乳」とは、乳牛から搾ったままの何も手を加えない乳のことを指します。それをそのまま販売することは食品衛生法で禁じられていることをご存じですか?なぜなら生乳には細菌が含まれている可能性があるため、飲用するまでには検査や清浄、殺菌などを施す必要があるからです。本記事では酪王協同乳業株式会社郡山工場(福島県郡山市)の協力を得て、生乳から牛乳になる過程を紹介。その徹底した衛生管理や鮮度・品質保持のためのプロフェッショナルな仕事を見ていきましょう!

国分さん

普段みなさんが飲んでいる牛乳がどのようにつくられているのか、製造ラインをご案内しますね!
――酪王協同乳業株式会社 生産部 製造課・国分 伸夫(こくぶん・のぶお)さん

牛乳ができるまで

◎集乳
乳牛から搾った生乳に、いかなるものも混入させず、清潔なまま生産者から集め、指定された場所へ送り届けるのが「集乳(しゅうにゅう)」と呼ばれる業務です。生乳専用のタンクローリー車が各生産者を回り、生乳を集乳。乳業工場へ運びます。

◎受け入れ検査
運ばれてきたすべての生乳は、受け入れの際に次の5項目について厳しく検査をします。

\検査時のPOINT/

■色・官能
飼料などが原因でおこる風味異常をチェック

■温度
生乳に含まれる細菌が増殖しにくい10℃以下で管理されているかを確認

■成分
乳脂肪分、無脂乳固形分、酸度などを「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」で定められた公定法を基準に測定します。

■細菌数
顕微鏡で細菌の数を数え、検体1ミリリットル中の細菌数を算出します。

■抗生物質
乳牛への抗生物質の使用は、乳房炎や外傷などの治療時に限られており、その使用は「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」で厳しく規制されています。省令では「抗生物質が乳に残留している期間中のものは、出荷してはならない」とも規定されています。

◎清浄
検査をクリアした生乳は、遠心分離装置やろ過機で生乳を高速回転させ、 肉眼では確認しきれない小さなゴミや異物を分離して取り除きます。

◎貯乳
清浄化された生乳を攪拌装置(かくはんそうち)付きのタンクに貯乳し、5℃以下に冷却をして鮮度を保ちます。

◎均質化
液体に含まれる粒子を均一にするための装置「ホモゲナイザー」を使用し、脂肪球を細かく砕き小さく同じ大きさにそろえます。脂肪球をそのままにしておくと脂肪球同士がくっつき合い、保存中に脂肪が浮いてきてしまうことを防ぐために行います。

◎殺菌
消費者が美味しく、安全に牛乳を飲めるよう、生乳を加熱殺菌処理し、細菌などを死滅させます。

◎貯蔵
殺菌処理後はすぐに冷却タンクに移し、貯乳します。

◎充填(じゅうてん)・包装
紙パックなどの容器に牛乳を充填。充填後はすぐに密閉し品質をキープします。

◎製品検査
完成した製品からサンプルを採取し、風味検査、成分検査、微生物検査などを行い厳しくチェックします。

◎冷蔵保存
製品検査を終えた牛乳は冷蔵庫内で10℃以下に保たれたまま、スーパーやコンビニなど出荷先別に分けられます。

◎出荷
冷蔵トラックに積み込まれた牛乳は、ようやく消費者のもとに届けられます。

牛乳の歴史は細菌との戦いだった!? 徹底した生産管理とHACCP的手法

このように、厳しい検査や処理を行うことでようやく消費者のもとに届けられる牛乳ですが、その製造の歴史は細菌との戦いだったと酪王協同乳業株式会社 生産部・川勝 正典(かわかつ・まさのり)さんは話します。

酪王協同乳業株式会社 生産部 部長・川勝 正典さん

「牛乳は、本来母牛が子どもを育てるためのものですから栄養価が豊富な反面、雑菌も繁殖しやすい特徴があります。安全性と保存性を高めるため、日本では明治時代あたりから牛乳ビンに詰めてビンごと蒸気で加熱する「滅菌牛乳」「消毒牛乳」と呼ばれる高温殺菌牛乳が出回りはじめました。以来、乳業工場は徹底した衛生管理に努め、安全・安心な牛乳を届けています」(川勝さん)

