会社役員からモモ農家へ転身!家族みんなで決めた新規就農
岡山生まれの小川さんは、高校までを岡山で過ごし、大阪の大学に進学。卒業後は大阪のマーケティング関連会社に就職し、2019年に退職するまでの数年間は役員を務めていました。取引先での会話を通じて農業に興味を持ち、就農を見据えるようになったそうです。
自分も40歳という節目を迎え、このまま会社勤めを続けるのか、それとも新しいことにチャレンジするのかを考え、就農の道を選んだんです。
最初は、土を使わない高糖度のトマト栽培に興味があったと語る小川さん。しかし、大阪で実施された移住フェアで、岡山県の就農相談ブースに立ち寄ったのを転機に、赤磐市のモモの第1期研修生になると決めました。
妻と当時小学3年生の息子を連れて赤磐市に通ううちに、家族全員が「モモ農家、ええんちゃう?」という空気になったのも決め手の一つでした。
研修と並行して新園地を整備。成木園地も譲り受け、安定収入を目指した
岡山県の新規就農研修制度では約1カ月の「農業体験研修」を経て、2年以内の「農業実務研修」を行い、「就農」へと進みます。小川さんは「農業体験研修」前に、JAの紹介で収穫や草刈りなど、モモづくりに伴う作業を体験。その後「農業実務研修」へ進み、地元ベテラン農家の塚田博久さんの農場で1年間、技術を学びました。
赤磐市におけるモモの第1期研修生として期待されていることに加え、モモ農家になるための心得や地域の情報などをとても丁寧に教えていただき、ここでならやっていけると思いました。
塚田さんの指導のもと、モモ栽培の実務を学びながら、一方で研修期間中に県の事業を活用し、部会と協力して就農後の園地の準備もスタートした小川さん。もとは水田だった土地を重機で整地するところから始め、農地設計やモモの木の配置、苗木の植え付けでも塚田さんのお世話になったといいます。
ちなみに私は研修ほ場として整備した園地を就農後に借り受けましたが、少しでも早く収入を得ることを目指し、成木園地も借り受けました。
スムーズなスタートのため就農前にしっかり蓄え、支援制度も活用!
丸1年かけてせん定・受粉・摘果・袋掛け・収穫等のモモ栽培の流れを学び、2021年3月に就農した小川さん。最初は55aだった園地も現在は1haに拡大し、9品種※を育てるまでになりました。
※日川白鳳、千種白鳳、白鳳、清水白桃、おかやま夢白桃、白麗、白皇、黄金桃、ネクタリン(収穫順)
しかし、就農当初にいくらかの成園を借り受けたとはいえ、一から植え付けた若木からモモを収穫できるようになったのは、就農2年目の2022年。さらに、本格出荷は2023年度からになるといいます。経済的な不安はないのでしょうか?
こうした支援制度と、備えがあったからこそ、挑戦を決意できたと思っています。
備えあれば憂いなしを実践する小川さんにもう一つ、「就農してからの苦労、後悔は?」と、ちょっと意地悪な質問を投げかけたところ、こんな風に答えてくれました。
モモ農家になって家族との時間も増えましたし、小学6年生になった息子が草刈りを手伝ってくれるのも嬉しいですね。
「赤磐のモモ」を盛り上げるため、若手農家一丸となって頑張りたい
農家としてだけでなく、赤磐市上仁保地区での暮らしそのものを楽しむ小川さん一家。すぐになじめた理由は、師匠・塚田さんの紹介で借りた住まいにもありました。実は小川さんの自宅は、地区の人が必ず利用するメインストリートに面しており、いつでも声を掛けてもらえる環境だったのです。
また、ご近所に地域を知り尽くす人生の大先輩がいて、小川さん一家を気に掛けてくれたのも、スムーズな新生活スタートにつながったと振り返ります。
私たちもお手伝いできることはさせてもらい、地域の集まりにも参加しながら、信頼関係を築いていきましたね。
今後は赤磐のモモを盛り上げるため、地域の若手農家と連携して新たな販路の開拓やブランディングにも取り組みたいという小川さん。実はご近所のモモ農家さんのYouTube「冬美白チャンネル」にも出演させてもらったそうで、このチャンネルを見れば赤磐の若手モモ農家の様子がよく分かると教えてくれました。
若木にモモが実った時、それがとても甘くておいしかった時、嬉しい瞬間が次々と押し寄せるモモ農家の仕事はやりがいにあふれていますよ。
職員の方々もとても親身に相談に乗ってくれますよ!
人生の一大転機となる新規就農。その道のりは決して平坦ではないかもしれませんが、しっかり備えて臨めば、小川さんのように明るい未来が拓けるはず。「やってみたい!」「挑戦したい!」と思った人は、岡山県のホームページを覗いてみてはいかがでしょうか?
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