牛乳を殺菌する習慣がなかった時代には、牛乳を感染源とした食中毒は決して珍しいことではありませんでした。牛乳の殺菌が義務化されるようになったのは、1927年(昭和2年)のこと。内務省が「牛乳営業取締規則」を改正し、63〜65℃で30分加熱する低温殺菌加熱または、95℃以上で20分間加熱する高温殺菌することを定めました。現在は厚生労働省令「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」で、「保持式により63℃で30分間加熱、またはこれと同等以上の方法で加熱殺菌すること」と規定されています。

さらに、2018年には食品衛生法等の一部を改正する法律が公布され、全ての食品等事業者に対し、食品を製造する過程での衛生管理システム「HACCP」 に沿った衛生管理が求められています。HACCPでは事前に製造するすべての工程で危害分析し、その中で特に重要な工程を監視・記録することで、製品の安全を保障することができます。

「当社ではより確実な食品安全管理を実践するためのマネジメントシステム規格である『FSSC22000』を認証取得し、さらなる安全に努めています。わたしたちの使命は生産者と共に安全な美味しさを自信を持って届けること。ぜひ、安心して酪王牛乳を味わってくださいね」(川勝さん)

2011年3月11日に発生した東日本大震災における東京電力福島第1原子力発電所事故により、大きな被害を受けた同社。設備は1週間程度で復旧したものの、その後は飼料の放射能汚染やその風評被害によって出荷停止や廃棄処理を余儀なくされました。それを救ったのが同社の大ヒット商品「酪王カフェオレ」です。全国のファンが購入を呼びかけ、危機を救いました。

「浪江町復興牧場をきっかけに福島県の酪農業が盛り上がることを期待します。そのためにもわたしたちは衛生管理を徹底した牛乳製造に尽力する方針です」

と、浪江町復興牧場に期待を寄せる川勝さん。復興牧場で絞られた生乳からできた酪王牛乳を飲める日が待ち遠しいですね!

世界を牽引する技術がここにある。浪江町が担う酪農の未来

令和7年度の運用開始に向け、着々と準備が進む浪江町復興牧場。建設地の浪江町役場の担当者は浪江町復興牧場の最先端設備や研究施設は、世界の酪農を牽引する存在になると話します。

「酪農を志す若者が最先端の設備や研究機関を求め、この浪江にやってくるでしょう。それは浪江町がテーマに掲げる「町のこし」のミッションにもつながります」

と、話すのは、被災地派遣員として神奈川県庁から浪江町にやってきた森 雅博さんです。「町のこし」とは、避難を余儀なくされた住民たちが戻れる場所をつくることを目的としたテーマ。浪江町復興牧場の誕生は、今後、酪農を学ぶ学生や研究者などの関係人口の新規開拓、さらには宿泊施設や商業施設などの新規参入が期待されます。

また、町のこしから次のステージとして掲げられているのが、「持続可能なまちづくり」です。浪江町復興牧場は牛の糞尿を利用したクリーンエネルギー・バイオガス発電に取り組み、場内の消費電力の約7割をバイオガスでまかなう予定です。

「牛の糞尿を発酵させたあとに残る 『消化液』を堆肥に使用するなど、復興牧場では除染によって地力が落ちた圃場を再生する取り組みも行われます。昨今、世界中で叫ばれているSDGsを実践するサスティナブルなまちづくりは、さまざまな経済効果をもたらすことでしょう」

と、話す水谷 誠さんもまた、被災地支援員として横浜市役所から浪江町にやってきました。お二人は浪江町復興牧場の運用開始に向け、尽力しています。

「わたしたちは行政機関として、主にハード面の整備を担います。県酪農協や関係者の方々と連携しながらスムーズな運用開始を目指します」(森さん)

「福島県酪農協の方々をはじめ、専門家に牛のことを丁寧にレクチャーしてもらっています。知れば知るほど酪農はかっこいい!と実感する日々です。最先端技術が集結する浪江町は若い世代にとっても魅力ある町。ぜひ、共に酪農の未来を切り拓いていきましょう!」(水谷さん)

酪農の基幹研究や牧場運営、生乳の供給、そしてクリーンエネルギーと堆肥によるサスティナブルな社会構築の取り組み。「町のこし」から次のステージへと進む浪江町には、世界が目指す未来の縮図があります。その未来の地図を描くのはあなたかもしれません。

まずは一度、浪江町を訪れてみませんか?復興、町のこし、持続可能なまちづくりへと進化する町は、夢と希望に満ちあふれていることでしょう。

■お問い合わせ■
福島県酪農業協同組合
〒969-1103
福島県本宮市仁井田字一里壇17
TEL:0243-33-1101
E-mail:info@fukuraku.or.jp

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